個人制作による短編作品で国内映画祭を席巻してきた鈴木竜也監督が、長編デビュー作『無名の人生』を発表した。本作は2025年5月16日(金)より、新宿武蔵野館での単館ロードショーを皮切りに全国で順次公開される。『音楽』の岩井澤健治監督がプロデューサーとして参画し、劇場公開に向けた仕上げから宣伝体制まで全面的に支援する。
鈴木監督は、これまで『MAHOROBA』(2021年)でブラック企業を脱走した男のサバイバル、『無法の愛』(2022年)では社会のはみ出し者たちの姿を描くなど、一貫して“不条理な世の中に生きる者たちの生き様”をシニカルな視点で映し出してきた。
最新作『無名の人生』では、東北の団地で孤独に暮らす少年が転校生との出会いをきっかけにアイドルを目指し、波乱に満ちた100年の生涯を歩む。生まれてから死ぬまで、彼は蔑称や源氏名など、いくつもの名前で呼ばれ続ける。物語は、高齢ドライバー問題、芸能界の闇、若年層の不詳の死、戦争など、現代社会の数々の問題を背景に全10章で構成され、それぞれ異なるタッチと色彩で描かれる。さらに、観る者を驚愕させる衝撃的なラストが待ち受ける。
孤高のラッパー・ACE COOLが主人公役に
主人公の声を担当するのは、ラッパーのACE COOL。2024年5月にリリースした2ndアルバム『明暗』が大きな反響を呼び、2025年3月には渋谷WWW Xでワンマンライブを開催するなど、独自の音楽性で注目を集める。今作では、台詞の少なさを感じさせない圧倒的な存在感を放ち、主人公の心の揺らぎと悲哀を繊細に表現している。
また、本作のキャストはほとんどが声優初挑戦という異色の顔ぶれとなった。鈴木監督の作品作りに共鳴した俳優、アナウンサー、お笑い芸人など、ジャンルを超えた多彩なエンターテイナーたちが集結している。