第97回アカデミー賞授賞式が2025年3月2日、ロサンゼルスのドルビーシアターで開催された。今回の受賞・ノミネート作品で作品受賞の『Anora アノーラ』をはじめ、カメラメーカーARRIの機材が多く使用されていると報告している。
最優秀作品賞は『アノーラ』に
最優秀作品賞にノミネートされた10作品のうち5作品がARRIカメラで撮影され、3作品がARRIレンタルのサポートを受けた。大賞となる最優秀作品賞は、『アノーラ』が受賞。同作はカンヌ国際映画祭でパルムドールを獲得し、今回のアカデミー賞では6部門にノミネートされ、最優秀作品賞、監督賞、脚本賞(オリジナル)、編集賞、主演女優賞の5部門を制した。
インディー映画監督ショーン・ベイカーによる『アノーラ』は、主演女優賞を受賞したミッキー・マディソン演じるブルックリンを拠点とする性労働者アノーラと、ロシアの寡頭政治家の息子イヴァンとの関係を描いている。撮影はドリュー・ダニエルズが担当し、ARRICAM LT 35mmフィルムカメラを使用、ワイドスクリーン2.40:1、4-perfアナモルフィックでフレーミングし、ヴィンテージのLOMOプライムとズームレンズ、低照度シーン用のAtlas Orionレンズを併用した。
撮影賞はロル・クローリーの『ザ・ブルータリスト』
撮影賞部門では、ノミネートされた5作品のうち4作品がARRIカメラで撮影され、3作品がARRIレンタルのサービスを利用した。栄えある撮影賞はロル・クローリー(BSC)が『ザ・ブルータリスト』で受賞した。
ブレイディ・コーベット監督による第二次世界大戦後を舞台にした3時間半におよぶ叙事詩『ザ・ブルータリスト』は、主にVistaVisionフォーマットで撮影され、35mmと16mmも使用された。架空のハンガリー系ユダヤ人建築家ラースロー・トート(主演男優賞を受賞したエイドリアン・ブロディ)の人生を描く本作で、クローリーはVistaVisionカメラに加え、ARRICAM LTとST、ARRIFLEX 235、435、416カメラを使用した。
視覚効果賞は全作品がARRIカメラで撮影
視覚効果賞にノミネートされた5作品はすべてARRIカメラで撮影された。最終的に『デューン 砂の惑星PART2』が受賞。3年前に『デューン 砂の惑星』も同賞を受賞しており、続編ではさらに境界を押し広げたと言える。
ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督による『デューン 砂の惑星PART2』は、砂漠の惑星アラキスでのポール・アトレイデス(ティモシー・シャラメ)の叙事詩的な物語を続ける。前作でオスカーを獲得した撮影監督グレイグ・フレイザー(ACS、ASC)は、広大な砂漠のシーンの視覚的壮大さと芸術的深みを捉えるため、ALEXA 65とALEXA Mini LFカメラを選択し、ARRIレンタル独自のオプティクスを含む多様なレンズを使用した。
その他にもARRIの技術とサービスを活用した作品として、『マリア』(撮影:エドワード・ラックマンASC、ARRICAM LT、ARRIFLEX 416、ARRIスカイパネルXを使用)、『ノスフェラトゥ』(撮影:ジャリン・ブラシュケ、ARRICAM LTとSTを使用)、『ザ・サブスタンス』(撮影:ベンジャミン・クラチュンBSC、ALEXA Mini LFとARRIトリニティカメラスタビライザーを使用)、『ウィキッド』(撮影:アリス・ブルックスASC、ALEXA 65を使用)など多数の作品がノミネートされ、各部門で受賞を果たした。
ソース:ARRI technology and services support Oscar® winners, including Best Picture and Best Cinematography