オダギリジョーが主演と共同プロデューサーを務める映画『夏の砂の上』が、アスミック・エースの配給により7月4日より全国公開される。本作には高石あかり、松たか子、満島ひかり、森山直太朗、高橋文哉、光石研らが出演する。
本作は、劇作家・松田正隆の戯曲を原作に、『そばかす』の玉田真也が脚本・監督を手がけた。物語は、息子を亡くした喪失感から人生の時間が止まってしまった主人公・小浦治を軸に展開する。妻・恵子に見限られた彼が、妹の阿佐子が置いていった17歳の姪・優子と共同生活を始めることから、新たな物語が動き出す。愛を失った男、愛を見限った女、そして愛を知らない少女。それぞれが痛みと向き合いながら、夏の砂のように乾いた心に小さな希望の芽を見出していく。
オダギリが治を演じ、優子役を高石が務める。恵子役に松、阿佐子役に満島がキャスティングされた。さらに、優子のアルバイト先の先輩・立山役で高橋が出演。治がかつて働いていた造船所の同僚・陣野を森山、持田を光石が演じる。撮影は物語の舞台である長崎で行われた。
オダギリは本作について「脚本を読んだ瞬間に『これは良い作品になる!』と確信し、プロデューサーを買って出た」と語る。「松さんや満島さんを始め、信頼できるキャスト、最高のスタッフが集まり、真夏の長崎に最高の舞台が用意された。あくまで玉田監督の補佐的な立場を守りながら、自分の経験値を隠し味程度に注ぎ込めたと思う」と振り返った。
優子を演じた高石は「カメラの存在を忘れるほど作品と現実の境目が曖昧になった」と撮影を回顧。「これほどまでに熱中できる環境を作ってくださった監督をはじめ、キャスト、スタッフの皆様に感謝しかない」とコメントした。
恵子役の松は「初めて脚本を読んだとき、これが元々戯曲だったことに驚いた。それほど映画的なホンだった」と述懐。「オダギリさんとの芝居はとても楽しかった」と撮影を振り返った。
監督・脚本を務めた玉田は「『夏の砂の上』は、僕にとって特別な戯曲だった」と語る。「避けられない痛みや、それを受け入れるしかない虚無、それでも続いていく生というテーマが、戯曲のセリフの流れの中で立体的に浮かび上がってくる作品だった。映画にすることは念願であり、挑戦でもあったが、長崎の街に入ることで確信に変わった。長崎そのものを主人公のように捉えることで、映画でしかなし得ない体験が生まれた」と手応えを語った。
原作者の松田は「映画には長崎の光景がいくつも映し出されている。坂道をのぼりつめた果てにある家からの眺めだけで、言葉にならない感覚をこの映画は与えてくれる」と作品の魅力を語る。「戯曲が消え去り、映画に生まれ変わることを望んでいた。完成した作品を観て、映画ならではの体験ができたことがとても嬉しい」と喜びをにじませた。
映画『夏の砂の上』は、7月4日より全国公開される。
映画『夏の砂の上』オフィシャルサイト 7.4 FRI 全国公開