株式会社KADOKAWA（本社：東京都千代田区、代表執行役社長 CEO：夏野剛）は、アニメ制作における撮影およびCG（コンピューターグラフィックス）に強みを持つ株式会社チップチューン（本社：東京都杉並区、代表取締役：奈良井由美）の株式を取得し、子会社化したと発表した。
KADOKAWAグループは、2028年3月期までの中期経営計画において、多彩なIP（知的財産）を安定的に創出し、世界へ展開する「グローバル・メディアミックス with Technology」を基本戦略としている。その中核であるアニメ事業において、制作ラインの拡充と制作力の強化を進め、魅力的な作品を継続的に生み出す体制を構築する方針だ。
チップチューンは2012年に設立され、撮影とCGを中心に、背景美術や彩色などを手がけるアニメ制作スタジオである。特にアニメの「撮影」工程において高い評価を受けており、撮影監督の技術力と熟練したスタッフによるクオリティの高い映像制作を強みとしている。同社は年間10作品ほどの制作に携わり、『ペンギン・ハイウェイ』や『幼女戦記』、『無職転生 ～異世界行ったら本気だす～』シリーズといったKADOKAWA原作のアニメ作品に加え、『ブルーロック』や『BLUE GIANT』、『青の祓魔師 島根啓明結社篇』、『転生したらスライムだった件』などの人気作品にも関与してきた。
KADOKAWAはすでに6社のアニメ制作スタジオ（ENGI、Studio KADAN、レイジングブル、ベルノックスフィルムズ、動画工房、キネマシトラス）をグループ会社化しており、今回のチップチューンの子会社化により、撮影工程の内製化と安定した制作リソースの確保を図る。また、作品の高品質化や撮影技術の継承・育成の促進も期待される。
KADOKAWA執行役 Chief Anime Officer（CAO）の菊池剛氏は、「業界有数の撮影部門を持つチップチューンをグループに迎えられることを大変喜ばしく思う。前代表・奈良井昌幸氏の思いを引き継ぎ、同社の発展を支援するとともに、グループスタジオとの連携を強化し、より高品質なアニメ作品の創出を目指す」とコメントしている。
一方、チップチューンは「アニメ会社としては珍しくイラストレーターも在籍し、ものづくりの垣根を超え、よりよい作品作りを目指したい。創業者で前代表取締役でもあった故・奈良井昌幸が志した『垣根のない作品作りを一丸となってしたい』という思いを引き継ぎ、KADOKAWAグループの一員となることで、これまで築いてきた技術と経験を活かし、より良い作品作りを実現していきたい」との意欲を示した。
KADOKAWAグループは、アニメ制作体制のさらなる強化を進め、グローバル市場で競争力を持つ作品の創出を目指す。今回の買収が今期の業績に与える影響は軽微としているが、長期的な視点でアニメ事業の発展を見据えた戦略の一環と位置づけられる。
KADOKAWAは、出版、アニメ・実写映像、ゲーム、Webサービス、教育・EdTechなど幅広い事業を展開する総合エンターテインメント企業であり、「グローバル・メディアミックス with Technology」戦略のもと、IP価値の最大化を推進している。
