市場調査会社NIQ/GfK Japanは、2024年の音楽ストリーミング配信市場とセル映像ソフトの販売動向を発表した。それによると、音楽ストリーミング配信の総再生回数は前年比11%増加し、市場は引き続き拡大傾向にある。一方で、セル映像ソフト市場は数量前年比22%減、金額前年比18.9%減と縮小が続いている。
音楽ストリーミング配信市場
2024年の音楽ストリーミング配信市場は、成長率の減少傾向が見られるものの、総再生回数は前年比11%増と引き続き拡大を続けた。特にCreepy Nutsの「Bling-Bang-Bang-Born」は5億回以上再生され、年間再生回数5億超えの唯一の楽曲となった。
また、3億回以上再生された楽曲は「ライラック」「ケセラセラ」(ともにMrs. GREEN APPLE)、「幾億光年」(Omoinotake)、「晩餐歌」(tuki.)の4曲で、前年より2曲増加した。さらに、2億回以上の再生を記録した楽曲は「アイドル」(YOASOBI)、「唱」(Ado)、「Magnetic」(ILLIT)など8曲に上る。
トップ3にランクインした楽曲は、国内テレビアニメおよびドラマの主題歌であり、いずれも2024年リリースの新譜であった。特にMrs. GREEN APPLEは、トップ10内に4曲がランクインし、これら4曲の合計再生回数はトップ10の36%を占めた。
ジャンル別の動向を見ると、邦楽のシェアは前年比1%増の82%となり、引き続き市場を牽引している。洋楽は6%と前年同様の水準を維持し、アジア(K-POPを含む)は前年比1%減の12%となった。年間再生回数上位100曲では、邦楽が93曲と前年より3曲増加し、洋楽は1曲、アジアは前年より4曲減少し6曲となった。
セル映像ソフト市場の縮小続く
2024年のセル映像ソフト市場(DVD、Blu-ray、4K Ultra HD Blu-rayを含む)は、数量ベースで前年比22%減の1,609万枚、金額ベースでは同18.9%減の1,010億円となった。市場全体の税抜平均実売価格は6,280円と前年同期比で4%上昇している。
販売チャネル別の金額構成比では、Eコマースが72%と前年から1%増加し、メディアストアは17%、家電量販店は3%、総合量販店は0.03%となった。
ジャンル別では、音楽作品が最大のシェアを占めたものの、前年から6%ポイント縮小の42%となった。一方、映画『THE FIRST SLAM DUNK』などの影響で邦アニメの構成比は4%増加し、市場の67%を音楽とアニメの2ジャンルが占めた。
Blu-ray市場の動向
2024年のBlu-rayソフト市場(4K Ultra HD Blu-rayを含む)は、数量ベースで前年比19.4%減の984万枚、金額ベースで同15.2%減の716億円となった。税抜平均実売価格は7,282円と前年比5%上昇した。
2023年のBlu-ray新作リリース数は2,600本を超え、前年より微増した。コロナ禍で落ち込んだ新作リリース数は回復傾向にあるが、市場全体の縮小は続いている。特に4K Ultra HD Blu-rayソフトは2024年末時点で1,000タイトルを超えたものの、市場規模は前年より30%縮小した。
2025年の展望
2025年のセル映像ソフト市場は、引き続き減少傾向が予想される。映像作品を視聴する手段としてのパッケージ購入は減少し、コレクションや「推し活」といった目的での購入が主流となる見込みだ。
特に、固定ファンが多い音楽作品や、コアなアニメファンを抱える邦アニメ作品は、一定の需要が維持されると考えられる。一方、それ以外のジャンルについては、月額見放題サービスの台頭によりデジタル配信への移行が進むだろう。今後は、パッケージ購入を続けるコアなユーザーに向けたプロモーション施策や、特典付き販売の強化がより重要となっていくと見られる。