防災と推し活が交差する新たな取り組み「#推し活防災」が、日本財団によって実施される。映画監督・上田慎一郎氏が手がけるショートドラマ「避難所で推しと遭遇した話」と、防災専門家が監修した「もしもの時のための推し活グッズリスト」を通じて、推し活を楽しむ若者に防災の重要性を伝える。
日本財団(東京都港区、会長・笹川陽平)は、3月11日から3月末日まで、公式Xアカウント(@NipponZaidan)を中心に、「#推し活防災」キャンペーンを展開する。この取り組みは、「推し活で準備する持ち物が防災リュックと似ている」「ペンライトが停電時に役立つ」といった意見に着目し、推し活の延長線上に防災があることを伝えることを目的としている。
推し活は若者にとって重要な文化の一つであり、日本では10代から30代の3人に1人が「推し」を持っていると自認している。特に20代女性の59.0%、20代男性の45.5%が推し活を行っているという。一方で、マーケティング・リサーチ会社クロス・マーケティングの調査によると、「自然災害への家庭の備え」に関して20代の53%、30代の54%が「できていない」と回答しており、若年層が防災から遠ざかっている現状が浮き彫りとなった。
この状況を踏まえ、「#推し活防災」では、防災意識の向上を目指し、ショートドラマ「避難所で推しと遭遇した話」を制作。上田慎一郎監督が手がけ、本田望結やお笑いコンビ・コットンの西村真二が出演する。物語は、首都直下地震の発生後、主人公・笑未(本田望結)がろう者の母・充子と共に避難所で生活する中、憧れの漫才師・春馬と出会うというストーリーとなっている。第1話は3月11日、第2話は12日、最終話は13日に配信予定だ。
@picorelab 「避難所で推しと遭遇した話」第1話 提供:日本財団 #ショートフィルム #ショートドラマ ♬ オリジナル楽曲 – 上田慎一郎
また、X上の推し活アカウントの投稿をもとに作成された「もしもの時のための推し活グッズリスト」も公開される。推し活で日常的に使われるアイテムの中には、災害時に役立つものも多い。例えば、ペンライトは停電時の明かりに、モバイルバッテリーは通信手段の確保に活用できる。このリストは、防災専門家の監修を経て制作されており、推し活を楽しむ人々にとって実用的な内容となっている。
上田慎一郎監督は、「防災バッグのようなショートフィルムを作るつもりで制作した。本作を通じて、災害時に備えておくべきことを考えるきっかけになれば」とコメントしている。
主演の本田望結は、「このドラマには、世代や悩みを超えて多くの人が行動を起こすきっかけが詰まっている」と述べた。また、母・充子役を演じた忍足亜希子は、「災害時には、聞こえる・聞こえないに関係なく、支え合い、助け合うことが大切」と語った。
日本財団は1962年に設立され、子ども・障害者支援、災害対策、海洋保全など幅広い分野で活動を展開している。「#推し活防災」を通じて、防災意識の向上を促し、より多くの人が災害に備えるきっかけを提供する狙いだ。