リアルサウンド映画部に、『九龍ジェネリックロマンス』の実写化とアニメ化同時発表についてのコラムを書きました。
『九龍ジェネリックロマンス』実写化の鍵は“なつかしさ”の表現 アニメとの違いから考える|Real Sound|リアルサウンド 映画部
実写化とアニメ化、両方する作品は珍しくないですが、同時発表でしかも予告も実写とアニメを混ぜるタイプの企画はこれまであまりなかったと思います。
ただ、最近は出版社の企画コンペで実写化とアニメ化の権利両方を取得することを条件にすることも多いそうで、この手の企画が増えてくるのではないかと思っています。
『九龍ジェネリックロマンス』は、SF的な設定とノスタルジックな街を舞台にした作品で、街の雰囲気が重要な要素になる作品です。この街の空気感を映像でどう表現するのかが、ポイントになると思います。九龍はかつて香港にあったスラム街ですが、すでに存在しませんから、実写でこの空気感をどう作るのか、注目されます。アニメの場合は、絵で描けるので美術が頑張ればいいと思いますが、実写の場合、どう撮影するのか、考えどころだと思います。
以下、原稿作成時のメモと構成案。
——————-
参考
『九龍ジェネリックロマンス』ラブストーリーの背後にある謎とは? SF漫画としての魅力に迫る|Real Sound|リアルサウンド ブック
Point
作品の持つ魅力
実写とアニメ同時展開、同時予告。。。。近年企画コンペで同時映像化を条件にすることもあるらしい
それぞれに期待すること
魅力:香港を舞台にしたオリエンタルでノスタルジックな世界観やさまざまな感情が交錯するラブストーリーはもちろん、話が進むにつれ明かされるSF・ミステリー要素も
Intro
週刊ヤングジャンプ連載の眉月じゅんのマンガ『九龍ジェネリックロマンス』が実写映画化とアニメ化が発表
人気マンガの実写化もアニメ化も特に珍しいことではないが、同時に発表されるケースは珍しい。
Body1本作の魅力とあらすじ
九龍城砦の不動産店で働く鯨井令子は、2歳下の同僚、工藤発に恋している。 だがある日、令子は工藤と自分が婚約記念に撮ったという写真を見つけ、自分に過去の記憶がないことに気づく。 東洋の魔窟、九龍城砦を舞台に繰り広げられる訳あり男女の日常ロマンス。
ノスタルジー溢れる街「九龍城砦(くーろんじょうさい)」の不動産屋で働く鯨井令子(くじらい れいこ)は先輩社員である工藤発(くどう はじめ)に心惹かれていた。その恋を自覚した令子は、1枚の写真から工藤にはかつて婚約者がいたことを知るのだが、その婚約者は自分と全く同じ姿だったー。妖しくも美しい九龍の街で繰り広げられる日常。秘めた想いは密かな願いと成って、衝撃の真実を連れてくる。
過去・現在・未来が交錯する中、恋が、全ての謎を解き明かすー。
九龍とは。
本物の九龍ではない。そして、SF要素が実は強い作品。ジェネリック地球(テラ)が空に浮かび、富裕層はそこに暮らしているようだ。
そして、主人公の鯨井にもある秘密が隠されている。
雑多なアジアの町の活力とノスタルジーが支配する。本物の九龍はもうない、犯罪の巣窟だったわけだが、そのデタラメな建築物の乱立は確かに独特の趣きがあり、ある種の魅力を放っている。
何もかも理路整然とした現代的な都市感と異なる、あの雑然としたものへの憧憬。本物ではなく、みなの思い出の中になるまがい物(ジェネリック)であるとわかっていても、惹かれる雰囲気がある。
ある種、海外観光客が、歌舞伎町近くのゴールデン街に惹かれる郷愁と重なる。
Body2実写化とアニメ化同時発表
これまでも実写とアニメ、両方企画されるマンガが数多かった。同時に予告を合わせて作るのは珍しい。
聞いた話だが、最近はアニメ化と実写化を両方まとめてコンペすることも珍しくないらしい。出版社としては、アニメファンと実写の映画ファン、それぞれ異なる領域にアピール可能になるので、それを条件にするパターンが出てきているのだろう。
「夜明けのすべて」「あのこは貴族」「さかなのこ」…バンダイナムコフィルムワークスの邦画が気になって | レーベル推し #1 | Hanako Web
映画の方はバンダイナムコフィルムワークスが配給を務めるようだ。この会社の映画配給は、転スラやブルーロックなどアニメのイメージが強いが、今年は『ハピネス』や『夜明けのすべて』などの秀作実写映画も配給している(アスミック・エースと共同)。
Body3それぞれに期待すること
これは本物の九龍ではないという点にポイントがある。あの雑然とした町の雰囲気をどう映像で表現するか。人間の酸いも甘いも、人情も犯罪もまるごと包摂していそうなあの町の雰囲気を生み出すことができるかどうかが重要。
実写でどこでロケをするのか、セットを用意できるのか、ポイントになる。
アニメであれば、絵で描けるので、そういう雰囲気を大事にして描けばいいと思うが。
公開された特報では、実写パートには引いた全景のショットはなく、アニメのカットには全景がある。どちらがより、原作の九龍のあのノスタルジックな雰囲気に迫りやすいかと言えば、絵で描けるアニメの方だろうとは思うが、実写で再現することができるのなら、絵では迫りきれない、相当な魅力ある映像を作れることになるかもしれない。
現状、ロケ場所がどこか、セット撮影が主体なのかわからないが、
これはラブロマンスで、その感情をなつかしさと結び付けている作品
「なつかしいって感情は、恋と同じだと思っている」
切れかけの電灯、カビくさい路地裏、うるさい隣人、そのどれもが無性になつかしい。
そのなつかしさにどこまで映像で説得力を出せるのか、成否を分けるポイントになる。
——————
メモ終わり。
公開された予告映像は、実写のカットは寄りの画が多いので、街の雰囲気がまだわかりません。街の全景カットはアニメのものなので、アニメの方はうまいこと街の空気感を表現できていそうな感じがありますね。
実写はセットを組んだり、ロケしたり、いろいろな組み合わせで作っていくことになると思いますが、あの雑多なスラム街の感じをどう作り上げるのか、注目したいと思います。
あとはキャストですね。実写の吉岡里帆、水上恒司、アニメの白石晴香、杉田智和、ともにいい雰囲気を出していると思います。他のキャストの発表も気になりますね。
関連作品
※サムネイル画像は、Adobe Fireflyで生成。