リアルサウンド映画部に、『イル・ポスティーノ』のレビューを書きました。
こんなふうに生きることができたならば 『イル・ポスティーノ』に収められた命のきらめき|Real Sound|リアルサウンド 映画部
90年代のミニシアターブームの頃を代表する作品の1本ですが、僕の映画鑑賞の原体験を構成する1本でもあります。本当に懐かしく見させてもらいました。
今回4Kリマスター版が上映されるということで、レビューを仰せつかりまして、とても嬉しかったです。
本作は、主演のマッシモ・トロイージの死とともに語られることが多く、それはとても重要なことではあるのですが、純粋にいかに映画作品として素晴らしいのかを書くことに努めました。もちろん、彼の死に触れないわけにはいかないのですが。
実際、作品内容は命「の輝き」というべきものを描いていて、それを体現したのが主演のマッシモ・トロイージだったわけで、それは彼の命をとして映画を作った覚悟も幾分か会ったのだろうと思います。
以下、原稿作成時のメモと構成案。
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Thesis
生命のきらめき、命のまたたき、その瞬間が写っている
Point3つ
マッシモ・トロイージについて。。。死と情熱、そのフィルムに宿ったペルソナ
言葉と詩・・・メタファー。。。。記号学への招待から引用するか。。。詩人は言葉の牢獄に挑むもの
感動の正体は。。。あんなにも無邪気な笑顔を見せるのか、死にゆく人が
Intro
あんな風に生きられたら、と思う瞬間に出会う映画
イル・ポスティーノは、90年代のミニシアター大ヒット作であり、世界中を感動させた物語。
イタリア語作品でありながらアカデミー賞ノミネート
主演のマッシモ・トロイージは撮影の12時間後に亡くなった。
この美しさに溢れた映画は、30年を経てもその輝きが消えることはなかった。
Body1作品の概要
あらすじを簡単に
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言葉を運ぶ人と言葉を作る人が友情を育む
メタファーを知り豊かな世界を知る、感性豊かな愛を知り、成長していく中年の男。
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ナポリの美しい小島、波の音、絶壁から見える青い空と海、漁師たち、古い家並み、桃源郷のような美しさがある
Body2 マッシモ・トロイージについて
撮影終了12時間後に亡くなったという逸話とともに世界中で公開された作品だ。
その死は、作中のマリオとも重なり、映画を一層感動的にした面があることは確かだ。
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元々、短命だった。
彼が最後に命を燃やそうと思った企画だった。
そのことをどう捉えるか、その死をまとったペルソナを、
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補足情報であるが、確かに、この映画には生命の揺らめき、瞬きの美しさが感じられることも確か。
それはマッシモ・トロイージの姿によって表現されていることもまた間違いない。
Body3マッシモ・トロイージの無邪気な笑顔
しかし、あんなにも無邪気な、純真な笑顔を、初めて知った詩の世界への好奇心にあふれた顔を、これから死にゆく人ができるものなのか。
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人はいつだって、新しいものに触れて、新しい世界を知ることができるとこの映画は言っている。
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人生は、生きるということはこういうことだという力強くもはかない説得力がある映像。
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詩人は、言葉の牢獄から出ようとする人のこと。
詩は確かにマリオの人生を解放し、新しい世界を教えた。
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この映画もまた、時を経ても色褪せない魅力でもって、観客に新しい世界を見せてくれる作品。マッシモ・トロイージの肉体は滅んでも、この映画と詩は滅びず、人々を魅了し、生きることを勇気づけてくれる。
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メモ終わり。