ソニーグループは2024年度第3四半期の業績を発表した。当四半期の金融を除く連結売上高は前年同期比7%増の3兆6,957億円、営業利益は10%増の4,230億円となった。金融を含む連結売上高は前年同期比18%増の4兆4,096億円、営業利益は1%増の4,693億円となり、第3四半期として過去最高を記録した。また、当期純利益は3%増の3,737億円となった。
ゲーム&ネットワークサービス(G&NS)
G&NS分野の売上高は、ハードウェアおよびサードパーティーソフトウェアの増収により、前年同期比16%増の1兆6,823億円となった。営業利益は、前年同期の『Marvel’s Spider-Man 2』の大ヒットの反動があったものの、ネットワークサービスおよびサードパーティーソフトウェアの増収、ハードウェア損益の改善により、前年同期比37%増の1,181億円となった。
PS5の販売促進費用は前年同期比2割程度減少し、棚卸資産も前年同月比46%減と適正水準を維持している。通期見通しは、売上高を4兆6,100億円(前回比3%増)、営業利益を3,800億円(7%増)に上方修正した。
PSプラットフォームの12月の月間アクティブユーザー数(MAU)は前年同月比5%増の1億2,900万アカウントとなり、PS史上最高を記録した。PS5購入者のうち4割強が新規ユーザーであり、PS4ユーザー減少のペースも緩やかになっている。PS5の累計販売台数はPS4と同水準に達し、MAUはPS4発売時期比で約1.4倍となった。
音楽
音楽分野の売上高は、ストリーミング収益の増加や株式会社イープラスの連結子会社化の影響などにより、前年同期比14%増の4,817億円となった。営業利益は増収の影響により28%増の974億円となった。
ストリーミング売上は、音楽制作で前年同期比9%増、音楽出版で8%増となった。通期見通しは売上高を1兆7,900億円(3%増)、営業利益を3,400億円(3%増)に上方修正した。
アーティスト関連では、Tyler, The CreatorやATEEZの新作アルバムがヒットし、Bad Bunnyの新作アルバムもBillboard 200で1位を獲得するなど成功が続いている。また、第67回グラミー賞ではBeyoncéの『COWBOY CARTER』が年間最優秀アルバム賞を受賞し、グラミー史上最多の99回のノミネートを記録した。
映画
映画分野の売上高は、『Venom: The Last Dance』などの劇場公開作品の収益増加や為替の影響により、前年同期比9%増の3,982億円となった。営業利益は劇場公開に伴うマーケティング費用増加により、前年同期比18%減の340億円となった。
制作状況は回復しつつあり、『Spider-Man』や『Jumanji』の次回作は2026年度に公開予定である。テレビ番組制作もストライキの影響から回復し、正常化している。ハリウッドの山火事の影響は、現時点では軽微と見ているとのこと。Crunchyrollではアニメ『俺だけレベルアップな件』のシリーズ第2弾が多くの国と地域で大ヒットし、北米では新たに有料会員向け電子コミックサービス『Crunchyroll Manga』の提供を予定している。
KADOKAWAとの戦略的協業
エンタテインメント3事業にわたり、KADOKAWAとの戦略的協業を進めている。12月に資本業務提携契約を締結し、1月には第三者割当増資を引き受け、ソニーグループが筆頭株主となった。今後はKADOKAWAのIP創出力とソニーのグローバル展開力を活かし、新たな価値創造を推進する。
米国関税政策への対応
G&NS、ET&S、I&SS分野では地政学リスクへの対応として、サプライチェーンの多様化とフレキシビリティ向上を進めてきた。米国内の戦略在庫確保も進めており、現時点では米国追加関税による業績への影響は軽微と見ている。今後も状況変化に対応し、適切な施策を実施することで影響を最小化する方針である。
また、2025年3月期連結業績予想(国際会計基準)について、売上高を前期比1.4%増の13兆2000億円(従来予想12兆7100億円)、純利益を11.3%増の1兆800億円(9800億円)に上方修正。ゲームをはじめとするエンターテインメント部門が堅調に推移しているためという。