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【モンスター】趣里主演の異色弁護士ドラマ:社会問題を鋭く切り込む法廷エンタメ

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カンテレのテレビドラマ『モンスター』は、型破りな弁護士を主人公にした法廷ものだ。

今年は、弁護士や検察を題材にしたドラマが多かった気がするが、社会の何を反映しているのだろうと、ふと考える。日本人が急に法的マインドを発達させたということではないだろう。世の中の問題が複雑化していて、様々な事情が入り組んでいるので、スパッと法理によってことの良し悪しを推し量る法廷ものに爽快感があるということかもしれない。TBSの『アンチヒーロー』などは、そういう気分を逆手にとって、犯罪者を無罪にする弁護士(ドラマの表向きには)が主人公だった。
 

 
で、趣里主演の『モンスター』はどうか。タイトルが示すのは誰のことなのか。公式サイトでは主人公の神波亮子を「モンスター弁護士」と呼んでいるわけだが、そんなにモンスター感はない。感性が普通ではなくて、一風変わった天才肌という感じ。

第一話で「弁護士をやってみようと思った」と、なんかバイトでも始めるくらいの感覚で、弁護士になる主人公は、違法スレスレの潜入をやってのけたり、大胆に動き回り、コンビニ勤務の城野尊(中川翼)を使いハッキングしたりと、危ない橋をわたりつつ依頼を解決していく。

ただ、このドラマはただ単純に法廷闘争を勝つだけではなく、依頼人の抱える根本的な問題を、裁判を通じて明らかにして解決するという方向に向かっているのが特徴的だ。それは亮子が勝訴しても敗訴しても。

第5話と6話で描かれる、「親子対決」がわかりやすい。序盤から存在が匂わされていた、亮子のお父さんで弁護士の粒来春明(古田新太)が相手方の弁護士として登場するエピソードだ。亮子の依頼人のサトウエマ(秋元才加)は、父が代替医療に絶望して普通の治療を受けなくなり、死んだと考え、クリニックを訴える。しかも、多額の金をそのクリニックに寄付までしている。尊敬していた父はどうかしてしまったと考えているエマは、お金を取り戻すために裁判を起こす。

しかし、金を取り戻すことに、彼女の本質的な目的があったわけではない。彼女は父に対するリスペクトの気持ちを取り戻したかった。結果としては、敗訴のような形(訴訟取り下げ?)となり亮子は負けるわけだが、依頼人のわだかまりは解決する。
 

 
代替医療の是非は典型的だが、今の科学や法律では白黒はっきりつけられない部分にこのドラマは切り込んでいこうという姿勢で作っているようだ。精子提供や体罰、アイドルと音楽プロデューサーの間で勃発する盗作騒ぎに聖地巡礼での町興し、闇バイトなどなど。題材の取り方は興味深いものがある。テレビはリアルタイム性が本来売りのはずだから、今現在、世間を騒がせているネタを積極的に取り込んでいく姿勢は良いと思う。

 

ジェシーの弁護士らしくない弁護士はアクセント?

このドラマのキャスティングは、意外性があるというか、なんというべきかわからないのだけど、普通なら弁護士役じゃないよな、みたいな人が弁護士役にキャスティングされている感じがある。

YOUが弁護士事務所のトップというのは、意表をついたキャスティングではないか。趣里は型破りな弁護士という役どころなので、弁護士らしくなくていいわけだが、ジェシーは東大卒の弁護士という雰囲気はない。でも、ドラマ全体ではそれがいいアクセント担っている感じはする。最初の数話は、型破りな主人公と対を成す正統派で頭の固いタイプの弁護士かなと思ったら、わりとコミカルな役回りが多い。それならジェシーというキャスティングは、まあありかもなと思った。
 


 
しかし、ジェシーはスタイルいいな。スーツがやたら似合う。彼にスーツ着る役をやらせたいのは、すごくよくわかる。顔も小さい。
 
このドラマはカンテレ制作だ。見ようと思ったのは、以下のインタビューで史上最年少プロデューサーによる作品だということで興味を持ったから。
『モンスター』“カンテレ史上最年少プロデューサー”に聞く、異色キャラが生まれた背景|Real Sound|リアルサウンド 映画部

カンテレのプロデューサーといえば、もう独立しているが、『エルピス-希望、あるいは災い-』の佐野亜裕美さんがいた。そういう挑戦的な人が活躍できる社風があるんだろう。
 
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