[PR]

『ライオンの隠れ家』最終回直前!10話までの解説(ネタバレあり)と最終話で描かれる洸人の未来は?

[PR]

『ライオンの隠れ家』10話で終わるのかと思いきや、11話があった。

実際、本筋の事件は解決し、考察的な要素もほとんど出そろい、10話で終わってもキレイな終わり方ではある。最終回直前なので、これから何を描くのか、考えてみたい。そして、実際に最終話を見て、どの程度妥当性があったのかも視聴後に確認してみたい。
 

 

『ライオンの隠れ家』10話までの展開

『ライオンの隠れ家』は、自閉症スペクトラム症の弟と一緒に暮らす実直な青年、小森洸人(柳楽優弥)が主人公。彼と弟の美路人(坂東龍汰)のところに、ライオンと名乗る謎の少年が押しかけてくる所から始まっている。序盤は、このライオンがどこの子供なのか、最近ニュースで騒がれている母子の失踪・心中事件と関わりがあるのかなど、考察要素で引っぱりつつ、洸人と美路人の兄弟愛を軸にヒューマンドラマが展開していく。

後にライオンが何年も前に失踪した洸人たちの姉、愛生(尾野真千子)の子供だと判明。彼女は偽装死を企てて、名前を捨ててライオンを一緒に人生をやり直そうと計画していた。これも謎の一つとして物語を推進していた。

そして、彼女に協力する柚留木(岡山天音)という謎の白い服ばかり着ている青年がいる。彼が何者なのかも作品全体を引っぱる要素だった。

徐々に愛生の結婚相手、橘祥吾(向井理)のDVがありそうだという話になってくる。そして、彼の務める建設会社にも裏がありそうとなる。彼がなんでDVをするようになったのか、建設会社の相続をめぐる劣等意識なども絡んでくる。

そして、ライオンと愛生は祥吾から逃げ切ることができるのか、一連の事件は解決するのかときになっていたが、これらの問題は10話までで綺麗に解決してきた。祥吾は愛されない人生を送ってきて、橘建設の裏のつながりも暴かれ、逮捕となり一件落着。ライオンと愛生は小森家で生活することとなる。

これらの事件の解決を通して、主人公の洸人は、市役所の仕事を休職してまでライオンを助けようとし、美路人の方は絵の才能を認められて、アートグループホームの新事業のプレ体験に自ら立候補。これまで兄の庇護のもとで生きてきた彼が、自立心を育み始める。

柚留木がなぜ、愛生に協力していたのかも明かされる。彼もまたDVサバイバーだった。

ジャーナリストの工藤楓(桜井ユキ)と天音悠真(尾崎匠海)の二人も活躍し、スクープを手にしたし、大体一件落着。小森家も4人家族となって良かったね、といったところで洸人がいなくなった。ここで10話が終わった。

 

 

最終話で何が描かれるのか

上述したように、事件そのものは解決したので、これ以上の進展はないと思われる。では、この物語に残された、描くべきものは何なのか。

松本友香プロデューサーは、「このドラマが11話である意味という点で、皆さんが展開を考察してくださったり、登場人物の幸せを願ってくださったり、ここまで洸人たちに寄り添って見てくださっていた反応にとても感動しました」と語っている。11話であることに意味があるということなのだろう。

物語を通して、弟の美路人は、ライオンに心を開き、守るために彼も戦い、成長していく様が描かれた。一方の洸人はどうだったか。彼の成長は描かれてはいないというか、停滞している自分に気づいたのが10話なんだろう。また、自分が弟を守っているつもりでも、その実、自分が「弟を守っている」という役割に依存していたのではないかということに気づいたという感じか。それで自立し始める弟を尻目に、自分は今後、どう生きていくべきなのかの決断を迫られるのが、11話のテーマになるのでは。

小説家になる夢が一度掲げられていたこともあるので、それとの絡みで何か行動を起こすのが、王道といえば王道かな。
 

柳楽優弥の優しい芝居という発見

本作の一番の発見は、柳楽優弥の優しい芝居だと思っている。結構ハマっていると言うか、わだかまりを秘めた優しさという微妙な塩梅が上手く表現されている感じ。意外性のあるキャスティングだと思うのだけど、これが本作の成功に繋がっている。尾野真千子の役どころは、やはり彼女の持つペルソナが絶妙に活きていた。『Mother』のネグレクトしてしまう母親を思い起こさせておいて、実は愛情深いお母さんという感じに持っていくことができるのも、彼女が演じたからだろう。

岡崎体育が良い人役だった。変態とかアクの強い犯罪者っぽい役で強烈な印象残したので、なんか普通の人の役貰えてよかったね。「別荘持ってない顔」とか言われてたけど。

桜井ユキは素敵だった。『虎に翼』のお嬢様もよかったけど、この荒っぽくも誠実な突破力のあるキャラクターの方が好きかな。

向井理がこういう役なのは珍しい。このドラマはペルソナの裏をかいたキャスティングが上手くハマっている。一見誠実そうな向井さんの裏の顔的な感じが怖い。顔のゆがめ方が上手かったな、時折一瞬見せる、口が片側だけ歪んだ時の怖い表情が。

 
今夜の最終話を楽しみに待ちたい。
 
関連作品