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選択的夫婦別姓裁判に性同一性障害特例法の違憲判決が影響する理由。強制的な二択を迫られることは人権侵害

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弁護士JPで、選択的夫婦別姓の集団訴訟で弁護団を務める、三浦徹也弁護士に取材してきました。

「選択的夫婦別姓訴訟」の争点とは… 姓の変更か結婚を諦めるか“強制的な2択は違憲” | 弁護士JPニュース

選択的夫婦別姓を求める集団訴訟は、正式名称は「夫婦別姓も選べる社会へ!訴訟」といいます。こうした集団訴訟は、2015年と2021年にもあり、その時はいずれも最高裁で敗訴、現行憲法は合憲と判断されました。

過去2回に渡り敗訴した訴訟の3度目が立ち上がった背景とはどういうものか、そして、今回は過去2回とは異なる主張はあるのか、社会の変化の後押しなど、いろいろな視点で今回の訴訟についてお聞きしました。

第2回口頭弁論の時にあった会見の模様は記事にしていますが、改めて今回の訴訟の意義やポイントを詳しく解説してもらっています。

口頭弁論時の会見記事はこちら。
「事情変更」「通称使用の限界」訴え 3度目の選択的夫婦別姓訴訟の集団訴訟のポイントは?

 
 
以下、原稿作成時のメモと構成案。
 
 

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参考
“パートナーシップ制度”では「平等」を得られない 「同性婚訴訟」弁護士が語る“本当の”争点とは | 弁護士JPニュース
選択的夫婦別姓 これからの結婚のために考える、名前の問題 – 岩波書店
CALL4|社会課題の解決を目指す“公共訴訟”プラットフォーム
「選択的夫婦別姓」賛成が62% 反対は27%に NHK世論調査 | NHK
法務省:選択的夫婦別氏制度(いわゆる選択的夫婦別姓制度)について
令和3年度実施「家族の法制に関する世論調査」夫婦の氏に関する調査結果の整理
 
 

構成

Point4つ
夫婦別姓の実現を求める裁判が3度目立ち上がった理由
これまでとの相違点、LGBT法案の成立が後押しに?
人権問題としての選択式夫婦別姓
見通し、社会の変化等
 
 

Body1夫婦別姓の実現を求める裁判が3度目立ち上がった理由 

3回目の訴訟への参加経緯:
2回目の訴訟で判決が出た後、弁護団のテラハラさんを通じて3回目の訴訟に関わることになった。
2回目の判決で敗訴したものの、社会の変化を感じ、3回目の訴訟が必ず行われると確信していた。

3回目の訴訟の背景:
2回目の判決では多数意見が合憲と判断したが、反対意見の中には社会の変化を指摘するものがあった。
社会の変化を背景に、選択的夫婦別姓制度の必要性に対する世論が高まっていると感じた。
裁判所の判断だけでなく、社会全体の議論を喚起し、変化を促すために3回目の訴訟が必要だと考えた。

訴訟の目的:
訴訟に勝つことを目指すのは当然だが、社会全体の議論を喚起し、選択的夫婦別姓制度の実現に向けて社会と共同で行動していくことを目的としている。
世論調査で賛成意見が過半数を超えている状況下で、国会が動かない現状に対して、さらなる世論喚起を行う。
 
 

Body2国の主張の問題点

 
選択的夫婦別姓制度が実現しない理由

家族観の対立:
国会内に、家族は同姓でなければ一体感が生まれず、崩壊してしまうという根強い考え方が存在する。
明治民法時代の家制度の名残や、社会の変化に対する不安感も影響している。

国会の消極的な姿勢:
国会は、慎重な議論が必要だとして、議論を積極的に進めようとしていない。
1947年以降、夫婦別姓に関する議論は存在したが、具体的な動きには繋がっていない。

裁判所の判断:
裁判所は、過去の裁判で同姓にすることには家族の絆を高める合理性があると主張する国側の意見を採用した。
原告側の主張である、同姓にしないことで婚姻制度から排除されることの不合理性に対する理解が不足している。
裁判官によって、人権的な観点から問題を捉えるかどうかにより、判断が分かれる。
 
国と原告側の主張の食い違い

家族の絆に関する証拠:
国側は、同姓にすることで家族の絆が深まるという主張をしているが、具体的な証拠は提示されていない。

不利益の緩和:
国側は、通称を使用することで不利益が緩和されると主張するが、原告側は、アイデンティティの喪失感など、根本的な問題は解決されないとする。

主張の繰り返し:
原告側は、2015年、2021年の訴訟から一貫して同じ主張を続けている。
 
問題の本質

合理性の解釈:
同姓にすることの合理性に関する解釈が、裁判所と原告側で大きく異なる。
裁判所は、国会の裁量範囲内であると判断しがちである。

不利益の評価:
裁判所は、不利益を軽視し、通称の使用で十分と判断する傾向がある。
原告側は、不利益は緩和されるものではなく、根本的な問題であると主張する。
 
 

Body3 性同一性障害特例法が助けに?、新たな原告団の主張は

 
訴訟における主張の継続性と発展性

主張の根幹:
姓を変えることによるアイデンティティの喪失感の問題は、最初の訴訟から一貫して主張している。
姓を維持するか、婚姻を諦めるかの二者択一を強いられる状況が問題であるという点も変わっていない。

新たな展開:
2015年以降、憲法24条(婚姻の自由)に関する学術的な議論が活発化し、本件訴訟との関連性が深まった。
トランスジェンダーの性別変更に関する特例法の違憲判決が、本件訴訟の根幹となる議論に影響を与えている。
 
性同一性障害特例法の判決が与える影響

二者択一の状況:
トランスジェンダーの性別変更手術に関する判決では、身体的な負担を伴う手術を受けるか、自分のジェンダーアイデンティティで社会生活を送ることを諦めるかの二者択一を強いられる状況が問題視された。

本件訴訟への示唆:
姓を維持するか、婚姻を諦めるかの二者択一も、トランスジェンダーのケースと同様に、個人の自律的な意思決定を阻害するものであると主張できる。

憲法24条の解釈:
婚姻の自由は、単に結婚する権利だけでなく、個人が自由に婚姻に関する決定を下せる権利であると解釈できる。
 
訴訟における新たな視点

多様な当事者の視点:
姓を変えたことによる苦しみを感じている人だけでなく、婚姻を諦めている人たちの視点も考慮する必要がある。

憲法上の問題点:
姓を維持したい人、婚姻したい人、それぞれが異なる憲法上の権利を主張しているように見えるが、本質的には同じ問題、つまり、二者択一を強いられる状況が問題である。

議論の深化:
特例法の判決を参考に、本件訴訟における議論をより深化させることができる。

 
 

Body4 人権問題としての選択式夫婦別姓

 
通称使用の限界と問題点

通称使用の拡大:
銀行口座開設、携帯電話契約、パスポート取得など、様々な場面で通称使用が拡大している。
しかし、通称使用はあくまで例外的な措置であり、本名と異なることによる不利益は完全に解消されない。

アイデンティティの喪失:
通称使用を求める声は、姓を変えたくない、自分のアイデンティティを維持したいという思いの裏返しである。
通称使用の拡大は、その問題の本質を解決するものではない。
 
男性が姓を変えることへの困難

社会的プレッシャー:
男性が姓を変える場合、周囲から「なぜ男が姓を変えるのか」といった非難や偏見にさらされることが多い。

夫婦間の力関係:
夫婦間で話し合いが行われても、女性の方が姓を変えることが多い。
男性が姓を変えることは、周囲の目を気にして決断を迫られることが多い。
 
未婚のカップルが増加する要因

姓の問題:
姓を変えたくないために、結婚を諦めるカップルがいる。
子供の福祉の観点からも、未婚のカップルが増えることは問題である。

社会の偏見:
別姓のカップルに対して、周囲から否定的な意見や差別的な扱いを受けることを恐れる人が多い。
 
社会の意識改革の必要性

同姓へのこだわり:
同姓でなければ家族ではないという考え方が根強い。
周囲からどう思われるかという不安が、同時姓を望む大きな理由の一つ。

偏見の解消:
別姓のカップルに対する偏見をなくし、多様な家族の形を認める社会を作る必要がある。
 
 

Body5 見通し、社会の変化等

 
選択的夫婦別姓制度と政治状況

岸田政権の姿勢:
岸田文雄首相は、当初は選択的夫婦別姓制度に理解を示していたが、その後、慎重な姿勢に転じている。

石破茂氏の期待:
石破茂氏は、選択的夫婦別姓制度の実現に積極的な姿勢を示しており、今後の動向が注目される。しかし、総理になって言うことが変わっている。

世論とメディアの変化:
選択的夫婦別姓制度に対する世論の支持が高まっており、メディアの報道も大きく変化している。
以前は中立的な立場からの報道が多かったが、現在は制度導入を支持する意見が積極的に取り上げられるようになってきている。
 
裁判の展望

勝訴への期待:
三浦さんは、今回の裁判で勝訴できる可能性が高いと考えている。
世論の支持やメディアの報道が追い風になっている。

これまでの闘いの成果:
長年の活動によって、社会全体の意識が変化し、選択的夫婦別姓制度に対する理解が深まっている。
 
 
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メモ終わり。

選択的夫婦別姓の訴訟の議論に、「性同一性障害特例法」の違憲判決が影響を与えているという話は、新鮮でした。二択を迫られること自体がおかしいんだ、ということなんですね。今回の取材のハイライトはここでした。
 
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