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映画制作現場の働き方改革 はどこまで進んだか?最新動向レポート【文化通信ジャーナル2025年1月号】


文化通信ジャーナル2025年1月号には、特集記事「映画業界2024 労働環境改革のための覚書」が掲載されている。

「文化通信ジャーナル 2025年1月号」の表紙。赤と白を基調としたデザインで、「映画・放送・音楽の業界誌」というキャッチコピーが記載されている。特集インタビューでは、俳優の木村規朗氏のインタビューが掲載されており、「一時的な作品の強弱か、大きな変化への序章か 過渡期にある映画・映像業界、見極める必要性」というタイトルが目立つ。左にはパソコンのキーボード、右には木目調のテーブルとバッグが映り込んでいる。
 

文化通信ジャーナルは、株式会社文化通信社が発行している、メディア業界人向けの雑誌である。僕は毎号買っているわけではなく、気になる記事がある時にたまに購入している。映画やアニメ、テレビ業界のビジネス上のキーパーソンのインタビュー記事など、ここでしか読めない内容も多いし、映画配給会社別の月別の興行成績など貴重なデータも載っている。

上述の特集記事を読みたくて久しぶりに購入をした。とても力の入った特集記事だった。2024年における、映像業界の労働環境問題を網羅し、その改善に対する動きを行政・業界・個人や小組織の動きなども含めて網羅している。

具体的には、2023年から始まった映適の運営状況、日本芸能従事者協会による実態調査の結果、フリーランス新法の影響、各シンポジウムやイベントで話された内容や、性加害の問題、インティマシーコーディネーターの紹介、性的マイノリティへの差別問題にハリウッドのストライキに関して話されたフリーランスサミットまで取材、1年間にあった重要な動きをほぼ網羅しているんじゃないかと思う。

この記事によると、映適によって休日の確保が可能になったなどポジティブな面がある一方で、映適に申請していながら全然ガイドラインを守っていない現場もあるとのこと。それでも今のところ、映適申請不可となった作品はないらしい。これではせっかく作ったガイドラインが形骸化してしまう。ここは早急に何とかすべきだろう。ただでさえ映適のガイドラインはまだ不十分なのに、それすら守れないのでは、先は暗い。

悲嘆すべき内容ばかりではなく、イベントやシンポジウムで示された新たな知見も紹介されている。Netflixの岡野真紀子プロデューサーらが登壇した「ウーマン・イン・モーション」というイベントでは、『さよならのつづき』の4カ月続いた地方ロケにおいて、助手のシフトを交替制を採用したそうで、現場に参加できるスタッフを増やすことができたという。リスペクトトレーニングをVIPOと共催で外部解放している件にも触れている。また岡野プロデューサーは製作費からベビーシッター代を工面したこともあるらしい。

ここで取材されているシンポジウムやイベントなどのいくつかは僕も取材したり、コラム記事を書いたりしている。これまで個別に記事にしてきたので、リストにしてみる。
 

 

この特集記事で紹介された事例で、僕が取材しているのは概ねこんなところだ。この特集記事には、これだけでなく、もっと多くのイベントやシンポジウムでの発言が紹介されているので、映像産業の労働環境問題に関心のある人はぜひ読んでほしい。

文化通信ジャーナルは、普通の書店ではあまり売っていない。購入するならオンライン通販が便利だ。
文化通信ジャーナル2025年1月号 | 文化通信オンラインストア

 

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