アニメ!アニメ!に、『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 後章』のレビューを書きました。
映画「デデデデ 後章」浅野いにお描き下ろしの結末は!? 原作から変わった3つのポイント | アニメ!アニメ!
予告編の時点で、原作マンガとは結末が変わることが言及されていましたが、どのように変わったのかを書いています。したがってネタバレしている内容ですので、気をつけてください。
僕はこっちのが好みかなと。マンガの終わり方も面白さはありますが、やっぱり門出とおんたんの物語として終わった方がスッキリするのではないかと思います。
そのほか、群像劇的な要素を少なめにして主要キャラクターのドラマによりフォーカスしている点なども解説してみました。吉田玲子さんの脚色は相変わらず上手いですね。不自然さがないというか、エピソードを削ってもドラマの組み立て、人物の感情の変化に矛盾も飛躍も感じなくて、ドラマがきちんとしているんですよね。
以下、原稿作成時のメモと構成案。
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オリジナルと比べて
完全にIFの物語となっている。
原作・・・母艦の爆発を止められないが、映画では少し食い止めることができたので、社会が全滅のような状態にならなかった。
大葉が生き残り、おんたんと抱き合ってエンディング
もう一つの世界にシフトしない。父親のエピソードは割愛され、おんたんと門出たちは夏休みを過ごした場所で生き延びている。
違い
3つ挙げるなら、
・おんたん、門出、大場のメイン3人によりフォーカスした
・母艦の爆発が抑えられて、おんたんと門出の無事が確認された
・結果、滅亡気味の8.32の状態は描かれず、シフトもしない(原作最後は、門出のお父さんが侵略者と融合して生きていて、別の世界にシフトして、そこでハッピーエンド)。て感じか。
Point3つ
8.32は訪れない。。。大場の活躍によって母艦の爆発の威力は最小限に抑えられた。東京は大きな被害を受けたが、おんたんたちは無事なことが確認される。。。。原作は無事だったのかどうかわからない。8.32というディストピアが描かれ、死んだと思われていた門出の父がシフトをするという結末が語られる
その結果、もう一つの世界でオンタンと門出の大人になった姿は描かれない。
全体的に登場キャラクターをしぼっておんたんと門出、大場の物語にスポットを当てるようにしている。
Intro
デデデデ後章が公開。
あらかじめ、原作とは異なる結末になると宣伝で言及されていました。珍しいことですが、原作者自ら考えた結末で、原作を読んでいた人にも驚きのある鑑賞体験になっています。
その大きな違いをネタバレありでご紹介しておきます。
Body1登場人物を絞ってる
原作は多くの登場人物による群像劇的な側面もあるが、映画はおんたんと門出、大場の3人のメインキャラクターの物語として彼らのエピソードが中心です。
そのため、原作にいたキャラのいくつかが登場しません。
アメリカの日本オタクの彼らや、プロ弱者をやっている女性などは出てきません。他の登場人物も出番を抑えています。
スケール感は損なっていないのが構成の妙。これによってどこに注目すべきかを焦点をしぼりやすく、シフトしてきたおんたんの罪悪感や葛藤も感じやすい構成になっています。
Body2大場の決死の行動が足されている
大場が母艦を止めようとするくだりの描写はむしろ追加されており、ともだちのコードを打ち込み、母艦の爆発の威力を弱めることに成功。
その結果、世界が完全に滅んでしまわず、ある程度の世界が残されることになります。
原作では、母艦の爆発後、おんたんや門出の生死は不明なままですが、今回は明確に生き残って大場と再会する感動的な場面が描かれます。
メインキャラの1人が行動し、その成果が描かれることで物語のカタルシスとそれでも訪れた破壊のカタストロフと喪失感がやるせない思いを与えます。
Body3 8,32ともう一つの世界が描かれず
大場の活躍によって爆発の威力が弱まったので、結果として8.32は描かれません。
なので、このエピソードで中心となる門出の父は再登場することはなくなりました。父は死んだことになっていましたが、実は大場同様、侵略者と融合し生き延びていました。しかし、中の侵略者が死亡、変わりに父が自我を回復し、目覚めるところから8.32のエピソードが始まり、途方もないディストピアの中、門出たちを探す旅に出ます。
その結果、彼が行き付くのは、侵略者のシフト。もう一つの世界に飛ぶことになり、そこでおんたんや門出が大人になった平和な世界が描かれます。
しかし、何事もなかったようなリセット感が強かった原作の結末でしたが、そうではなく、半壊した世界に留まり生きていくという結末によって、これからもおんたんと門出の日常と友情は不変のものとして続いていくと言う力強さが強調されるようになりました。
総じて結末は完全に原作のIFという形ですが、小比類巻が新日本調和の立ち上げをほのめかすなど、8.32への布石を感じる終わり方になっていて、もしかして、原作のエピソードにここからつながるかもしれないと思わせる構成にもなっています。
青春ドラマとしての装いが強くなり、大場の戦いが見ごたえあるものとなっていて、スリリングさが増しています。
補完できるので原作も読むと一層面白くなる。
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メモ終わり。
『デデデデ』アニメは非常に良かったと思います。美術のレベルも高いし、キャラクターの芝居もいいし、声のキャストのハマり具合もかなりレベル高いし。顎脚と作品のマッチ具合も素晴らしくて、ハイレベルなメディアミックスだったと思います。
本作を制作したProduction +hはこれからも期待しています。『地球外少年少女』に続いて2本連続で素晴らしい作品を送り出していますし、集まっているクリエイターもレベル高いですし。
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