第97回アカデミー賞で主演男優賞を含む3部門にノミネートされた話題作『シンシン／SING SING』が、4月11日より全国公開される。本作は、元受刑者とオスカーノミネート俳優という異色のキャストアンサンブルで紡がれる感動の実話をもとにした作品だ。
実際の元受刑者が主要キャストに
本作の舞台は、ニューヨーク州にある最重警備の収監施設「シンシン刑務所」。そこでは、舞台演劇を通じて受刑者の更生を促すプログラム「RTA」が実施されており、本作はその取り組みの中で生まれた友情と再生の物語を描く。特徴的なのは、主要キャストの85％以上が実際にシンシン刑務所の元受刑者であり、RTAの卒業生や関係者たちが出演している点だ。
本作は2024年3月、映画ファンから支持を集めるSXSW（サウス・バイ・サウス・ウェスト）映画祭にて、観客の投票で選ばれる最高賞「観客賞」を受賞した。さらに、北米の配給権を獲得した人気スタジオA24のもとで世界の映画祭や映画賞に出品され、数々の受賞歴を誇る。ゴールデングローブ賞では主演のコールマン・ドミンゴが主演男優賞にノミネートされ、アカデミー賞では3部門にノミネートされる快挙を達成した。
あらすじ
ニューヨークのシンシン刑務所に収監された無実の男、ディヴァインGは、受刑者の更生プログラムである舞台演劇グループに参加し、日々仲間たちと演劇に取り組んでいた。そんな中、刑務所内で最も恐れられていた男クラレンス・マクリン（通称“ディヴァイン・アイ”）が演劇グループに加わることになる。次なる演目に向けて準備が進む中、彼らの間には思いも寄らぬ変化が生まれていく。
キャストとスタッフ
主演はコールマン・ドミンゴ（ジョン・“ディヴァインG”・ホイットフィールド役）1969年、アメリカ・フィラデルフィア生まれ。『ラスティン：ワシントンの「あの日」を作った男』（2023年）で公民権運動指導者バイヤード・ラスティン役を演じ、アカデミー賞、ゴールデングローブ賞、英国アカデミー賞などにノミネートされた。『ユーフォリア／EUPHORIA』（2019～）、『ビール・ストリートの恋人たち』（2018）、『Zola ゾラ』（2021）など多くの作品に出演し、本作では主演と製作を務めている。
クラレンス・マクリン（本人役）RTAプログラムの卒業生で、本作では自身を演じる。現在はRTAプログラムのコンサルタント兼アンバサダーとして活動し、俳優としてもプロの道を歩んでいる。
監督・脚本・製作はグレッグ・クウェダーは、『ザ・ボーダーライン 合衆国国境警備隊』（2016）でSXSW映画祭の観客賞を受賞。『ジョッキー』（2021）では共同脚本を務め、サンダンス映画祭で審査員特別賞を獲得するなど、実力派の監督として知られている。
原案のジョン・“ディヴァインG”・ホイットフィールドは、PEN協会賞を4度受賞した作家・劇作家であり、本作の主人公のモデルとなった人物。自身の無実を証明するための活動も続けている。
本作は、俳優と元受刑者が共演することで、単なる演技を超えたリアリティを生み出している。映画を通じて、社会復帰や更生の可能性を描き出し、観客に深い感動をもたらす作品である。
公式サイト：映画『シンシン／SING SING』公式サイト