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NHKスペシャル「新ジャポニズム 第1集 MANGA」は何を見せたか

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1月5日放送のNHKスペシャル「新ジャポニズム 第1集 MANGA」を見た。

シリーズ「新ジャポニズム」始動 Nスペなど多彩な番組を放送し、イベントを開催|放送100年 – NHK

内容は、ウクライナの戦火や貧困にあえぐジンバブエなど、世界で日本のマンガが愛され、人々を勇気漬けられているという前半から、マンガのルーツを江戸時代の浮世絵や狂歌の文化に見出し、世界でマンガを作ろうとしている若者を取材するという内容。

途中、アメリカのアニメ・マンガ研究者として有名なスーザン・ネイピアさんも出てきた。スーザンさんは、昨今の世界情勢の中で、ハリウッド的、ディズニー的な世界観に疑問を持つ人が増えていることで、世界のエンタメ産業を支配していたアメリカの力が良くなっている点を指摘していた。

日本の作品がハリウッドと違うのは、より共感できる身近に感じるキャラクターと多彩な物語であるという。ハリウッドは結局「幸せになりましたとさ」みたいな話が多いと話していた。必ずしも、同意するわけではないが、アメリカのエンタメの支配力が弱体化しているのはその通りで、それは世界情勢の影響もあるかもしれないが、メディア環境の変化が大きいだろうと思う。SNSのスターは、世界中ででているわけだし。

ウクライナでは、戦火の首都キーウでアニソンのコンサートが開かれていた。『進撃の巨人』を読んで、敵を倒すだけでは物事は解決しない、広い視点で物事を捉えることの大切さに気づいたという女性が登場する。

ジンバブエでは、マンガ家を目指す男性を取り上げていた。貧困の中『ONE PIECE』に勇気づけられてきたという。

それが江戸の文化を結びつくというのは、やや強引な構成だったが、ジャポニズムというタイトルと蔦屋重三郎という大河ドラマの題材をつなげかったのだろう。実際、精神性においては全くつながりがないわけでもないだろうが。

『ダンダダン』が大きく取り上げられていたのは、今一番勢いがあるからだろうか。編集の林さんと作者の龍先生も登場した。二人は海外を特段意識したことはないという。これは、僕もインタビュー取材などでアニメ制作者からもよく聞く。日本で受けるものが海外でも受けるという認識なのだ。

番組を見て思うのは、世界の人は今、確かに日本を見ているのだということ。それに対して、日本人の僕らは世界をどれだけ見ることができているだろうか。

アニメやマンガはかつてないほど、世界と日本を近づけているはずだ。世界を知るには今が絶好の機会だと思うのだ。日本の文化をさらに多彩にするためにも、世界からの刺激というのをもって受けていきたいなと思う。鎖国で醸成される豊かなもあるけれど、そうでない豊かさもあるはず。
 
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