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アニメ業界の労働実態: JAniCAとNAFCAの調査比較で見えてきた課題と改善点

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Brancに、アニメ業界の労働実態の2つの調査比較の記事を書きました。

日本のアニメ業界の労働状況の実態は? JAniCAとNAFCA2つの調査を比較 | Branc(ブラン)-Brand New Creativity-

一般社団法人・日本アニメフィルム文化連盟(NAFCA)が初めて労働実態アンケートを実施し、その結果を公表したのですが、以前から定期的に同様の調査を行うJAniCAの数字を比較してみると面白いなと思ってやってみました。

両団体の統計結果にはいくらかの隔たりがありますが、重なる部分も多く、どちらの結果も信頼に値するものだと思います。それぞれの団体に所属する会員の分布の違いによって生まれる差ではないかなと。

どちらも信頼できるだけのサンプル数を集めていますが、JAniCAの方が長く続いている組織なので、その分所属会員にはベテランが多いかもしれないですね。

どちらも若年層の賃金が低めという課題は指摘されています。こうした統計調査は産業の課題をあぶり出す上で必須のものですので、JAniCAには引き続き、NAFCAにも定期的に行ってほしいと思います。
 
 
以下、原稿作成時のメモと構成案。
 
 
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第1回 アニメ業界の働き方に関するアンケート 結果レポート | NAFCA 一般社団法人日本アニメフィルム文化連盟

アニメーション制作者実態調査 報告書2023:日本アニメーター・演出協会(JAniCA)

映画業界の労働実態調査2022-2023|Japanese Film Project

誤差の範囲も検討

母数がわからない

日本アニメの原画アニメーター5200名超、制作進行は960名超

市場調査は、何人くらいデータを集めれば信頼出来る?リサーチ初心者に分かりやすく解説

一般的に信頼度の高いサンプル数と言われているのは「許容誤差5%」、「信頼度95%」です。

他にサンプル数の目安として言われているのは、母集団の総数が「10,000」を超える場合、サンプル数が「400」集まれば、確度の高い結果を得られる目安の数値と言われています。また母集団の総数が「1,000」の場合は「300」、「100」の場合は「100」、「10」の場合は「10」であり、母集団の数値が小さくなればそれだけ集めるサンプル数を増やす必要があります。
 

有効回答数

JAniCA:429件

NAFCA:323件

勤続年数、、足して比較をそろえた方が良い

JAniCA:15.7年

NAFCA:

年齢足して比較をそろえた方がいい

JAniCA:38.8歳

NAFCA:

職種

JAniCA:原画が45.1%、LOラフ原は35.1%、総作監が10.5%、仕上げは7.8%、動画は14%

NAFCA:

の構成比をきちんと比較する

就業形態

JAniCA:正社員40.5%、フリーランス30.8%

平均作業時間

JAniCA:平均8.84時間、一回月平均198時間、休日6.83%

NAFCA:

収入

JAniCA:455.5万、600万以上が25%で一番多い回答

NAFCA:

構成
 
 

Intro

NAFCAがアンケート結果、労働状態の調査結果を公表

いくつかセンセーショナルな数字が並んでいると言える

アニメ業界の労働実態調査は、JAniCAも主成っていて、昨年末に出しているが、数字がかなり異なる。

例えば、1ヶ月の平均労働時間はNAFCAの調査によると、219時間、中央値225時間のところ、JaniCAの調査では一月平均198時間、中央値192時間だし、年収分布でも、NAFCAは200万未満が23.3%いるのに対して、JAniCAは9.0%だ。概ねJAniCAの調査のほうが、労働時間も短く収入も多いように見える。

どちらも全数調査ではないので、サンプルの偏りなどがあるかもしれない。しかし、二つの統計調査を精査することでより正確な実態を掴めると思うので、比較してみることにする。

NAFCAとはどういう組織か

JAniCAとはどういう組織か
 
 

Body1アンケートのサンプルサイズはいくらが適正か

誤差5%以内が概ねの基本。

アニメ業界の全人口は不明だが、アニメーターで5000という結果がある、全てのセクションを入れると、どの程度かわからないが、10000人いるなら、400の有効回答は信頼性がある。

NAFCAはもう少し集めたいところだが、それででも誤差数%の範囲に留まるので、あまり考慮しなくていいかもしれない。

どちらもランダムサンプリングではない。

両方を確認。どこからサンプルを取ったか、

JAniCA:429件

NAFCA:323件
 
 

Body2平均年収と平均年齢、勤続年数を確認

それぞれを計算し直して比較する必要あり

NAFCAに合わせるしかないか。

年齢

JAniCA:38.8歳

NAFCA:

勤続年数

JAniCA:15.7年

NAFCA:

収入

JAniCA:455.5万、600万以上が25%で一番多い回答

NAFCA:

NAFCAの回答の方が若めか?・・・しっかり確認
 
 

Body3労働時間、就業形態の計算を比較

就業形態

JAniCA:正社員40.5%、契約社員8.5%、フリーランス30.8%、自営業16.5%、会社役員2.1%、アルバイト0.2%、その他1.4%

NAFCA:正社員23.5%、契約社員9.8%、フリーランス39.4%、フリーランス(スタジオ所属)26.4%、アルバイト1.0%

就業形態のサンプルには偏りがあることがわかる。これが平均年収や、平均労働時間の違いに影響が出ているのかも知れない。

平均作業時間

JAniCA:平均8.84時間、一月平均198時間、中央値192時間、休日6.83%

NAFCA:一月平均219時間、中央値225時間

フリーランスと正社員の違い?
 
 

Body4回答者の職種のばらつきは?

アニメーターの作監、総作監クラスの人数によって上振れしやすいと思われる。

概ね、アニメーターと動画、仕上げの割合を出したいところ

Body5両者の結論は重なる部分も多い

若年層の充分な賃金が回っていない可能性

男女差はほとんど見られない。

JAniCAの方は2年に一度のペースで調査を行っており、改善傾向がわかる。NAFCAも継続してやってもらえると助かる
 
 
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メモ終わり。

両団体の数字の出し方が揃っていなかったので、こちらで揃えてグラフも作り直して比較しやすくしています。概ねJAniCAの方がいい数字が出ています。多分平均年齢が高い分、技術も高い人が多いんだろうと思います。どちらの統計結果もアニメ業界は実力主義であるということは言及していますので、経験ある実力ある人がどれくらいサンプルに含まれているのかで、差が開いているのだと思われます。

しかし、若年層の賃金の低さはどちらの調査でも明らか。ここは要改善ですね。全体の賃金を底上げする形でカバーしていくのが望ましいと思いますが、そのためには、アニメスタジオが交渉力を持ち、製作委員会や配信、映画会社などがきちんとアニメ制作の対価を正しく認識して制作費をよりあげていく必要があるでしょう。あとは、育成体制をきちんと整えて実力を伸ばせる環境つくりも重要かなと思います。

今大きな手を打っておかないと近い将来かなり厳しいことになると様々なところで指摘されていますが、環境改善はなされてきているとはいえ、まだ足りないし、改善スピードをあげないといけない。製作委員会の会社なども巻き込んで必要な手を打っていく必要があると思います。
 
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