シネマズPLUSに、映画『ラストマイル』のレビューを書きました。
【ラストマイル】「アンナチュラル」も「MIU404」も観ていない——それでも心に突き刺さる | CINEMAS＋
実は『アンナチュラル』も『MIU404』も観ていないのですが、そんな状態でどれだけ本作を楽しめたのかについて書いています。この作品、本当に面白かったです。現代社会を鋭く描写し、エンタメとして完成度も高い。日本映画にかけていたものを持っているなと思いました。
「シェアード・ユニバース」と謳っていて、2本のテレビドラマを観ていないと理解できないかなと、不安に思っている方も、安心して見に行ってください。映画は、ほとんど独立した物語なので、ついていけます。前2作のドラマの登場人物はゲスト出演くらいの感じです。
なので「ミリしら」状態でも全く問題ないです。
以下、原稿作成時のメモと構成案。
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Thesis
何も知らないで見て、どうだった？素直な感想
Point3つ
物流という社会の血液が人質に
巨大プラットフォームの支配、システムの犠牲になって心をすり減らす人間たち
知らないから誰が犯人なのか、わからないスリル。むしろスリルが増したのでは。多分、2本のドラマのキャラクターであろう人が、意味ありげに次々と登場するので、この中に犯人が？みたいに見えるので、知らない人ほどおすすめかも
今の社会に生きる人の物語として、とても完成されている
Intro
ラストマイル、何も知らずに見てみた。
シェアードユニバースであることを売りにしているが、実際、一本の映画として予備知識なくても楽しめるのか。
結論から言えば、思いっきり楽しめる。
Body1知らないから、誰が犯人かわからない
物語は、物流サービスに仕掛けられた爆弾の正体と動機を探る。そこに満島ひかりや岡田将生、警察、運送業の人など、様々な関係者のエピソードが絡み合い、描かれる。
デイリー・ファスト、そして満島ひかり演じる主人公は、どっちのドラマの登場人物なのかなと思いながら、見ていたら、なんか多分、これオリジナルの主人公なのでは？と途中から気づいた。
というか、MCUのように見づらくない。むしろ、何も知らないのにすんなり物語に入っていけたので、そのことに気づいた。ほとんど予備知識などなくても、一本のスリリングな映画として、楽しめるようになっている。感のいい人ならわかるというレベルではなく、主人公が初登場の人で、その人を中心にするから、普通にここからこのユニバースに入っても、全然問題ない。
それどころか、誰が誰なのか知らないから、おそらくドラマの登場人物であろうキャラクターがどんどん意味ありげに出てくるから、だれもが疑わしく見えてくる。これは、ミステリー系の映画など、大物が出てくるとキャスティングで犯人だとわかってしまうデメリットを逆手にとっているのかもしれない。大物俳優が後から後から次々と出てくるから、誰が犯人か予測できなかった。
多分、ドラマのファンの方はこういう風には見えなかったと思うけど、しらない観客には、そういう効果を発揮している。ミステリー度合いは、ドラマを見ていない人のほうが高い。
Body2物流という日本社会の血液
ネット販売は便利。注文したら翌日に届く。すごい
しかし、その凄さを支えている、あるいはその仕組みに犠牲になっている人は誰なのか。普段、PCやスマホの画面で「ポチる」その先にいる人間たちの物語だ。
物流が麻痺したら、大変だ。爆弾騒ぎがあっても巨大な資本の会社は物流を止めようとしない。恐ろしい。人名軽視だ。
しかし、人名軽視なのは、普段の業務からしてそうだった、ということが次第にわかってくる。巨大システムの犠牲になる現代人の物語として秀逸だ。
システムの奴隷になって心を喪ってはいけない。見事な社会派エンタメだった。
見終わった後に、配送業者の方がお仕事されている現場に出くわした。軽く一礼した。経済の循環を支えている人々に感謝したくなる作品だった。
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メモ終わり。
記事には含めなかったですが、本作はブラックフライデーを取り上げているのが良かったと思います。日本の物流における繁忙期は、正月やお歳暮の時期などいくつかありますが、一番最近になってアメリカからなぜか輸入されてきたブラックフライデーの方が、グローバル資本主義に翻弄される現代人が描写できます。
クリスマスとか、外来の繁忙期は他にもありますけど、一応お祝いごととセットじゃないですか。バレンタインデーなんかもそうだし。でも、ブラックフライデーって元々は、アメリカの祝日「サンクスギビングデー」の次の日の金曜日の安売りの日のことなんですよね。つまりサンクスギビングありきなんですけど、日本にはなぜかブラックフライデーだけ入ってきて、なぜか安売りしているという奇妙な状態です。
明らかにAmazonみたいな企業の都合でしかないですよね。むりやり作られた繁忙期って感じがします。そんなもののために、作中では悲劇が起きるわけです。やるせないですよね。
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