香取慎吾主演『日本一の最低男 ※私の家族はニセモノだった』の第5話は、一平(香取慎吾)が保育園でのボランティアを通じて、選挙活動と子どもたちの未来について考えを深めていくエピソードだった。
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人手不足の保育園で一平がボランティア
保育園の現場に立ち入ることになった一平は、思った以上の過酷さに驚く。新園長・鮫島(中山忍)は、園の存続のために英語やプログラミング教育を導入しようとするが、現場の意見を聞かない改革により保育士たちの不満が爆発。辞職者が続出する状況に、正助(志尊淳)も頭を抱える。
中山美穂の実妹、中山忍が亡くなった姉に代わり役を引き継ぐことはすでに発表されていたが、新しいキャラクターとして引き継ぐことになったようだ。急遽台本を変更したということだろう。
一平は、選挙戦のためにも園でのボランティア活動を勧められる。保育園に足を踏み入れた一平は、子どもたちに「おっはー!」と挨拶するが、誰もそのフレーズを知らない。かつて社会現象となった「慎吾ママ」のネタをぶっこんできた。これは台本どおりなのだろうか。
しかし、保育の現場は想像以上に忙しく、立ち尽くしてしまう一平。園の経営が厳しく人手を増やせない現実を知ると、彼は商店街のおもちゃ屋を営んでいた佳代さんをボランティアに誘い、現場を支えようと試みる。
そんな中、一平がSNSに保育園での活動を投稿したことが、正助の不信感を呼ぶ。「子どもたちを利用しているのでは?」という疑念が芽生え、一平は選挙活動とボランティアの間で葛藤する。
さらに、園では子どもが軽い捻挫を負う事故が発生。その責任を問われた一平と佳代さんは、園で働くことを一時禁止される。職場環境の改善を求める保育士たちは次々と辞職を決意し、園全体が危機的状況に陥る。
そんな中、一平は自らの過去を振り返る。幼少期、保育士に応援されたことで夢を持ち続けることができたと語り、「子どもたちのために保育園を守りたい」と決意を固める。正助と共に、ICT化による業務負担の軽減や保護者との対話の場を設け、改善を訴える。
ついには、一平が「ストライキ」を提案。保護者の協力を得ながら、子どもたちを預かるために体育館を借り、元保育士たちと共に運動会を開催する。この取り組みにより、園の労働環境の改善を訴える声が高まり、鮫島も改革を約束する。
一平の行動に、黒岩(橋本じゅん)は「立派にやってる」と評価する。しかし、そんな矢先、正助が一平の選挙関連書類を発見し、「僕たちと暮らし始めたのは選挙のためなのか?」と問い詰める。返答に窮する一平。
第5話は、一平の成長と葛藤が色濃く描かれた。彼は「最低男」どころか、現場での経験を通じて、社会にとっての「本当の大人」とは何かを模索しているように見える。
大人になるとはどういうことか。子どもたちにとっての安心できる環境とは何か。仕事や家庭だけでなく、社会にどう向き合うのか。一平の奮闘を見ていると、ふとそんなことを考えさせられる。
次回、一平は正助の問いにどう答えるのか。物語はさらに佳境へと向かう。
保育士の不足という社会課題
このエピソードでは、一平(香取慎吾)が保育園の労働環境や人手不足に直面し、その現場の厳しさを知ることになる。保育士の負担を減らし、子どもたちに向き合う時間を増やすための改革が提案され、保育士自身の待遇改善が欠かせない問題であることを浮き彫りにしている。一平と正助(志尊淳)が手を取り合い、保護者を巻き込みながら保育園の改革を模索する姿は、視聴者にとっても考えさせられるものだ。
少子化が進む一方で、保育の現場は慢性的な人手不足に苦しみ、現場の負担が増している。保育園にもICT化が必要という意見が出てくるが、実際の保育園の現場は今、どうなっているのか気になった。そのように現実の社会課題に興味を持たせることに、このドラマは割と成功していると思う。
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