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徹底解説】『虎に翼』の隠された演出意図 セリフだけでは語れないドラマの世界

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リアルサウンド映画部に、朝ドラ『虎に翼』の演出について書きました。

『虎に翼』のクオリティを担保した“画面演出” 随所に見られた映像的な工夫を振り返る|Real Sound|リアルサウンド 映画部

脚本が褒められたり、役者の芝居について書かれることの多いテレビドラマですが、演出的にどうなのかという話をしています。この作品は、とても演出の上手いドラマだと思います。非常に気が利いていて、セリフ以外の画面で語るという演出ができています。

原稿の中でいくつか取り上げたものの他にも、たくさん素晴らしい演出がある作品で、NHKドラマ部のレベルの高さを証明していますね。
 
 
以下、原稿作成時のメモと構成案。
 
 
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11集、6月13(木)
韓国出身のひゃんのことを語るシーンのど真ん中に日本地図を置く。これは日本全体に染み付いた差別の話なのだということを強く印象づける効果を発揮 演出:梛川善郎

21週、8月20日(火)放送 
等々力「この先の人生、お互いを支え会える保障は法的にない」言う前、壁の憲法が等々力に被らず、寅子にだけ被る 演出:酒井悠

22週、8月29日木曜、
優未から共感を得られ、そして知らなかった母と父のエピソードを聞けたことから、徐々に心を開き始めます。・・・・しかし、不在の椅子がある。寅子を床に座らせてまで。家族の絆が出来始める、1人を除いて、というのを端的に見せたショット 演出:橋本万葉

23週9/6(金)
原爆裁判判決の真正面カット。 演出:梛川善郎 
 
 

Intro

朝ドラは、セリフやナレーションで進行することが多いことに特徴がある。

これはこのドラマシリーズが、元々はラジオドラマを出発点にしていることが大きな理由だ。

そもそもは小説をラジオで朗読している枠が、ラジオドラマとなりテレビ放送開始されると、その枠がテレビへと映ってきた。そのため、ナレーションが入ることが慣例となっている。

そのため、全てをセリフとナレーションで説明しているような印象を受けるかもしれないが、実際には豊かな映像表現も内包されている。今、放送中の『虎に翼』も随所に豊かな映像演出が見られ、それがドラマの質を高めている。

あまり朝ドラの画面演出について言及されることは少ない。ここでは寅に翼を題材にその映像の演出の妙味を一例を見せてみよう。このドラマを一層深く楽しめるようになるはずだ。
 
 

Body1第11週「女子と小人は養い難し?」6月13日(木)演出:梛川善郎

花岡(岩田剛典)が違法である闇市の食べものを一切拒否して栄養失調で亡くなったと聞き、衝撃を受ける寅子(伊藤沙莉)。戦地から戻った轟(戸塚純貴)はよね(土居志央梨)と再会し、苦しい胸の内を打ち明ける。翌年、GHQからの通達を受け、桂場(松山ケンイチ)らは家庭裁判所設立に向け動き出す。家庭裁判所設立準備室に異動することになった寅子は、残り2カ月で家事審判所と少年審判所を合併し、家庭裁判所を発足させなければならないのだが、話し合いは進展せず、上司の多岐川(滝藤賢一)からはやる気が感じられない。

11集、6月13(木)

韓国出身のひゃんのことを語るシーンのど真ん中に日本地図を置く。これは日本全体に染み付いた差別の話なのだということを強く印象づける効果を発揮 演出:梛川善郎
 
 

Body2 第21週「貞女は二夫に見えず?」8月20日(火)演出:酒井悠

航一(岡田将生)からの提案に戸惑う寅子(伊藤沙莉)は自分の気持ちを整理しようと試みる。花江(森田望智)は、寅子の選択に任せるつもりだが、いまひとつ状況がわかっていない寅子の様子に不安を募らせる。星家を訪ねた寅子と優未(毎田暖乃)は、朋一(井上祐貴)、のどか(尾碕真花)、百合(余貴美子)と対面する。猪爪家では、直人(青山凌大)が司法試験、直治(今井悠貴)はサックス修行とそれぞれ将来の道を選び始めてい

21週、8月20日(火)放送 

等々力「この先の人生、お互いを支え会える保障は法的にない」言う前、壁の憲法が等々力に被らず、寅子にだけ被る 演出:酒井悠
 
 

Body3 「女房に惚れてお家繁盛?」8月29日(木)演出:橋本万葉

昭和31年。星家で暮らしはじめた寅子(伊藤沙莉)と優未(毎田暖乃)だが、航一(岡田将生)の長男・朋一(井上祐貴)、長女・のどか(尾碕真花)とはまだぎこちない雰囲気だ。百合(余貴美子)が家事全般をほぼ一人で引き受けていることに疑問を感じた寅子は、つい苦言を呈してしまう。一方、地裁では判事補・秋山(渡邉美穂)が予期せず妊娠したことを寅子に告げる。秋山の件をきっかけに女性法曹の労働環境を良くしたいと考えた寅子は「意見書」をまとめ、桂場(松山ケンイチ)に提出する

22週、8月29日木曜、

優未から共感を得られ、そして知らなかった母と父のエピソードを聞けたことから、徐々に心を開き始めます。・・・・しかし、不在の椅子がある。寅子を床に座らせてまで。家族の絆が出来始める、1人を除いて、というのを端的に見せたショット 演出:橋本万葉
 
 

Body4 第23週「始めは処女の如く、後は脱兎の如し?」9月6日(金)演出:梛川善郎

昭和34年、直明(三山凌輝)と玲美(菊池和澄)の間に子供が産まれ、ますますにぎやかになった猪爪家。星家では寅子(伊藤沙莉)と航一(岡田将生)が認知症の症状が進行する百合(余貴美子)を支えていた。東京地裁では、「原爆裁判」の準備手続が終了。いよいよ口頭弁論が始まるという時に、弁護士の雲野(塚地武雅)が倒れてしまう。原告・吉田ミキ(入山法子)は出廷を決意するが―。一方、修業中の梅子(平岩紙)にも転機が訪れる

23週9/6(金)

原爆裁判判決の真正面カット。 演出:梛川善郎
 
 
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メモ終わり。

この原稿のために脚本も読みましたが、結構完成映像とは異なりますね。脚本を演出陣がどう解釈して、どのように画面に定着させたのかがわかるので、脚本も一緒に読むとさらに楽しめると思います。わりともっと脚本ではセリフで説明しているところもあるんですけど、それをセリフに頼らず、映像で表現している箇所も多々あって、演出の勉強になります。

 
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