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119 エマージェンシーコール 第4話:一ノ瀬颯の演技に涙!「絶対助ける」の言葉の重み


『119 エマージェンシーコール』第4話「「絶対」の重責、心に秘めた熱いもの」これまでのエピソードの中でも特に緊迫感に満ちた回となった。「絶対に助ける」という言葉の重みを中心に、消防指令官たちの葛藤が描かれる。

物語は、ガス爆発による火災現場から始まる。少女の父親が重症を負い、救急救命士が必死の人工呼吸を試みるも、助けることができなかった。この冒頭の場面が、後の与呉心之介(一ノ瀬颯)の心の揺らぎに影響を与えていく。

一方、消防指令センターでは、インフルエンザの流行による通報の急増で混乱を極める。そんな中、与呉は止血に協力しようとしない通報者に対し、声を荒げてしまい、市役所にクレームが入る。上司の高千穂一葉(中村ゆり)は、冷静な対応を求めるが、与呉の苛立ちは収まらない。

そこに登場するのが、指令センターのベテラン指導官・峰元英隆(マキタスポーツ)だ。彼は指導の際に「ということは?」と問いかけるスタイルを取り、職員に考えさせる。そんな中、82歳の男性が重症となり、心臓マッサージの指示が求められる。しかし、腰の曲がった高齢の妻には対応が難しく、与呉は「もう間に合わない」と判断する。しかし、粕原雪(清野菜名)は「絶対助ける」と言い切り、あきらめようとしない。与呉はそれを「言ってはいけない」と制止する。このシーンは、声だけで素人に対して応急処置を指示することの難しさを痛感させられる。

与呉は、冒頭の少女の父親を救えなかったことを引きずっており、「無責任に希望を持たせるのは残酷ではないか」と粕原に語る。しかし、粕原は自身の幼少期の経験を語り、「大丈夫だから、絶対助けるから」という言葉に救われたと伝える。その対比が、言葉の持つ力と、それを発する責任の重さを強調する。

また、堂島信一(佐藤浩市)は、阪神淡路大震災の際の経験を語る。神戸の隊員たちは、自らの家族の安否すら分からないまま救助活動に当たっていたが、被災者の多さに心が折れそうになった。しかし、「もっと苦しんでいる被災者が大勢いた」と言う。

このエピソードではインフルエンザの流行期間が描かれるが、確かに震災のような未曾有の災害時にはその比ではない量の通報が寄せられるだろう。道路も寸断されているかもしれない、消防隊員だって被災しているかもしれない、そんな中では無力感に苛まれるのは想像に固くない。

そして迎えたクライマックス。心筋梗塞の疑いのある男性の通報が入り、救急車は全て出払っていた。与呉は冷静に指示を出し、視聴者には映像ではなく音だけで緊迫感を伝える演出が取られる。この場面で、与呉は「絶対助けますから!」と叫ぶ。その言葉が持つ意味が、彼自身の中で変化した瞬間だった。

結果として、男性は一命を取り留める。「父親を助けることを諦めさせないでくれてありがとうございました」という感謝の言葉が与呉に伝えられた時、彼の表情は晴れやかだった。「思ってしまったら、言ってもいいんですよね」という言葉が、彼の心の変化を物語っていた。

本エピソードは、視覚情報を抑え、音の演出を最大限に活用することで、視聴者の想像力を刺激し、臨場感を高めることに成功していた。また、一ノ瀬颯の演技は、与呉の冷静さと情熱の両面を巧みに表現し、視聴者の心を強く揺さぶった。

「絶対に助ける」と言うべきかどうか。その問いに対する明確な答えは出ない。しかし、このエピソードを通じて、言葉の重さと、人を救うことの難しさについて深く考えさせられる内容となっていた。
 
また、インフルエンザが大流行した後であったために、余計に切迫感を感じさせる内容となっていた。タイムリーな内容となったのは偶然だろうが、こういう時期の救急指令センターがどんな状況になっているのか、想像できるようになって、個人的には一層予防に励もうと思った。
 
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