リアルサウンドに、渡辺信一郎監督の「サムライチャンプルー」の音楽について書きました。
Nujabes×渡辺信一郎『サムライチャンプルー』の革新性を再考 日本の音楽を世界に知らしめた影響力 – Real Sound|リアルサウンド
本作の海外での影響はとても大きく、OPを担当したNujabesさんを世界的に有名にした作品として知られています。Nujabesさんは、Lo-fi hiohopというジャンルのオリジネイターの一人と言われる存在で、このジャンル成立に「サムライチャンプルー」も深く関わっているのです。
そんな功績について振り返りつつ、作品の革新性について語る内容になっています。今年で放送から20年を迎える同作ですが、今見ても斬新な作品だと思います。
以下、原稿作成時のメモと構成案。
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参考
『サムライチャンプルー』のHIPHOPと和の文化|たつ
90年代、東京。ある若者がNujabesを名乗り、ヒットメーカーになるまで 【Think of Nujabes Vol.1】 | ARBAN
サムライチャンプルーとNujabes─ 渡辺信一郎 監督が語った “無名のNujabes” を起用した理由【Think of Nujabes Vol.2】 | ARBAN
**「レコード屋通いをしていたので、彼の初期の12インチシングルは全部聴いていました。サンプリングのネタ感が特徴的で、メロディアスで、彼独特の叙情感のようなものがあって、映像が頭に浮かんでくる感じがした。そこが他のプロデューサーとはまったく違うと思ったんですよね。一般的に、映画音楽はあくまで映像を補佐するための脇役として、映像を手助けするようなやり方をするんです。でも、『カウボーイビバップ』のときから、僕はそういうことはやりたくなかった。音楽をもっと立てて、音楽と映像が50:50で競い合うようにしたかったし、ときには音楽が立ち過ぎるくらいのほうが面白いと思っていた。そのためには、それだけの力を持つ音楽でないといけないし、映像と拮抗できるくらいのクオリティも必要になってくる。そういう意味も含め、ヒップホップのなかで最適だったのが Nujabesでした」**(渡辺信一郎)**「一部のカルトファンは盛り上がっていましたが、ほとんどのアニメファンには不評だったみたいで(苦笑)。大雑把に分けると、当時、アニメを観ている人はオタクで、ヒップホップを聴いているのはヤンキー。今ではオタク系ラッパーも多いですが、当時このふたつは天敵だったんです。それを混ぜ合わせたもんだから、どちらの層にも不評だった。コンビニの前でたむろしているヤンキーが『サムライチャンプルー』の話をしていたという情報を耳にしたり、歌舞伎町で知らないヤクザに褒められたこともあります。つまり、局所的な人気はあるけど、広がりに欠けるみたいな感じでした」**(渡辺信一郎)
**「日本では一度きりでしたけど、アメリカでは何度も再放送されているので、段々とファンが増えてきて。当時から、『アメリカで多少人気があるらしい』というのは聞いていたんです。実際、現地のアニメイベントへ行くと、デカい怖そうな黒人が『サインくれ』ってくるんですよ。『どの作品が好きなの?』と聞くと、『サムライチャンプルー』と答える。ブラジルに行ったときも、ギャングみたいな奴がサインの列に並んでいて、やっぱり『サムライチャンプルー最高!』って。日本でもヤンキーに好まれていたし、悪そうな奴に人気という傾向は世界共通でしたね(笑)」**(渡辺信一郎)
『サムライチャンプルー』というアニメ作品が、最終的に「ローファイ・ヒップホップ」というムーブメントへと繋がっていったのは疑わざる事実であろう。ちなみに、2018年にSpotifyの「急成長したジャンル」の第2位になったことで、日本でも広く知られるようになったローファイ・ヒップホップ。アニメ監督の渡辺氏がその存在を知ったのは、TBSラジオの番組『アフター6ジャンクション』にて特集が組まれたことによる(2019年3月)。そこで渡辺氏もコメントを求められ、『サムライチャンプルー』がローファイ・ヒップホップ誕生の一要因になったことを知ったという。
**「予想外というか、15歳くらいの隠し子が突然現れて、『本当に俺の子なのか?』みたいな(笑)。ちなみにローファイを作っている人たちがアニメを観てくれていたのは、子供の頃なんですよね? 幼少期の経験って刷り込み度合いが強いから、そこから音楽を掘っていくなかで、ローファイ・ヒップホップというムーブメントが生まれたのかもしれない。もちろん『サムライチャンプルー』だけがルーツではないし、他のいろんなものに影響を受けているんだと思いますけど、もし『サムライチャンプルー』がそのきっかけのひとつになったのなら、素直に嬉しいですね」**(渡辺信一郎)
Nujabes × Shing02〈Luv(sic)〉シリーズ誕生秘話【Think of Nujabes Vol.3】 | ARBAN
ローファイ・ヒップホップとは?その起源と日本文化の影響。|洋楽ラップを10倍楽しむノート
How Samurai Champloo Helped Create An Icon Named Nujabes & Lofi – YouTube
How “Samurai Champloo” Deconstructs ‘Orientalism’ | Alex Arad – Academia.edu
海外でシティポップよりも人気の日本音楽!? Lo-fiヒップホップとは | 集英社オンライン | 毎日が、あたらしい
傑作アニメ『サムライチャンプルー』楽曲がサブスク解禁 Nujabesら参加サントラが配信開始(KAI-YOU.net) – Yahoo!ニュース
Intro
濃いアニソンとかどうのこうの、アニソンとは何かという議論が起きていた。
アニソンは、そもそもアニメに使用される曲のことで、ジャンルではないので、多様な音楽がこれまでも用いられている。
渡辺信一郎監督は、そんなアニメの音楽の可能性をとりわけ広げてきた作家だ。
カウボーイ・ビバップの例
↓
その次に放ったのはサムライチャンプルーだ。時代劇にヒップホップを採用する大胆な発想は、アニソンの在り方も大きく広げたといっていい。
Body1サムライチャンプルーの魅力
作品概要
深夜アニメの中でも異彩を放つ作品だった。
Body2 音楽の果たした役割
ミクスチャー感覚のある作品だったため、カルチャー交差点となった作品。
9話には湯浅政明が原画で参加しており、らしさを発揮している。
Point2
Lo-fi hiphopの始祖の1人、Nujabesを世界的に有名にした男、Lo-Fi Hip Hopというジャンル成立に大きな貢献をした作品と言える。このジャンルはアニメとともに語られることが多い
侍が活躍する時代劇にヒップホップカルチャーを融合させたそのミクスチャー感覚の斬新さ
音楽と映像がぶつかり合うような作品
映像的な見ごたえ、OPの小池健のクールな演出と、各回のアクション演出も絶妙、キャラデザも非常にハイセンス
構成2
Intro
最近、アニソンに関する話題があった。アニソンは商業化していておしゃれになっている、もっと濃いアニソンが聞きたい云々。
アニソンは、アニメに使用される楽曲の総称であり、ジャンル名ではない。その作品を彩りさえできればどんな音楽が使用されてもいいし、実際に多彩なジャンルの音楽が使用されてきた。
中でも、渡辺信一郎監督は音楽に強いこだわりを持つ作家として知られ、アニメの音楽の常識を破る作品を幾度も発表している。
そんな彼の、音楽という点で世界的に大きな影響を与えた作品が『サムライチャンプルー』だ。
Body1時代劇とヒップホップの融合という斬新さ
概要
アニメ的な見どころ、ブレイクダンスなどヒップホップゆかりの動きを取り入れた殺陣を作った斬新さ。自由な発想で描かれる作画、9話では湯浅政明が作画で参加し、らしさを発揮している。
コミカルさとハードさがチャンプルにされたその姿勢が、ヒップホップのサンプリングカルチャーと絶妙にマッチしていて、時代劇なのに妙に音楽が合っている。
小池健・細田守によるOPのカッコよさ
クールなキャラデザ、時代劇のイメージを覆している。現代風の意匠も随所に取り入れられ、それでいて無茶苦茶で破綻しているということが不思議とない。
琉球出身の男をメインキャラクターの1人に据えているのもユニークなポイント。
音楽のチル感と激しい剣戟のむしろミスマッチな部分がユニーク。
海外では大きな成功を収めた作品で、多くのクリエイターに影響を与えている。
しばしば黒人コミュニティでサムライが好かれていることがあるが、このアニメの影響は見逃せないだろう。
日本アニメがクールというイメージを作った作品のひとつ。
Body2Lo-fi ヒップホップへの多大な影響
音楽関係者への影響は大きい。
とりわけ、Lo-fiヒップホップジャンルを確立に貢献した作品と言える。
サムライチャンプルーとNujabes─ 渡辺信一郎 監督が語った “無名のNujabes” を起用した理由【Think of Nujabes Vol.2】 | ARBAN
「レコード屋通いをしていたので、彼の初期の12インチシングルは全部聴いていました。サンプリングのネタ感が特徴的で、メロディアスで、彼独特の叙情感のようなものがあって、映像が頭に浮かんでくる感じがした。そこが他のプロデューサーとはまったく違うと思ったんですよね。一般的に、映画音楽はあくまで映像を補佐するための脇役として、映像を手助けするようなやり方をするんです。でも、『カウボーイビバップ』のときから、僕はそういうことはやりたくなかった。音楽をもっと立てて、音楽と映像が50:50で競い合うようにしたかったし、ときには音楽が立ち過ぎるくらいのほうが面白いと思っていた。そのためには、それだけの力を持つ音楽でないといけないし、映像と拮抗できるくらいのクオリティも必要になってくる。そういう意味も含め、ヒップホップのなかで最適だったのが Nujabesでした」(渡辺信一郎)「一部のカルトファンは盛り上がっていましたが、ほとんどのアニメファンには不評だったみたいで(苦笑)。大雑把に分けると、当時、アニメを観ている人はオタクで、ヒップホップを聴いているのはヤンキー。今ではオタク系ラッパーも多いですが、当時このふたつは天敵だったんです。それを混ぜ合わせたもんだから、どちらの層にも不評だった。コンビニの前でたむろしているヤンキーが『サムライチャンプルー』の話をしていたという情報を耳にしたり、歌舞伎町で知らないヤクザに褒められたこともあります。つまり、局所的な人気はあるけど、広がりに欠けるみたいな感じでした」(渡辺信一郎)
「日本では一度きりでしたけど、アメリカでは何度も再放送されているので、段々とファンが増えてきて。当時から、『アメリカで多少人気があるらしい』というのは聞いていたんです。実際、現地のアニメイベントへ行くと、デカい怖そうな黒人が『サインくれ』ってくるんですよ。『どの作品が好きなの?』と聞くと、『サムライチャンプルー』と答える。ブラジルに行ったときも、ギャングみたいな奴がサインの列に並んでいて、やっぱり『サムライチャンプルー最高!』って。日本でもヤンキーに好まれていたし、悪そうな奴に人気という傾向は世界共通でしたね(笑)」(渡辺信一郎)
『サムライチャンプルー』というアニメ作品が、最終的に「ローファイ・ヒップホップ」というムーブメントへと繋がっていったのは疑わざる事実であろう。ちなみに、2018年にSpotifyの「急成長したジャンル」の第2位になったことで、日本でも広く知られるようになったローファイ・ヒップホップ。アニメ監督の渡辺氏がその存在を知ったのは、TBSラジオの番組『アフター6ジャンクション』にて特集が組まれたことによる(2019年3月)。そこで渡辺氏もコメントを求められ、『サムライチャンプルー』がローファイ・ヒップホップ誕生の一要因になったことを知ったという。
「予想外というか、15歳くらいの隠し子が突然現れて、『本当に俺の子なのか?』みたいな(笑)。ちなみにローファイを作っている人たちがアニメを観てくれていたのは、子供の頃なんですよね? 幼少期の経験って刷り込み度合いが強いから、そこから音楽を掘っていくなかで、ローファイ・ヒップホップというムーブメントが生まれたのかもしれない。もちろん『サムライチャンプルー』だけがルーツではないし、他のいろんなものに影響を受けているんだと思いますけど、もし『サムライチャンプルー』がそのきっかけのひとつになったのなら、素直に嬉しいですね」(渡辺信一郎)
日本ではまだ日本語のウィキペディアページもないが、世界的な盛り上がりを見せる音楽ジャンルのひとつだ。
(107) How Nujabes Influenced Lo-Fi Hip-Hop | Genius News – YouTube
こうした経緯もあるためか、アニメに大きく関係する音楽ジャンルと認識されているふしがある。
その象徴的なチャンネルとしてこれがある。(106) Lofi Girl – YouTube
その音楽ジャンルのカルチャーを作った作品としてリスペクトの対象ともなっている。
今、そのサウンドトラックがスポッティファイが聞けるようになったのは僥倖で、世界のLo-Fiヒップホップブームが後押しもあったかもしれない。
放送から10年、このカルト的な人気のアニメの再評価の気運が漂う1年になりそうだ。
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メモ終わり。
「サムライチャンプルー」の楽曲がSpotifyで聞けるようになりましたね。
かっこいいですね。聴いたことのない方はぜひ聴いてみてください。