アニメ!アニメ!に『ルックバック』のプロデューサー大山良さんのインタビューを掲載しました。
劇場アニメ「ルックバック」“58分”の映画への挑戦、海外でもヒットしたカギは―? 大山良プロデューサーインタビュー | アニメ!アニメ!
取材したのは12月でした。主に海外での成功、58分の映画という新機軸の手応えについて伺いました。非常に少人数での制作になった本作ですが、この短さでも興行が成り立つのであれば、新しい活路が開けるかもしれない、そう思っています。
あと製作委員会にハリウッドメジャー会社であるAmazon MGMが参加していることも聞いています。
以下、原稿作成時のメモと構成案。
Body1 海外での評判、少人数への不安はないか
■ 海外での反響と想定
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映画は国内外で高評価を得ており、海外の観客動員数が国内を上回った。
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海外での反応は一部想定内(普遍的なテーマ性があるため)、一部は想定外の成功。
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アヌシー国際アニメーション映画祭でのスタンディングオベーションが大きな手応えに。
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映画祭をきっかけに、各国の配給会社からオファーが殺到。
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海外配給はフィルム自体の完成度の高さによって自然に広がった。
■ 押山監督と企画の出発点
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原作『ルックバック』は藤本タツキの傑作であり、自伝的要素が強い。
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そのためアニメ化には、同様に作家性の強い監督が必要だと判断。
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押山監督は自身も絵を描き続けてきた人間で、原作の「描き続ける」というテーマと共鳴。
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「自分事」として企画に向き合った点が、作品の熱量に繋がった。
Body2 短さへの利点、なぜこの映画は上手くいったか
■ 58分という上映時間の挑戦と発見
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58分という中編尺は映画興行において異例であり、最大の懸念点だった。
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結果として「ルックバック」にとって最適な長さだったと実感。
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原作のストーリーに忠実でありながら、濃密な内容で高評価を得た。
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作品の長さがヒットの妨げにならず、むしろ強みとなった。
■ 公開時の規模と劇場の反応
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初期は110スクリーンという比較的大きな公開規模。
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当初の反応は不透明だったが、試写後の劇場の反応が良く、上映館が拡大。
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1時間という短さが編成上有利に働き、上映回数を多く確保できた(例:1日14回上映も)。
■ 海外上映における対応
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アメリカでは70分以上の上映時間が求められたため、監督インタビュー映像を追加。
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中国など他国でも同様に特典映像を付加して対応。
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58分作品の単独上映が可能な国は限られており、国ごとのルールや映画祭の基準(例:60分以上を長編とする)にも対応が必要。
アニメプロデュースの今、これから
■ MGM(Amazon Studios)との座組について
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企画はエイベックス主導で、原作元の集英社と制作会社(ドリアン)が初期から参加。
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映画公開後の展開を見据え、配信を念頭にAmazonと協業。
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Amazonのアニメチーム発足時に関係者との縁があり、柔軟な協議を経て参加が決定。
■ 世界配信の反響と地域ごとの状況
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劇場公開では東アジア(台湾、香港、韓国、中国)やフランス、アメリカで好評。
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配信開始により中南米などAmazonが強い地域でもコメントが増加。
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劇場興行→配信の流れで国数・反響がさらに拡大した実感あり。
■ 日本アニメのグローバル展開の現状と可能性
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日本のアニメファンは世界的に拡大中で、配信によって視聴環境も整備されている。
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作り手の意図がよりダイレクトに伝わる環境が整いつつあり、グッズ展開も海賊版ではなく正規流通で広がっている。
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今や多くの制作会社が最初からグローバル市場を視野に企画を立てている。
■ グローバル企画における発想の変化
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国別に強いジャンルは意識するものの、本質的なテーマ性が重視されるように。
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普遍的なテーマならば、世界中で受け入れられる時代になっている。