かねてから噂の出ていたソニーとKADOKAWAの提携ですが、本日正式に発表されました。
ソニーからのリリースはこちら。
ソニーグループポータル | KADOKAWAとソニー、戦略的な資本業務提携に合意
KADOKAWAのリリーズはこちら。
ソニーグループ株式会社との資本業務提携及び第三者割当による新株式発行並びに主要株主及び主要株主である筆頭株主の異動(見込み)に関するお知らせ
報道のように完全買収といった形ではなく、ソニーがKADOKAWAの株式を10%保有して筆頭株主となるという形で落ち着いたようです。いい塩梅じゃないですかね。ホワイトナイト的な振る舞いもしつつ、KADOKAWAの経営体制を変えるわけではなく、同時に両社の関係を強固にしていくという感じで。両社のゲーム事業やアニメ事業部の統合などもなさそう。
ソニーのリリースでは、
「両社の保有するIP価値のグローバルでの最大化に向けた連携をさらに強化し、コンテンツ領域での共同出資の検討や、新たなクリエイターの共同発掘、両社のIPのさらなるメディアミックスの共同推進など、より幅広い、踏み込んだ協業を進めていきます。今後両社は、KADOKAWAのIPのグローバルでの実写映画・ドラマ化やアニメ作品の共同制作、KADOKAWAのアニメ作品のソニーグループによるグローバル流通の拡大、KADOKAWAのゲームのパブリッシングのさらなる拡大、バーチャルプロダクションの促進と普及のための人材育成などについて、具体的な協業の取り組みを議論していきます。」
とのことで、メディアミックスをよりグローバルに拡大し、ともにIPを創出していきましょうということですね。
ソニーは、制作(アニプレックス)と流通(クランチロール)を持ち、KADOKAWAはアニメの原作となれる出版事業を抱えています。シナジー効果は非常に高いでしょう。アニメのみならず実写やドラマについても言及されており、いろいろな分野でKADOKAWAの原作を活かして、作品を制作していき、IP事業の強化を打ち出していくということになるでしょう。
アニメ産業全体へのインパクトは非常に大きいと思います。ソニーグループもKADOKAWAもそれぞれ、製作委員会の幹事会社としてたくさんの作品に出資をしてきましたから、出資体制はどうなるのかなとか気になる点は多々あります。これでソニーは原作から制作、グローバル流通まで川上から川下まで一気貫通できる体制を築くことになります。
実写映画でもKADOKAWAが権利を持つゲームや小説、マンガをソニー・ピクチャーズで映画にするなどの展開もあるかもしれません。
KADOKAWAとしては、500億円をコンテンツ投資に回せるので、さらなるIPの開発に取り組めますね。よく言うウィン・ウィンな業務提携じゃないでしょうか。
ソニーの買収攻勢はまだ終わらない?
今年の5月の経営方針説明にて、ソニーの吉田CEOは「成長投資として3年で1.8兆円を投入し、有力なIPをその枠内で積極的に獲得していく」と語っていました。
今回の資本業務提携でKADOKAWAへ500億円の追加出資を決めましたが、3年で用意している金額は1.8兆円ですから、まだ大量に資金を用意しています。国内外で有力なIP事業者をこれからも買収、ないし今回のような資本提携をやるでしょう。一時期、パラマウントの買収先としても候補に上がっていましたが、そちらは上手くいかずでした。
しかしながら、そのレベルの大型買収案件をやるだけの資金を用意しているので、今後も驚くような案件が出てくるんじゃないかと思っています。インド大手メディア企業ジーとの合併話は決裂してますが、急成長する新興国の企業にも積極的に手を出すでしょう。