株式会社ブシロードのグループ分析組織であるアニメデータインサイトラボは、「2025年冬アニメ注目度分析」を発表した。レポートでは、放送開始から5週目までのデータを基に、どの作品が視聴者の関心を維持し続けているか、また新たに注目を集めている作品はあるのかを分析している。
2025年冬アニメの注目維持率
今回の分析によると、2025年冬クールの新作アニメは放送2週目に92.00%という高い維持率を示した。これは2024年の各クールと比較して最も高い数値であり、前クール(2024年秋:74.04%)を大きく上回る。しかし、3週目以降は例年通り徐々に低下し、5週目時点では49.70%まで落ち込んでいる。
一方、続編アニメの注目維持率は安定性が低く、2024年冬クールの5週目95.58%と比較して、2025年冬クールは66.81%にとどまった。
新作・続編を問わず、5週間時点での注目度維持率が高かったTOP10作品の中でも、『メダリスト』と『SAKAMOTO DAYS』の2作品が特に際立つ成績を見せた。
『SAKAMOTO DAYS』は放送2~3週目で急成長し、バトルアクション演出への高評価が話題となった。一方、『メダリスト』は回を重ねるごとに視聴者の支持を集め、5週目の注目度は初動の192.31%に達した。「回を追うごとに泣ける」との感想がSNS上で増え、ストーリーと演出の相乗効果が見られた。
続編作品では、『俺だけレベルアップな件』『君のことが大大大大大好きな100人の彼女』『Dr.STONE』が安定した注目を維持。特に『俺だけレベルアップな件』はバトルシーンの盛り上がりにより、5週目には137.50%の注目度を記録した。
成功要因と傾向
今回の分析から、注目を集めた作品には以下の特徴が共通していることが分かった。
初動ブーストの成功
『SAKAMOTO DAYS』はアクション演出が高評価を得て、序盤から話題化に成功。
中弛みの少ないストーリー構成
『メダリスト』はフィギュアスケートの演技シーンが各話で印象的に描かれ、視聴者の関心を途切れさせなかった。
SNSバズを後押しする話題性
『メダリスト』の主題歌に米津玄師、『悪役令嬢転生おじさん』のテーマ曲にマツケンサンバを起用するなど、音楽面でも話題を集めた。
継続的な宣伝・ファンコミュニケーション
『BanG Dream! Ave Mujica』はライブイベントや音楽リリースの情報を適宜投入し、視聴者の関心を維持。
今期のデータからは、新作アニメの初動が重要であり、放送2~3話目で明確な評価が定まることが分かった。話題を生んだ作品はさらに勢いを増し、逆に盛り上がりに欠けるタイトルは視聴者の離脱が顕著となる傾向が見られる。また、続編アニメにおいても、物語の山場や“神回”の有無が注目度を大きく左右している。
配信環境の充実により、視聴のタイミングが多様化する中、SNSでの口コミや中盤以降の仕掛けが鍵を握ることが明らかになった。今後のアニメビジネスにおいて、話題性とコンテンツの質の両立がより求められるだろう。
分析概要
分析対象
2025年冬アニメ
新作:40作品
続編:17作品
使用データ
Googleトレンドによる検索量データ(週次)
※各作品の放送1週目の数値を100%として、その後の推移を相対的に表示
分析期間
冬アニメの放送1週目〜放送5週目
比較データ
2024年の各クール(冬、春、夏、秋)の同期間データ
・レポート著者
株式会社SevenDayDreamers
湯通堂 圭祐
・レポート編集
アニメデータインサイトラボ
代表:大貫 佑介
©全修。/MAPPA
©BanG Dream! Project
©つるまいかだ・講談社/メダリスト製作委員会
©日向夏・イマジカインフォス/「薬屋のひとりごと」製作委員会
©鈴木祐斗/集英社・SAKAMOTO DAYS製作委員会
©久世蘭・講談社/「黒岩メダカに私の可愛いが通じない」製作委員会
©上山道郎・少年画報社/悪役令嬢転生おじさん製作委員会・MBS
©️Anime Data Insight Lab