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神山健治監督『ロード・オブ・ザ・リング/ローハンの戦い』は堂々たる大作映画!


神山健治監督作品『ロード・オブ・ザ・リング/ローハンの戦い』は。大変意欲的な作品だった。血湧き肉躍る王道の活劇を大迫力の作画で堪能させてくれた。キャラクターアニメとしても優秀だし、完成度の高い娯楽作品だった。

本作の最大の魅力は主人公のヘラだろう。原作では名も無い王女なのだが、ナウシカのような戦う姫としてとてもカッコいい、凛々しい姿を縦横無尽にスクリーンに刻みつける。

映画「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズの新作『The Lord of the Rings: The War of the Rohirrim』に登場するキャラクターたちが描かれたイラスト
ロード・オブ・ザ・リング/ローハンの戦いのパンフレット

作画面では馬の描写が圧巻。これだけ大量の馬の作画を見たのも久しぶりな気がする。パンフレットによれば、馬の基本的なモーションを3Dで作成し、キャラクターもモーションキャプチャで収録しておき、データを合成、ラフなCGで映画を作っておく。プリヴィズのようなものだろうか。

そこから台詞の収録をして、3DCGでキャラクターモデルで全てのカットを3D空間上に配置してカメラワークとライティングを決めて、編集して尺を決める。3Dの動きを毎秒12フレームにして、それをラフ原として使用するという工程を踏んだらしい。かなりややこしいが、あのレベルの作画物量をこなすにはこれしかなかったということなんだろう。

神山監督は「同じストーリーの映画を3回撮ったような気分」と語っている。デジタルと映画的演出に造詣の深い神山監督ならではの手法といった感じがある。曰く「ミニパト」もこれと同じような手法なんだそうだ。

とにかく、堂々たる大作アニメ映画だった。ハリウッドと日本の協業の素晴らしい成功例だと思う。興行成績が振るわないのが本当に残念だが、こうした協業がもっと増えることで日本のアニメ業界にもいい刺激になればと思う。
 
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