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芦原妃名子さんの死を無駄にしないために、テレビ業界が変わるべき点

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Brancに、『セクシー田中さん』の著者・芦原妃名子さんの訃報を受けて制作された、日本テレビと小学館の報告書を分析した記事を書きました。

『セクシー田中さん』報告書問題。ドラマ現場の過酷な労働実態がコミュニケーションを阻害した可能性 | Branc(ブラン)-Brand New Creativity-

2つの報告書を読むと、噛み合わないやり取りに芦原さんが相当に疲弊していたことが伺えます。この記事では、その噛み合わなさは誰が悪かったのかという犯人探しはしないで、もっと根本的な問題であるテレビという事業モデルが今後、どうあるべきかに焦点を当てています。

日本テレビの報告書を読むと、とにかくスケジュールがなさすぎる。これできちんとコミュニケーションとれという方が無理なスケジュールに見えます。現場のプロデューサーからは、悲鳴のような声が上がっているのが報告書を読むとわかります。こうした制作環境じゃないと回らないビジネスモデルなのであれば、形を変えて、また悲劇が起こってしまう可能性が高いと思います。

このような環境下で多大な心労を抱えたのは、芦原さんだけに限らないと思います。誰が犠牲になってしまってもおかしくないような環境を放置しないために、検証が必要だと思います。
 
 
以下、原稿作成時のメモと構成案。
 
 
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Point3つ
制作期間の異様な短さが常態化している実態
制作環境が悪ければ、何を気を付けても形を変えてトラブルは起きる
テレビの事業モデルの抜本的な改革が必要、
 
 

Intro

セクシー田中さんの報告書が好評された。

ここでは犯人捜しをしない。

日本テレビの報告書は、ある種のテレビの既存の事業モデルの変化を迫る内容と言える。
 
 

Body1制作期間の極端な短さ

コミュニケーションの齟齬が明らかに確認できる

しかし、この作品の制作期間は、わずか6カ月、

小学館の言い分では3カ月となる。

いずれにせよかなり短い。

前11話、1話46分の分量を作る上で、この短さは異様だ。

しかし、これはセクシー田中さんだけが極端に短いわけではない。

そのように報告書では現場からの回答がある。

しかし、プロデューサーの多くはこれを短すぎる、業務が増えすぎていると回答している。
 
 

Body2制作環境が悪ければ、形を変えてトラブルは起きる

報告書では、再三にわたる脚本とプロットの修正で芦原氏が相当に疲弊している様子が伝わる。

間に入ったプロデューサーなどの伝言ゲームで、内容がねじ曲がって伝わり、最後まで溝が埋まっていないように見える。

原作の理解、その他、相手の意図を咀嚼することが重要だが、差し迫ったスケジュールの中でどれだけそれはできるだろうか。

具体的に脚本の直しの日程がわかる部分を引用したい。

こうした制作期間含めた体制そのものを変えない限り、同じ悲劇ではなくとも、形を変えて悲劇は繰り返されるのではないか。

ストレスをためていたのは、芦原氏に限らないはずだ。日本テレビの若手プロデューサーも板挟みで相当なプレッシャーだったはずだし、多くの人が追い詰められてしまう環境になっていたのではないか。
 
 

Body3テレビの事業モデルの抜本的な改革が必要、

ドラマにかかる期待は昨今大きくなっている。

放送収入が右肩下がりで、配信権など放送外収入を見込めるコンテンツ、アニメやドラマにかかる期待は増している。

その結果、テレビ業界全体でドラマの製作本数が増加している。

ドラマの制作本数は直近5年で増加傾向にある。ビデオリサーチによると、関東地区においてNHKと民放局計7局が2023年に放送したドラマの延べ本数は6012本。13年(6298本)と比べ5%減だが、18年(5029本)と比べると20%増えている。

「(ドラマのような)ストックコンテンツは配信事業に貢献してくれる。注力をしようという明確な考え方を持っている」(日テレの福田博之専務)

キー局決算で見えた「TVerによる驚きの配信収入」 50億円規模の事業が3割も4割も伸びている | テレビ | 東洋経済オンライン

しかし、アニメのように海外市場を大きく切り開けているわけではなく、国内市場の奪い合いになっているのが現状。

海外市場を切り開かない限り、現状の厳しい制作体制を改革することは難しい。

しかし、今回の問題は、スケジュールが人を殺すことがあると証明したようなものであり、これを是正するためには、現場のコミュニケーションをしっかりやりましょうという掛け声だけでなんとかなるレベルではない。

海外市場でも競争力ある作品作りを目指し、じっくりと作品を作る体制。それには時間も予算もある程度かける必要がある。

そのためには事業モデルそのものに手を付ける必要がある。

同じ民放でもTBSはセブンを設立。さらに北米と韓国にビジネス拠点を作るなど、海外市場を攻める組織をすでに作っている。

日本テレビ中期計画

2期連続の営業減益となった日本テレビ、地上波テレビ広告が苦戦【決算から映像業界を読み解く】#50 | Branc(ブラン)-Brand New Creativity-
 
 

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メモ終わり。

これ以上悲劇を起こさないために、テレビは事業モデルを見直さないといけません。現場にただ気をつけるように言えばいいというレベルではないわけです。根本的な方向性の転換と労働環境の見直しが必要で、そのためには海外市場に活路を見いだせるような作品つくりをしないといけない、国内市場だけを観ながら作る今のあり方を変えないといけないんです。
 
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