日本テレビホールディングス株式会社(以下、日本テレビHD)は、グループ全体で海外ビジネス規模を飛躍的に拡大するための基本方針を発表した。国内のテレビ広告市場が1.6兆円で頭打ちとなる中、海外における日本コンテンツの市場規模は4.7兆円と成長を続けており、日本テレビHDはこの市場を本格的に開拓する方針を打ち出した。現状、4.7兆円のうちの9割がアニメとゲームで、今後、バラエティや映画、ドラマ、音楽、ライブなど広い領域においてビジネスを展開させる余地があるとのこと。
売上目標は2033年度に1000億円
現在、日本テレビグループの海外売上高は2024年度第2四半期時点で約120億円だが、今後バラエティ制作のスタジオ設立、北米拠点の新設、映画の世界配給などを推進し、2027年度に300億円、2030年度に500億円、2033年度には1000億円を目指すとしている。
戦略の柱となる5つの施策
今回発表された戦略の中心には、以下の5つの施策が据えられている。
海外向けコンテンツ制作スタジオ設立(2025年6月)
バラエティ番組の海外展開を強化するため、2025年6月に制作スタジオを設立。社内外のクリエイターや制作会社との共創を通じて、フォーマットセールスを拡大し、現地制作体制の確立を目指す。
北米(ロサンゼルス)拠点設置(2025年7月)
アメリカ・ロサンゼルスに2025年7月にビジネス拠点を新設。バラエティフォーマットを中心に、日本テレビのコンテンツ・IPの北米セールス展開を支援するとともに、情報収集やビジネス拡大の起点とする。
映画の全世界配給強化
2025年末には、細田守監督(スタジオ地図)の最新作『果てしなきスカーレット』(日本配給:東宝)を、ソニー・ピクチャーズと協力し、全世界に配給予定。さらにハリウッドとの共同製作や、新作映画の海外向け製作も推進する。
イベントの海外展開
スタジオジブリ作品が原作の舞台『となりのトトロ』や展覧会の海外展開を支援する体制を整備。ジブリ以外のIPについても海外での事業展開を視野に入れる。
アニメ・ドラマ・音楽事業の拡大
IPの上流から下流までをグループ連携のもとで一気通貫で展開。多様なチャンネルを活用し、海外進出を積極的に進める。
グローバル展開に向けた体制強化
今回の戦略の実行にあたり、日本テレビHDはグループ各社の社内体制を海外展開を前提としたものに再構築。さらに、セールス強化とともに、IPを活用したビジネスの基盤を強化し、外部との協業やM&Aも積極的に進める。また、ビジネスを推進する人材育成やキャリア採用も強化する方針だ。
ソース:海外ビジネス拡大戦略の基本方針について
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