映画『過去はいつも新しく、未来はつねに懐かしい 写真家 森山大道』(2020年)の岩間玄監督が、新たなドキュメンタリー作品を発表する。伝説的テレビプロデューサー・土屋敏男とタッグを組み、かつて繊維産業で栄えた愛知県三河・蒲郡市を舞台に、街の再生を描いた『わたのまち、応答セヨ』が5月2日(金)より新宿シネマカリテほか全国で公開される。
1200年の歴史を持つ「繊維の街」蒲郡
蒲郡市は、日本に綿花が初めて伝わった地とされ、戦後の衣類不足の時代には、繊維産業の活況に沸いた。しかし、時代の流れとともに衰退し、かつて街中に響いていた織機の音も消えた。そんな状況の中、「街の繊維産業に光を当てる映画を作ってほしい」という依頼を受け、岩間監督はこの地を訪れた。
最初は撮るべき希望を見出せず、映画制作は難航した。しかし、岩間監督はやがて、種からわたを育て、糸を紡ぎ続ける80歳の職人と出会う。この出会いをきっかけに、映画制作が進むにつれ、街の人々の眠っていた情熱が呼び覚まされていく。やがて、その熱は海を越え、舞台はロンドンへと展開。日本のモノ作りの真価が世界に響き渡る。
本作では、映画制作に苦闘する岩間監督と土屋プロデューサー自身も、「モノ作りとは何か?」という問いに直面する。彼らの葛藤と挑戦が、単なる産業映画ではなく、予定調和を打ち破る物語として描かれる。
語りを務めるのは、『ケイコ 目を澄ませて』(2022年)で第46回日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞した岸井ゆきの。圧倒的な映像美と緻密な構成が生み出す本作は、再生と復活への狼煙を上げるエンタメドキュメンタリーとなっている。
映画情報
タイトル:『わたのまち、応答セヨ』
公開日:2024年5月2日(金)
監督・撮影・編集:岩間玄
企画・プロデュース:土屋敏男
語り:岸井ゆきの
配給・宣伝:鈴正 JAYMEN TOKYO
上映時間:99分
公式サイト:https://watanomachi.com/