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【ダンダダン】アクさらの悲劇が視聴者に突きつける現実とは? シングルマザーの貧困は日本でも深刻

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アニメ!アニメ!の敵役連載で、『ダンダダン』のアクロバティックさらさらを取り上げました。

「ダンダダン」7話で描かれたアクさらの過去― そのリアルな描写が示す現実の理不尽 | アニメ!アニメ!

アクさらの悲劇は、シングルマザーの貧困率が非常に高いこの日本社会ではありふれたものなのではないか、という視点で書きました。

このアクさらの過去が描かれたアニメ7話の演出はひときわリアリズムにこだわった画作りをしています。それゆえにこのエピソードで描かれた痛みがとにかく映像からひしひしと伝わるすごい内容でしたが、どうしてここまでリアル調にするべきだったか、視聴者はそこから何を受け取るべきなのか、書いてみようと思いました。

『ダンダダン』はエロネタもギャグも満載ですが、こういう現実の痛みを描くことを忘れていない作品です。原作理解が深いからこそできる演出だったと思います。
 
 
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方向性
7話がどう演出されたかについても触れるべきか。
それよりもどんな敵役として描かれているかに注目すべきか。
 
Point3つ
アニメはアクさらをどう描いたか
悪霊の裏に悲劇があるということ、アクさらの悲劇はどんなものだったか
現実社会とのリンク
 
 

Intro

アニメ『ダンダダン』7話が大変な評判になっている。

この回は、モモとオカルンが対峙したアクロバティックさらさら(アクさら)との決着とその過去が描かれた。

『ダンダダン』という作品の持ち味が存分出た。コミカルさや野蛮さを含む悪霊や宇宙人という敵に強烈な悲劇があるということ
 
 

Body1アクさらの過去

シングルマザーで仕事を掛け持ち、売春もしている。

小さなアパートで2人暮らし。貧しいがささやかな生活に幸せもあった。

子どもに赤いドレスを買ってあげていた。そのドレスはアクさらが着ていたデザインと同じもの

ある日、借金取りがやってきて娘をさらっていった。その絶望から、彼女は屋上から身を投げる。

この描写を、アニメでは限りなくリアルに、観る人にも痛みを伴うように見せた。そして、極上の美しさで彼女の魂を描いている。

日本のシングルマザーの貧困率が突出して高い理由 : 読売新聞
 厚生労働省の発表した2016年度の「全国ひとり親世帯等調査」によると、日本には約142万の「ひとり親世帯」がある。内訳は、父子世帯の約18万7000世帯に対し、母子世帯はその6倍以上、約123万2000世帯に上る。ひとり親世帯の9割近くが母子世帯だ。
 注目すべきは、その経済的困窮ぶりだ。OECD(経済協力開発機構)の調査では、ひとり親世帯で、なおかつ親が就業している場合の相対的貧困率(全国民の所得の中央値の半分を下回っている割合)は、日本が54.6%と先進国では頭一つ抜けている。

ひとり親世帯の4割超が「貧困」、OECD36か国中5番目に高く…続く生活苦「近年で最も深刻な状況」:地域ニュース : 読売新聞
一般社団法人シンママ大阪応援団(大阪市)が昨年12月に食料支援をした母子世帯は250世帯で、コロナ禍前の2019年12月の約4倍に増えた。大半がパートで働くが、時給はほぼ最低賃金の水準といい、寺内順子代表理事は「9年前の団体設立以来、最も深刻な状況」と明かす。
 

子どもの貧困問題とは|日本の現状と社会への影響を解説
OECD(経済協力開発機構)の調査によれば、日本はOECD加盟国のうちデータがある37か国の中で、子どもの貧困率が19番目に高い国とされています(2023年7月現在)。日本は経済的に豊かな国として認識されていますが、日本の子どもの貧困率は決して低くはありません。35人学級1クラスに約4人の子どもが貧困問題を抱えています。

バレエシーンは生き呑む美しさだった。このことをどう捉えるか。
 
 

Body2 社会の理不尽は現実にあるということ

これほどリアルな痛みを表現する必要はあったのか。あった。

悪霊や都市伝説など、古くは怪談も社会の理不尽によって悲劇を被ったものが元ネタになっていたりすることがある。ターボババァのエピソードでも、殺されたたくさんの少女の存在が示唆されたが、悪霊の生まれる背景には、現実の社会の理不尽がある。

このエピソードは、それを色濃く体現するものだった。

アニメはマンガと比べても写実寄りにしている。作画もリアル調。実写さながらの見た目ショットも印象的だった。

かなり大袈裟に暴れた後なので、その印象をいっぱつで覆せるだけのインパクトあるエピソードにしなくてはいけない。変に手を抜けば、アクさらに対する中途半端な批判が増えてしまうだろう。

これだけの大きな悲劇として見せる必要があった。

このアクさらの悲劇を直接知るのは、愛羅とモモの女の子だけでオカルンは蚊帳の外であった。そこに一種の女性の連帯も描かれて、彼女は成仏に至る。

忘れがたいエピソードとなった。こういう悲劇があることを胸に刻んでちょっとでもマシな世の中になることを願いたくなる、そんなエピソードと敵役だった。
 
 
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メモ終わり。

『ダンダダン』は基本的に楽しい作品ですが、時にこういうエピソードで現実に苦しむ人に目を向けてるのもいいと思うんです。「優しい世界へ」というサブタイトルのあり方も、こういう現実に苦しむ人が少しでも救われますようにという願いも込めているんじゃないかと。
 
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※サムネイル画像は、Adobe Firefly で作成。