テレビ東京ホールディングスは2025年3月期 第3四半期（2024年4月～12月）の決算を発表した。連結売上高は前年同期比4.0％増の1,144億円と過去最高を記録。放送収入の回復やアニメ事業の成長が寄与した。一方で、コスト増の影響を受け、連結営業利益は0.4％増の57.7億円にとどまった。親会社株主に帰属する四半期純利益は、43億8,000万円、前年同期比15.0％減であり、前年に政策保有株式の売却益を計上した反動が影響している。
テレビ東京（単体）の売上高は4.7％増の842億9,600万円となった。放送収入は5.1％増加し、タイム収入は開局60周年記念の大型特番やパリ五輪の影響で4.5％増の338億1,700万円、スポット収入は「自動車」「レジャー」などの需要増により6.1％増の202億9,600万円となった。パリ五輪の費用負担はあったものの、放送事業利益は1.2％増の119億8,000万円を確保した。
アニメ事業は「BORUTO」のSNSゲームや「NARUTO」の海外配信が好調で、アニメ売上高は前年同期比12.2％増の168億100万円となった。「劇場版SPY×FAMILY CODE: White」の配給収入も大きく貢献した。一方、配信ビジネスは「夫の家庭を壊すまで」「95」などの新作ドラマが好調だったが、アーカイブ作品の配信権販売が低調で、全体では3.0％減の76億9,700万円となった。イベント事業も前年の大型イベントに及ばず、売上高は26.5％減の8億7,500万円となった。制作コストの増加も影響し、アニメ・配信・イベントを合わせたライツ事業利益は7.6％減少した。
国内外の経済情勢が不透明な中、同社は独自コンテンツの開発を推進し、放送事業の収益確保を図る方針を示した。アニメの海外展開を加速し、中国市場に加え、東南アジアや欧米・中東への配信・商品化を進める。また、新規事業開発や成長投資にも注力し、グループ全体で業績向上を目指す考えとのこと。
地上波・BS放送事業
テレビ東京の地上波放送事業は、放送事業収入が前年同期比3.9％増の585億7600万円となった。特に、番組提供スポンサーからのタイム収入は4.5％増の338億1700万円となり、全国ネット部門が業績を牽引した。ミニ番組を活用した単日出稿のセールス強化が奏功したほか、開局60周年記念特番「テレ東ミュージックフェス2024夏」や「JAPANプロジェクト」のセールスが好調だった。また、パリオリンピックの放送も追い風となった。
一方で、首都圏ローカル部門は時報CM企画や通販番組の好調が見られたものの、パリオリンピックによるレギュラー番組休止の影響を受け前年割れとなった。
スポット広告収入は6.1％増の202億9600万円で、自動車・レジャー・飲料関連の出稿が伸びた。東京地区の広告市場全体が3.9％増と回復傾向にあり、テレビ東京もシェアの高い大型案件を獲得した。
BSテレビ東京のBS放送事業収入は前年同期比0.9％増の119億6100万円となり、タイム収入や特番部門のセールスが好調だった。スポット収入も一般スポンサーの出稿増加により前年を上回った。営業費用の削減も寄与し、BS放送事業の営業利益は14.5％増の19億9800万円となった。
アニメ・配信事業
アニメ・配信事業では、主力のライツ事業の売上高が前年同期比5.3％増の253億7400万円となった。特にアニメ部門が好調で、「BORUTO」の中国向けSNSゲーム化や「NARUTO」の中国配信が堅調に推移した。また、劇場版「SPY×FAMILY CODE: White」の国内配給収入や海外販売、ブラッククローバーのゲーム化権販売が売上を押し上げ、アニメ部門全体では12.2％増の168億1000万円となった。
一方、配信ビジネス部門は「夫の家庭を壊すまで」「95」など新作ドラマの国内配信が伸びたものの、アーカイブ作品の国内配信が苦戦し、前年同期比3.0％減の76億9700万円となった。
イベント部門では「ぷしゅソングフェス」「田村淳のTaMaRiBa」に加え、「辞書で呑むライブ」や「正解のないクイズLIVE」などのイベントを積極展開したものの、大型イベントの開催がなかったため、売上高は26.5％減の8億7500万円にとどまった。
全体として、アニメ・配信事業の売上は増加したものの、新規制作増加による費用増が影響し、ライツ事業の利益は7.6％減の98億8200万円となった。
ソース：決算短信 : 決算情報 : IR情報 : 株式会社テレビ東京ホールディングス
