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【トランプ政権の影響】IATSE、ケネディ・センターの公演中止に抗議 「舞台裏の労働者に不可欠な機会を奪う」


ワシントンD.C.のケネディ・センターで相次ぐ公演の中止に対し、同施設のクルーを代表する労働組合IATSE(国際舞台技術者連盟)が懸念を表明したとdeadlineが報じている。

この公演中止の背景にはトランプ大統領が同センターに対する権限を強めていることにあり、文化的な闘争の様相を呈している。ケネディ・センターの公式ウェブサイトには、アメリカの多様性を反映したプログラムを重視すると書かれており、この方針への影響が早くも出ている。

IATSEは14日、声明を発表し、「公演が中止されると、舞台が空白になるだけでなく、熟練した中産階級の労働者が生計を立てるための貴重な機会が失われる。そして、この歴史的な施設でアメリカの観客を感動させる機会も失われる」と訴えた。

同組合によると、IATSEの国際会長であるマシュー・D・ローブ氏は今週、ケネディ・センターを訪れ、労働者の不安の声に耳を傾けた。ドナルド・トランプ氏が同センターを掌握し、自身のチームを設置して以来、20以上の公演が中止または延期されているという。

こうした動きに対しては賛否が分かれているが、最近では特に、『ハミルトン』のプロデューサーが2026年の公演中止を発表し、トランプ氏のセンター掌握に抗議する姿勢を示したことが議論を加熱させている。『ハミルトン』はアメリカ建国の立役者の一人アレクサンダー・ハミルトンを主人公にした作品で、ラップやR&Bなどをまじえ、歴史上の白人の人物にも有色人種をキャストするなどして話題となった作品だ。

トランプ氏が大統領に就任してからの最初の公式な行動の一つは、文化的な風景を再構築しようとする試みだった。そのスタート地点が、ワシントンD.C.のケネディ・センターで、就任から数日でトランプ氏はケネディ・センター運営や資金提供に対しての支配権を主張した。「私の指示で、ケネディ・センターを再び偉大なものにする」とSNSに投稿し、複数のボードメンバーを即座に解任し、自身がボードメンバーの会長に就任した。

ローブ氏は訪問後の声明で、「舞台裏の労働者も家族を養わなければならない。我々は、ケネディ・センターでの業務において、公演の内容に関する意思決定には一切関与しておらず、社会問題を理由に公演のサービスを拒否したこともない」と述べた。

IATSEは、特に近年の制作現場におけるクルーの苦境を考慮すると、公演の中止は利益よりも損害をもたらすとの立場を貫いている。今年1月には、ロサンゼルスの大規模な山火事を受け、一部のハリウッドスターが主要な授賞式の中止を求めた際にも、同様の見解を示した。

ローブ氏は「我々は契約を結び、それを誠実に履行している。我々は最高の技術を持ち、安全で経験豊富な労働力であり、この施設が53年前に開館して以来、あらゆる困難や成功を共にしてきた」と強調した。その上で、「ケネディ・センターが引き続き世界最高水準の公演を提供しつつ、言論と表現の自由を守り、民主主義の基本的価値に則った運営を続けることを望む」と述べた。

ケネディ・センターにはIATSE傘下の7つのローカル組合が存在する。舞台技術者を代表するローカル22、衣装担当のローカル772、メイクアップアーティストおよびヘアスタイリストのローカル798、会計・チケット販売のローカル868、電話販売・情報提供のローカルB868、舞台美術担当のローカルUSA 829、そして劇場広報・マネージャーを代表するATPAMローカル18032である。さらに、ツアークルーもIATSEの契約下で運営されている。

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