韓国の科学技術情報通信部(以下、科技情通部)は2024年12月19日、国内オンライン動画サービス(OTT)業界との政策懇談会を開催し、「韓国型オンライン動画サービス(K-OTT)産業の国際競争力強化戦略」(以下、オンライン動画サービス戦略)を発表した。
本会合には、ティービング(TVING)、ウェーブ(Wavve)、クーパンプレイ(Coupang Play)などの国内OTT事業者、Watchaの経営陣、サムスン電子、LG電子、CJ ENM、New IDといった広告型無料テレビ(FAST)事業者の代表、さらに、Purmo Dity、PixelScopeなどの人工知能(AI)関連企業が出席。業界を支援するため、2024年度オンライン動画サービス産業振興功労者への表彰(科学技術情報通信部長官表彰7件)も行われた。
オンライン動画サービス産業の現状と課題
インターネットおよびデジタル技術の発展により、オンライン動画サービスはコンテンツ流通の中心的なメディアプラットフォームへと成長している。しかし、国内OTT企業は、グローバルOTTとの競争激化や制作費の上昇により、経営上の困難に直面している。一方で、韓国発のコンテンツ(K-コンテンツ)は国際的な人気を博しているものの、海外資本への依存度の増加や制作費の高騰が課題となっている。
また、メディア産業の競争環境が国際化する中、AIやデジタル技術の活用が競争力強化の重要な要素として浮上している。しかし、国内産業における投資は依然として不十分な状況にある。このような課題に対応し、持続可能なコンテンツ投資エコシステムを構築するため、科技情通部は「K-OTT産業の国際競争力強化戦略」を策定した。
3大戦略と7つの推進課題
今回発表されたオンライン動画サービス戦略では、「世界市場とAI・デジタル技術を中心としたエコシステムの革新」を政策の方向性とし、以下の3大戦略と7つの推進課題が提示された。
【戦略1】国際的なOTTプラットフォームの育成
1. 官民連携による国際投資・協力の活性化。1兆ウォン規模の「K-コンテンツ・メディア戦略ファンド」を活用し、作品制作および技術投資を支援。
2. 世界6億台のスマートテレビを活用した広告型無料テレビ(FAST)における「K-チャンネル」の拡大。AIを活用した多言語対応を強化。
3. 「国際OTTフェスティバル」を創設し、韓国発のオンライン動画サービス・コンテンツ・技術を紹介する世界的イベントへと発展。
【戦略2】AI・デジタル技術を活用した産業エコシステムの革新
4. AI技術を活用し、OTT・放送業界の全工程を高度化。放送制作の効率化を図るとともに、特撮(VFX)やデジタルヒューマンなどの技術導入を促進。
5. AIによるショートフォームコンテンツの制作支援。作品の要約版や続編の制作、短編連載などを推進。
6. AI・データ・没入型メディア技術の開発拡大。超高精細映像やAIによる違法コンテンツの自動検出技術などの研究を強化。
【戦略3】デジタルメディア産業の基盤強化
7. デジタルメディア技術人材の育成。専門教育機関や企業インターンシップ制度を活用し、2027年までに1.1万人の専門人材を養成。
官民戦略ファンドには政府機関の他、民間団体からKBS、韓国産業銀行、SLL中央、KT,SKブロードバンド、LG U+、CJ ENMなどが参加予定となっている。
今後の展望
科技情通部のリュ・ジェミョン ネットワーク政策室長は、「韓国メディア・コンテンツ産業の持続可能な成長のためには、国際市場をターゲットとしたOTTプラットフォームの育成と、AI・デジタル技術の導入による産業構造の転換が急務である」と強調した。また、「今回の戦略を通じて、K-OTT・FASTが世界市場への進出を果たし、グローバル競争力を確保できるよう、政策の実行を全面的に支援していく」と述べた。
科技情通部は、今後もオンライン動画サービス産業の振興に向けた政策を推進し、韓国のコンテンツ産業の競争力を高めるための支援を強化していく方針だ。
ソース:보도자료 – 과학기술정보통신부
韓国コンテンツのグローバル戦略 韓流ドラマ・K-POP・ウェブトゥーンの未来地図 (星海社 e-SHINSHO)