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韓国映画界、Netflixへの流出が続く──観客の映画館離れが深刻化


韓国映画業界では、興行収入が伸び悩む作品が増えたことを受け、映画館での上映から間もなくNetflixなどのストリーミングサービスで配信される傾向が強まっているとKorean timesが報じている。これにより観客の映画館離れが加速し、業界全体が悪循環に陥っていると関係者は指摘する。

ある映画業界関係者は「大作映画が興行的に成功を収めるのが難しくなっており、制作会社は財務リスクを抑えるために、劇場公開後すぐにストリーミングサービスへ移行するケースが増えている。これがさらなる映画館離れを引き起こす悪循環につながっている」と匿名を条件に語った。
 
『ボゴタ』、劇場不振もNetflixで成功

この傾向を象徴する作品の一つが、俳優ソン・ジュンギ主演の映画『ボゴタ: City of the Lost』だ。本作はコロンビアを主な撮影地として制作され、制作費は125億ウォン(約8億6000万円)とされる。興行収支を黒字化するためには観客動員数300万人が必要だったが、実際には約42万2000人にとどまった。

本作は2024年12月31日に劇場公開されたが、わずか1カ月後の2025年2月4日にはNetflixでの配信が開始された。興味深いことに、劇場では振るわなかったものの、Netflixでは即座にグローバル映画カテゴリーのトップに立つ結果となった。

主演のソン・ジュンギは映画が観客に支持されなかったことを悔しがり、ファンの前で涙を流した。「韓国映画は非常に厳しい状況にある。これまで以上に映画を広める努力をしたかった。劇場に足を運んでくださった方々には感謝している」と、1月12日の舞台挨拶で涙ながらに語った。
 
『ビッグシティ・ラブ』もNetflixへ

同様の流れは、2024年10月公開の映画『ビッグシティ・ラブ』にも見られる。本作は興行収支を黒字化するために130万人の動員が必要だったが、約87万9000人にとどまった。主演は2024年のヒット作『破墓』で注目を集めた女優キム・ゴウンと、俳優ノ・サンヒョンである。『ビッグシティ・ラブ』も2025年2月10日からNetflixで配信される予定だ。

観客の間では、「すぐに配信されるのなら映画館に行く必要がない」と考える人が増えている。42歳の映画ファン、ヒョンさんは「大スクリーンと迫力ある音響を最大限に活用する映画以外は、映画館に行く理由がなくなった。以前は頻繁に劇場へ足を運んでいたが、今はストリーミング配信を待つことが多くなった」と語る。
 
映画館の観客数、回復せず

韓国映画振興委員会(KOFIC)のデータによると、2024年の年間観客動員数は1億2313万人で、2023年の1億2514万人から1.6%減少した。2020年のパンデミック以降、観客動員数は毎年回復していたが、2024年は夏の興行シーズンに大ヒット作が不在だったことや、外国映画の不振が影響したと分析されている。

また、旧正月(1月25日~30日)の6日間における劇場観客数は320万人だった。前年の旧正月期間(2月9日~12日)の219万人よりは増加したものの、1日あたりの平均観客数は53万人で、前年の55万人を下回った。

映画マーケティング会社の関係者も「以前は映画ファンの反応がマーケティングの成果に直結し、興行成功につながった。しかし現在は、劇場に足を運ぶ人が減少しており、かつてのような成功を期待するのが難しくなっている」と話す。
 
ストリーミング作品との競争激化

文化評論家のキム・ホンシク氏は、今後も映画業界が苦境を脱するのは難しいと予測する。その理由として、映画館で公開される作品の質が、ストリーミングサービスで配信される映画やシリーズに比べて低下している点を挙げた。

「現在、映画館で上映される作品の内容は、ストリーミングプラットフォームが提供する映画やシリーズに比べて見劣りする。ストリーミングサービスは潤沢な資金を投じて制作するため、映画館向けの作品よりもクオリティが高く、演出技術も優れている」とキム氏は指摘する。

また、コンサートやミュージカルといった没入感のある体験型エンターテインメントの人気が高まり、映画館の存在価値が低下しているとも分析する。「かつて映画館は、映画を観て食事をするなどの文化的な場だった。しかしパンデミックを経て、人々は『映画館に行かなくても楽しめる』と気づいてしまった。現在は、たとえ高額でもコンサートやミュージカルといった特別な体験を求める人が増えている」と述べた。

韓国映画業界は、新たな時代の観客のニーズに適応しなければ、さらなる縮小を余儀なくされる可能性が高い。

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