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バカリズム脚本『ホットスポット』第2話レビュー:体育館の天井のボールが気になるのは人の性

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バカリズム脚本のドラマ『ホットスポット』第二話は、初回の数倍面白かった。

富士山が見えるビジネスホテルで働く主人公の遠藤清美(市川実日子)は、退屈な毎日だがそれなりに毎日を楽しく過ごしている。ある日、仕事の帰り道にトラックに轢かれそうになったところを、同僚のおじさん・高橋(角田晃広)に不思議な力で助けられる。実は、高橋は宇宙人らしい。見た目はどこにでもいそうな普通のおじさんだが、高橋は五感の能力を高められる能力を持っているらしい。

※第一話のレビューはこちら。

そんな清美は、宇宙人の話で2人の幼馴染、葉月(鈴木杏)と美波(平岩紙)と盛り上がってしまう。そして、ことあるごとにくだらないことに宇宙人の能力を使わせようとするのだった。

第二話では、教師の葉月があることで悩んでいる。体育館の天井にバレーボールが挟まってしまって取れないのだ。清美たちは、高橋の能力があれば取れるんじゃないかと言い出す。

大変、くだらないことのための宇宙人の力を使わせようとする3人に「ダメに決まってる」と言う高橋だが、割とお人よしなとこもあり、引き受けてしまう。夜中にこっそりと体育館に忍び込むのだが、そこに校庭にミステリーサークルを作っていたずらしているグループが現れ、その不届きものを高橋が成敗する。

成敗シーンの高橋は、体育館の屋上でバックに月を背負っていてやたらカッコいい。高橋的に、こういういたすらは許せないらしい。宇宙人に成りすますいたずらだからというだけでなく、彼らが校庭に描いていた模様は、高橋の星ではすごく卑猥な意味なのだそうだ。

 
体育館の天井のボールは確かに気になる。でも、「宇宙人の力を使ってそんなもん取るのかよ」というばかばかしさが心地よいテンポの会話の中でなぜか説得力を持って展開されていく。相変わらず見事な脚本である。

実際、社会を揺るがす大きな事件に巻き込まれているわけでもなく、日々のちょっと退屈な日常をちょっとスリリングにするためだけに特別な力を利用するというのは、平和的でいいのかもしれない。悪用しようと思えば、いくらでも悪用できるけど、そういうことは考えないのだ。

体育館の天井のボールという、誰もが人生で見たことのありそうな題材と宇宙人を組み合わせるとこんなに面白い話が生まれるのかと感心した。やっぱり、バカリズムはすごい才能を持っている。
 
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