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戦時下から現代まで、国民文化の変遷を解き明かす新刊「アニメーションと国家」3月26日発売


アニメーションが「国民文化」となった過程を探る書籍『アニメーションと国家──戦うキャラクター、動員されるアニメーター』が、3月26日にフィルムアート社から刊行される。著者は社会学者の雪村まゆみで、装画は西島大介が手がけた。

アニメーションと国家 戦うキャラクター、動員されるアニメーター

アニメーションと国家 戦うキャラクター、動員されるアニメーター

雪村まゆみ
2,860円(03/10 20:51時点)
Amazonの情報を掲載しています

本書は、アニメーターという職業の成立やアニメーション制作の分業体制の確立、さらには戦時中の国家の介入によるアニメーションの変容に焦点を当てている。戦時下で制作されたプロパガンダ作品をはじめ、日本とフランスのアニメーションの比較、聖地巡礼や現代のアニメーターの労働環境、宮﨑駿監督の最新作『君たちはどう生きるか』など、幅広い視点からアニメーションと国家の関係を再考する内容となっている。

現在、日本では年間300本以上のアニメーション作品が放映され、国内外で高い評価を得ている。その礎を築いたのが、1963年放映の『鉄腕アトム』以降に確立されたアニメーション制作の分業体制である。そして、この大量生産体制の中で不可欠な存在となったのがアニメーターだった。

しかし、この分業体制の起源を辿ると、戦時中に行き着く。戦時下に制作されたアニメーション作品は、国家の文化政策のもとでプロパガンダ映画として活用され、アニメーターという職業もその中で誕生した。本書では、『桃太郎 海の神兵』などの戦時アニメの分析を通じて、アニメーションがどのように制度化され、国民文化へと変容していったのかを明らかにする。

また、日本の事例にとどまらず、戦時下のフランスのアニメーションにも光を当てる。国家の介入による制作体制の確立、植民地政策や敵国表象の変化など、日本との共通点を探るとともに、高畑勲や宮﨑駿が影響を受けたポール・グリモーの『やぶにらみの暴君/王と鳥』にも言及し、戦時から続くアニメーションにおける空間表現の特質を考察している。

さらに、戦中戦後の連続性を指摘するだけでなく、近年のアニメーション文化の展開にも目を向ける。アニメの舞台を巡る聖地巡礼、アニメーターの労働環境の変化、そして宮﨑駿の最新作『君たちはどう生きるか』など、現代のアニメーション文化がどのように発展しているのかを分析している。

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