累計240万部を超える大ヒットシリーズ「八咫烏」で知られる作家・阿部智里の新作ファンタジー『皇后の碧(こうごうのみどり)』が、新潮社より5月29日に発売されることが決定した。
本作は、風・土・火・水の精霊が織り成す新感覚のファンタジー。かつて火竜に家族を奪われた少女ナオミが、風の精霊を統べる皇帝シリウスから「私の寵姫の座を狙ってみないか?」と誘われるところから物語が始まる。シリウスの後宮にはすでに皇后と愛妾が存在し、彼の胸元には皇后の瞳の色に似た緑の宝石「皇后の碧」をあしらった首飾りが輝いていた。ナオミは自らが選ばれた理由を探るうちに、後宮に隠された大きな秘密の存在に気づいていく。
阿部は本作について、「好きなものを好きなだけ盛り込んで、好きなように書いた物語」とコメント。当初の刊行予定よりも時間を要したものの、納得のいく形で世に送り出せることを「大変幸運に思っている」と語った。
阿部は2012年、『烏に単は似合わない』で松本清張賞を史上最年少で受賞し、以来、「八咫烏」シリーズを中心に独自の和風ファンタジーを展開。2024年には同シリーズで第9回吉川英治文庫賞を受賞した。『皇后の碧』は、その阿部が新たに挑む精霊ファンタジーの大作となる。