米国国際開発庁(USAID)がハリウッドの著名人に対し、ウクライナ訪問の報酬を支払ったとするオンライン動画が拡散された。しかし、この動画はBBCの調査機関「BBC Verify」によって虚偽であることが確認された。
BBCの動画はこちら:False video claims Hollywood stars were paid by USAID to visit Ukraine
問題の動画では、アンジェリーナ・ジョリー、ショーン・ペン、ジャン=クロード・ヴァン・ダム、オーランド・ブルーム、ベン・スティラーらがUSAIDから報酬を受け取ったとされていた。この偽情報はソーシャルメディア上で急速に拡散し、イーロン・マスクもX(旧Twitter)上でリツイートするなどして拡散に加担した。
この動画は「eonline.com」を情報源としていると主張していたが、E!ニュースを運営するNBCユニバーサルはこれを完全に否定。「この動画は本物ではなく、E!ニュースが発信したものではない」と、広報担当者が『ハリウッド・リポーター』に対してコメントした。
BBC Verifyによると、この動画はロシアによる偽情報キャンペーンの一環とみられる。ベン・スティラーはX上で「これはロシアのメディアからの嘘だ。私は完全に自己資金で人道支援のためにウクライナを訪れた。USAIDからの資金提供も、報酬の支払いも一切ない」と投稿し、事実無根であることを強調した。
この偽動画が拡散された背景には、ワシントンD.C.の新トランプ政権がUSAIDの解体を推進し、国務省との統合を検討していることがあるとみられる。また、イーロン・マスクが「政府効率化省(Department of Government Efficiency: DOGE)」の長官に任命されたこととも関係があると思われる。
マスクは近年、ドナルド・トランプ氏や英国の改革党(Reform U.K.)のナイジェル・ファラージ氏、ドイツの極右政党AfDとの関係を深めている。トランプ大統領の再選キャンペーンにも多額の寄付を行い、現在はホワイトハウスの重要顧問の一人となっている。
ソース:Fake Online Video USAID Paid Hollywood Stars Visit Ukraine Debunked