アニメ!アニメ!の敵役連載に、『戦隊大失格』の主人公戦闘員Dについて書きました。
やらせのヒーローの"活躍"を描く「戦隊大失格」が問いかける、物語に”悪役”が必要な理由 | アニメ!アニメ!
この作品は、戦隊ヒーローものでモブのやられ役が主人公という異色の作品です。物語の敵役について書く連載なので、これは題材としてふさわしいなと思いました。普段は悪役をやっているキャラクターがなにかそれに対して疑問を持つという展開で、正義とはなにか、悪とかなにかを問いかける作品です。
しかも、悪役をやっているのもメタ的な設定で、ホントは悪の組織は壊滅しているんだけど、それでも戦隊側が正義のヒーローをやるために、むりやり毎週週末に悪役として侵略をでっち上げてやられ役をやらされているという設定。これは物語になんで敵役が必要なのか、という本連載のテーマそのものですね。
以下、原稿作成時のメモと構成案。
————–
Thesis
やらせのヒーローマンガ、その悪役の存在意義とは何かをあぶりだす?
Point3つ
悪役とは何かを考えさせる絶妙の物語設定。。。俺達がいるから大戦隊が引き立ち観客が盛り上がる 負けることが決まっていても 全うするんだ 怪人役の役割を
たまにはあってもよくないか? 怪人が勝つ展開・・・怪人サイドが欺瞞を暴く展開になるのか?
悪役は負ける定め、この定め、あるいは生み出された役割に抗えるかという物語
Intro
戦隊大失格について
主人公が戦隊ものの怪人であり、悪役が主人公
Body1物語の概要
設定、
いきなり幹部は全滅させられ、休戦協定を結ばされている
一週間に一度、やられやくをやることになっている。
やらせと悟られないように。
そんなやられる毎日に嫌気がさした怪人Dが戦隊ヒーローたちに反旗を翻し、人間になりすまして基地へと潜入。戦隊チームの秘密に迫っていき、数々の正義と戦うことになる。
Body2悪役の役目とは
本作は、悪役の役割を逆手にとっている。
悪役は倒されて物語を盛り上げるために存在する。
やらせという設定を導入することで、そのお約束のチープ感を浮かび上がらせている。
元ネタであるニチアサの戦隊ものでは毎回そうだ。それは外してはならないお約束としてある
しかし、どうしてあらかじめやられる側とやる側に分かれているのか。こんなのは不公平じゃないか。絶対の正義がないなら絶対の悪もない。本作は勧善懲悪の反転を試み、やらせを行ってまで正義であろうとするものたちの欺瞞を暴こうとする。
Body3 誰しも一度は怪人に肩入れしたことはある
たまにはあってもよくないか? 怪人が勝つ展開・・・怪人サイドが欺瞞を暴く展開になるのか?
子どもに応援されて悪い気がしなかった怪人D。
誰だって応援されたら嬉しい、という当たり前の感情がここには描かれている。
子ども自分には、どうしたあの人たちはやられているのと素朴な疑問を抱くこともあったはず。
いつしか、僕らは悪は倒されて当然と刷り込まれているのかもしれない。
当たり前の感情を抱く存在に、毎週やられる役を押し付け、憎まれ役をさせているということ
正義の物語には悪役が必要だが、その役割の残酷さ、不公平さを暴く面白さがある
——————
メモ終わり。
本作のアニメ、監督はタイバニのさとうけいいちさんなのもいいですね。ヒーローについて一風変わった視点で描くのが得意でしょうから。1期で終わらず、続いていってほしいと思います。