[PR]

【ネタバレあり】「御上先生」2話:ハゲワシと少女の写真が問うもの、そして「金八先生」批判も?


TBSドラマ『御上先生』2話にして、一気に物語が動き出した感がある。

※1話のレビューはこちら。

神崎(奥平大兼)が校内新聞で不倫を暴いたことで学校を辞めることになった冴島先生(常盤貴子)に、神崎は会いに行く。1話の最後に御上先生(松坂桃李)に、あの不倫と文科省の天下り、そして国家公務員試験会場での刺殺事件がつながるかもしれないと言われたことが気になっているのだろう。

しかし、当然冴島先生は良い気がしない。食い下がる神崎に、冴島は話をすることにする。「あの子のこと?」と開口一番言い出す冴島先生に、神崎は「は?」となる。そして、冴島先生は、あの不倫事件を暴かれたことで人生が確かに変わったが、それはあなたのせいではないと言う。だから、もう絶対に来てはダメとも。

翌日、学校にマスコミが殺到している。刺殺事件の犯人は、冴島先生の子どもであることが発覚したのだ。

御上先生は、この事態を受けて、今後どうすべきかクラスで話し合わせる。有意義な話し合いになったと満足そうな御上先生。

そして、さらに半休をとって東京拘置所に向かう御上先生。刺殺事件の犯人と面会をするのだ。その犯人は、真山弓弦(堀田真由)は女性だった。彼女はなぜ、殺人を犯したのか。「テロ、もしくは革命だから」と彼女は言う。

そして、御上先生は、彼女のことを誰か自分の大切な人と重ねているようだ。それは誰なのか、次回以降に持ち越しとなった。

そして、謎の青年が新宿の繁華街のシーンで登場。高橋恭平(なにわ男子)が演じており、真山弓弦の名前が表紙に書かれた週刊誌を意味ありげに見つめている。彼は、今後物語にどう関わってくるのか、ポイントになりそうだ。
 

ハゲワシと少女

このエピソードの肝となる、冴島先生の子どもが刺殺犯だとわかった日のクラスミーティングで、御上先生はケビン・カーターがピューリッツァー賞を受賞した「ハゲワシと少女」の写真を見せる。

冴島先生の件は、神崎の新聞が引き金となっている。クラスは、神崎の新聞を実際にどう思っていたのかを率直に語る。なぜ、この話し合いに御上先生はこの写真を見せたのか。

この写真は、よく知られているように激しい批判を巻き起こした。写真を撮影している暇があるなら、なぜ少女をたすけないのか、と。世界中からバッシングされたケビン・カーターは精神を病んで自殺したことが御上先生の口から語られる。そして、ハゲワシに狙われていた少女は食料センターで保護されたという事実も。

神崎はこの写真がリビングに飾られた家で育ったという。そして、自分は冴島先生を食おうとしていたハゲワシの正体を見ようとしていなかったと反省する。どうして冴島先生だけが辞めらさせられているのか、教師同士の不倫なのに、女性だけがクビになる、3年生唯一の女性担任の是枝(吉岡里帆)が担任を降ろされたのも女性だからか、なぜそのように社会はなっているのか、考えたことはあるかと三上先生は突きつける。

ハゲワシとはこの場合、一体だれなのか。1話ではバタフライ・エフェクトの概念が示された。蝶が飛んで竜巻が起こるとすれば、その責任は蝶にあるのか。不倫を暴いた神崎だけに責任はあるのか、この事件のバタフライ・エフェクトはどこにあるのか、なぞが謎を呼ぶ展開になっている。

僕が思うに、責任は社会を形成しているそれぞれにある。僕がここでブログを書くことでも、バタフライ・エフェクトは発生しているのだろう。一つひとつの行動に、責任は伴うのだ。だから、生徒一人ひとりにも責任があり、神崎にも責任があり、文科省にも責任がある、ということか。

御上先生の真意は、「真のエリート」を教育できる教育制度を再構築すること、と1話で提示された。その再構築について、良い教師像を作り上げたあるテレビドラマについての言及があった。

なんでも、そのテレビドラマの新作が放送されるたびに、全国の学校が荒れるんだそうだ。それはそのドラマが利用の教師像を流布することで、モンスターペアレントが大量発生するからだとか。これも一種のバタフライ・エフェクトと言えるかもしれない。

そのドラマは「3年B組金八先生」だろう。TBSの歴史に残る作品だ。自局の作品にたいして批評的な眼差しを向けているわけだ。このエピソードには、そんなメディアの影響力は、バタフライ・エフェクトを引き起こしやすいのだという主張も込められているのかもしれない。
 
関連作品