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トランプ政権の関税政策はハリウッドに悪影響か。カナダ映画業界では危機感広がる


トランプ政権の関税政策は、アメリカ映画にどのような影響を及ぼすだろうか。2つの記事を紹介する。

カナダ映画業界、トランプ関税の脅威で不安広がる

カナダの映画・テレビ制作業界が、米国のドナルド・トランプ前大統領による25%関税の影響を懸念しているとハリウッドリポーターが伝えている。関税の適用は30日間一時停止されたが、業界の不透明感は依然として拭えない。カナダ最大のメディアハブであるトロントの映画スタジオやクルーにとって、先行きは不安定な状況が続いている。

トロント・ダンフォース選出の連邦議会議員ジュリー・ダブリュシン氏は、ハリウッドとカナダの映画業界の長年の関係を強調し、現地の税控除や通貨安のメリットにより、カナダは引き続き魅力的な撮影地であると述べた。また、カナダの映画クルーの高い技術力と実績が業界を支えている点を強調し、「我々はよく知られた存在であり、実績を示してきた」と語った。

一方で、トロント・ダンフォース市の市議会議員ポーラ・フレッチャー氏は、カナダの映画産業が長年にわたりハリウッドと強固な関係を築いてきたことを指摘。トランプ氏の保護主義政策による影響を軽減できる可能性があると述べた。さらに、映画産業は自動車や鉱物資源とは異なり、人的要素が強いため、米国がカナダに対して課す可能性のある報復関税の対象から外れる可能性があるという指摘もあるとのこと。

2023年のハリウッド俳優・脚本家のストライキ後、米大手スタジオは制作費の削減を進め、国境を越えた撮影の継続に慎重な姿勢を見せている。こうした状況に加え、トランプ氏の関税政策がカナダ映画業界に与える影響は依然として未知数であり、今後の動向が注視されているとしている。
  

トランプ大統領の関税、ハリウッドの制作と興行回復に影響か

またCNBCは、トランプの関税政策がハリウッドに大きな影響を及ぼす可能性を指摘している。特に、制作予算の増加や消費者の支出抑制による興行収入への打撃が懸念があるという。

カナダは「ハリウッド・ノース」として長年にわたり米国の映画・テレビ制作の主要拠点の一つとなっており、税額控除や高度な技術を持つ人材を提供してきたが、関税の影響が現実となれば、制作費の増加や供給網の混乱が予想される。業界関係者は、特にコスチューム用の特殊なテキスタイルやセット建設資材など、海外から輸入する特定のアイテムのコスト上昇を懸念。しかし、大半のスタジオは現地調達を行っており、制作予算全体に与える影響は限定的との見方もある。

カナダのジャスティン・トルドー首相はトランプの関税に対抗し、米国製品への報復関税を発表している。両国は月曜日に国境管理の強化で合意し、関税適用を30日間一時停止したが1カ月後に関税が復活すれば、制作コストの上昇だけでなく、消費者物価の上昇による映画館離れが進む可能性があると指摘。

ハリウッドは、新型コロナウイルスによる撮影中断や2023年の脚本家・俳優のストライキからの回復を進めてきたが、トランプの関税政策が新たな打撃となる可能性がある。物価上昇が消費者の可処分所得を圧迫すれば、映画館での鑑賞が削減対象となり、興行収入の低迷を招く恐れがある。

業界関係者による、ハリウッドが関税の影響を乗り越えられると楽観視しているものの、消費者の支出減少には対応が難しいと指摘を紹介。
 

どちらの記事も関税による影響は限定的とは見ているものの、先行きの不透明さに業界に不安が広がってもいるというニュアンスだ。とはいえ消費者への打撃は避けられそうにないので、映画への支出が根本的に減少するおそれを抱いているようだ。
 
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