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【C105購入レポ】はらぐちかずや氏の新刊、アニメグッズの海外展開を現地調査

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冬コミC105で手に入れた同人誌、「アニメグッズの海外進出 シンガポール編」がとても勉強になった。

著者のはらぐちかずやさんは、ツイッターなどでもアニメのビジネスについてするどくわかりやすい解説と情報を提供してくれる方。アニメのビジネスについて学ぶのであれば、はらぐちさんの同人誌を揃えるといい。在庫があればBOOTHで買える。
アニメビジネス研究会 – BOOTH

今回のはらぐちさんの新刊は、アニメグッズの海外展開がテーマ。現在、日本のアニメ産業の成長を牽引しているのは、海外からの売り上げで、2024年は海外の売り上げが国内を超えた二度目の年となった。だが、映像作品そのものはもうすでに世界中に行き届いているいる状態で、ここからさらなる成長を果たすには、国内のように海外市場でもメディアミックスを充実させていく必要性が叫ばれている。

2024年には、僕もそんな趣旨の原稿や取材記事を何本か出したような気がするが、そういう状況で現地を取材してくるはらぐちさん、「ニーズわかってんなー」って感じがすごくある。

僕が書いた主だったものはこの辺り。他にもあった気がするが。
日本アニメのIPを最大限に活かす!Road Picturesのメディアミックス戦略とは – Film Goes with Net
アニメグッズの海外展開について越境ECのBEENOSさんに話を聞きました – Film Goes with Net

 

アニメの海外市場は伸びてるがグッズはまだまだ?

海外の売り上げの大きさを物語るのは、毎年発表される日本アニメ産業レポートだが、ここでの海外の売り上げというのは、映像作品そのものやグッズやその他、様々なものを総合した数字だ。同レポートは、国内市場に関しては、マーチャンダイジング、配信、テレビ、映画、遊興や広告案件など、セグメントごとに市場規模を調査しているが、海外は一つにまとめている。今後の成長のカギを握るのは海外市場であれば、何が売れていて、何が足りていないのか、今後は、細かく分類していく必要がある。

はらぐちさんによると、海外のアニメの売り上げの比率は、映像が8割で商品化が2割(テレビシリーズの場合)だそう。映像化権の売り上げの大半はストリーミング配信だと思われるが、この両分野の国内市場を比べると、商品化の方が大きい。国内のそういう状況を考えると、海外の商品化の展開はまだまだ充分ではないということだろう。

僕の取材の中でいうと、その間隙をついてBEENOSさんのような越境ECが伸びているという状況がある。BEENOSさんは、海外の人が日本国内の商品を購入するサポートサービスを提供している会社だが、一番勢いよく伸びているのがアニメ関連らしい。それだけアニメグッズへのニーズが高いが、海外では手に入らないから越境ビジネスを利用しているということだ(詳しくは上記の記事を読んでほしい)。

また、中国で『すずめの戸締まり』などを配給してきたRoad Picturesは、グッズ展開の新会社を設立してショップをオープン、さらにコラボカフェがイベント運営など、事業を拡大してメディアミックス企業へと変貌を遂げようとしている。、おそらく、商品化の分野が今後伸びる可能性が高いと踏んでいるんだろう(これも上記の記事を読んで)。

 

シンガポールのアニメイベントの様子も

今回、はらぐちさんは、シンガポールの店舗でアニメグッズ販売の実態を調査している。シンガポールのとあるお店で、人気タイトルやライセンサーなどを詳しく記述している。主だったライセンサーとして、2つの企業名が浮上しているのだが、こうした海外の会社にライセンスする方法ではなく、東宝は自社でみずからやっていく方向性を打ち出していることなども書かれており、国内企業が現状に対して、どうアプローチしているのか、最新の動向も把握できる。

もう一つ、シンガポールのアニメイベント「Anime Festival Asia Singapore 2024』の様子も写真付きでレポートしていて、盛り上がりが実感できる。
 

海外のグッズ展開は、今後のアニメ産業の成長を左右する要素だと思う。その重要分野にこうしてわかりやすい内容のレポートを的確なタイミングで出してきたなーって印象。とても勉強になりました。

 
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