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【ネタバレあり】機動戦士ガンダム GQuuuuuuX -Beginning- レビュー:ファーストガンダムの世界観を大胆に再構築!新時代のガンダムが始動

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『機動戦士Gundam GQuuuuuuX -Beginning-』は、なかなかに驚かせる始まり方をした。

この上映は、今後テレビアニメとして放送予定の『機動戦士Gundam GQuuuuuuX(以下ジークアクス』の第一話から第三話を先行上映するもの。ここまで、スタッフやキャスト、簡単なあらすじとPVをくらいしか情報が公開されておらず、どんな作品になるのか、秘密のベールに包まれていた。

が、少ない手がかりからファンの間では、あれこれと考察が繰り広げられていた。

ポスターには『機動戦士Gundam GQuuuuuuX Beginning』の劇場公開を告知するビジュアルが描かれています。中心にはガンダムの威圧感ある姿が描かれ、下部には主要キャラクターと思われる3人が配置され、ストーリーの焦点が感じられます。
『機動戦士Gundam GQuuuuuuX- Beginning-』ポスター

 

仮想戦記としてのガンダム

結論から言うと、本作は、ファーストガンダムの世界観である宇宙世紀ものに連なる作品と言えるが、連なってないとも言える、ユニークなアプローチをしてきた。本作は、一年戦争でシャアが白いガンダムの奪取に成功していたらどうなっていたのかを描く「if」、仮想戦記としての物語なのだ。

本作の公式パンフレットでは鶴巻和哉監督は「仮想戦記」という言葉を使用しており、パラレルワールドとか並行世界という言い方はしていない。仮想戦記は、実際の戦争ではこうだったが、「もし、あの戦いで別の結果になっていたらどうなったか」を空想するものだ。鶴巻監督が仮想世界という言葉を使っているというのは、あくまでガンダム世界の正史は富野由悠季監督の描いた内容であり、一年戦争もファーストガンダムの顛末が正史であり、これはその架空の物語に過ぎないよ、という姿勢なんだろう。

で、実際に先行公開された内容はどんなだったかというと、シャアがサイド7でガンダムとホワイトベースを奪取し、ジオン軍が戦争を有利に進める、地球連邦軍は追い詰められてソロモンを月面基地グラナダに落とす作戦を決行。シャアが迎撃に向かうが、一緒にキシリア・ザビも死んでほしいので、連邦軍と共倒れにさせようと画策しているが、「ゼクノヴァ」と呼ばれる光に包まれるみたいな現象が発生し、シャアは行方不明となり、グラナダは無事だった。

ゼクノヴァというのは本作で初登場した新たな概念だが、ニュータイプの共振現象のような何かだが、まだ詳細は不明だ。ともかく、このようにファーストガンダムの内容が書き換えられるのが、『ジークアクス』の第一話の内容だ。

(※公式パンフの解説によると、ゼクノヴァは、一年戦争時、ソロモンでの戦いにおいて発生したサイコミュの暴走事故のこと、となっている。この事故だけをゼクノヴァと呼称しているのかもしれない)

この第一話は、既出で発表されている竹さんのキャラクターデザインとは異なり、ファーストガンダムに寄せたデザインになっている。だが、モビルスーツのデザインはリファインされていて、ディテールはかなり異なっている。

公式パンフレット豪華版に付属するマテリアルに収録されたクロストークで、この第一話は当初はアバンタイトルだけの予定だったが、庵野秀明氏がプロットを書いているようだ。シャアが赤いガンダムに乗って戦う話をやりたかったとここで語っている。おそらく、庵野氏の意向が強く発揮されるのは、この第一話だけかもしれないなと思った。

 

積極果敢な主人公が好印象

そして、そんな第一話を受けて、第二話からが『ジークアクス』の本編。コロニー6に暮らす女子高生アマテ・ユズリハが、ニャアンという移民の少女と遭遇し、モビルスーツに乗り込むことになってしまうが、そこでニュータイプ的な現象を発揮し、いきなり実践で勝利する。その腕を見込まれて非合法のモビルスーツバトル「グランバトル」に参加することになる。わりと普通の高校生っぽく描写されつつも、やたらと好戦的で積極的にぐいぐい行くタイプなのが面白い。

シャアは第一話でモビルスーツとともに行方がわからなくなっているが、その赤いガンダムは謎の少年シュウジが乗っている。その経緯はまだ不明だが、シュウジの赤いガンダム自体はシャアの乗っていた機体と同一っぽい。ジオン公国軍のシャリア・ブルがその行方を追いかけているということになっている(シャリアは第一話と二話両方に登場するのだが、キャラデザが全然違うので、最初は別人かと思った)。

今回、シャリアはメインキャラクターとなりそうな雰囲気を漂わせている。シャリは、シャアとコンビを組んでいたという小説版の設定が今回導入されており、グランバトルが2対2の戦いであるのは、シャアとシャリアが生み出した「マヴ」という戦闘システムが元になっているらしい。この非合法バトルの誕生とシャアにも何か関係があるのだろうか。

本編の本格展開は四話以降といった感じなのだが、モビルスーツ戦の迫力は満点だし、よく動くし、キャラデザもいい。映画館で見るに値する内容だったと思う。青春ものとしてイメージされている雰囲気で演出されており、自由を求める女性主人公と厳しい暮らしに耐えて、運び屋をやらされている移民の少女、そして謎の少年がどんな冒険を繰り広げるのか、ワクワクさせる始まりだった。

 
始まりは、あの有名なナレーションからであった。
人類が増えすぎた人口を宇宙に移民させるようになってすでに半世紀が過ぎていた。
地球のまわりの巨大な人口都市は人類の第二の故郷となり,人々はそこで子を産み,育て,そして死んでいった。

しかし、そこから紡がれる物語は、全く異なる方向へと向かいそうだ。どこに向かうのか、本放送を期待して待ちたい。

ちなみに、パンフレットは通常版と豪華版があるが、豪華版は内容が充実しており、わりとおすすめ。3000円と高いけど、財布に余裕があればこっちがいいと思う。庵野氏、榎戸氏参加のクロストークや、山下氏、金氏、竹氏のインタビューも掲載。メカ設定、キャラデザ表もあって充実している。
 
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