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韓国CJ ENM、8億1800万ドルのコンテンツ投資を発表:2025年を「グローバル拡張元年」と位置づけ


韓国のエンターテインメント大手CJ ENMが、2025年を「グローバル拡張の正式な初年」と位置づけ、今年のコンテンツ投資額を前年から10%増の8億1800万ドル(約1240億円)に引き上げるとdeadlineが報じた。同社は年間65本のプロジェクトを計画しており、コンテンツの国際展開を加速させる方針だ。

CJ ENMは今年、創立30周年を迎え、これまでに『パラサイト』『JSA』『タクシー運転手』『太極旗を翻して』『神と共に』といったヒット作を手掛けてきた。また、ドラマでは『応答せよ』シリーズや『トッケビ』『マイ・ディア・ミスター』などの名作を輩出するなど、韓国の映像産業を牽引する存在だ。
 
グローバル戦略とOTT市場の展望

CJ ENMのユン・サンヒョンCEOは、現在の韓国映画市場について「依然として多くの課題を抱えており、多くの配給会社や投資家が出資を縮小している」と述べた。その一方で、同社はグローバル戦略を強化し、ワーナー・ブラザース・ディスカバリー(WBD)やFifth Seasonとの提携を進めている。また、中国市場への再参入や、国内OTTプラットフォーム「TVING」の国際展開にも取り組むとしている。
 
映画・ドラマの国際共同制作を推進

CJ ENMは過去にも韓国映画やドラマの輸出に注力してきたが、ユンCEOは「今後はより構造的なグローバル展開を目指す」と強調。その一環として、ギリシャの映画監督ヨルゴス・ランティモスの新作『Bugonia』をはじめとする国際共同制作プロジェクトが進行中だ。『Bugonia』は、韓国のSFコメディ映画『地球を守れ!』のリメイク作品であり、エマ・ストーンやジェシー・プレモンスが出演する。

ワーナー・ブラザースとの間では、昨年11月に韓国語・英語映画のリメイク契約を締結。ワーナー・ブラザース・モーション・ピクチャーズが英語版のリードスタジオを務め、CJ ENMは韓国語版のリードスタジオとして制作を進める予定だ。現在、約20本のプロジェクトが検討されている段階にある。
 
OTTプラットフォームの競争とNetflixとの関係

CJ ENMはNetflixと競争しつつも協力関係を築いている。同社のStudio DragonとCJ ENM StudiosはNetflix向けの作品を共同制作しており、『京城クリーチャー』や、『キングダム』などの成功作を生み出してきた。しかし、ユンCEOは「Netflixの影響で制作コストが上昇していることも課題の一つ」と指摘し、プラットフォームごとに最適な配信先を選定する戦略を取るとしている。

また、CJ ENMはTVINGと国内プラットフォーム「Wavve」との合併交渉を進めているが、規制当局や株主との調整が必要であり、具体的な完了時期は未定とのこと。
 
スポーツ配信事業の拡充

CJ ENMはOTT市場での競争力を強化するため、ライブスポーツ配信にも注力している。韓国プロ野球(KBOリーグ)の独占配信権を獲得し、国内OTT市場におけるスポーツ配信の新たな潮流を生み出している。さらに、2024-2025シーズンから2027-2028シーズンまでの4年間にわたり、韓国バスケットボールリーグの放映権も取得した。
 
日本・中国市場へのアプローチ

CJ ENMは日本市場においても積極的な動きを見せており、昨年、日本のTBSと3年間の共同制作契約を締結。今後3年間で少なくとも3本のテレビシリーズと2本の映画を共同制作する計画を発表している。

一方、中国市場については「韓国映画の輸入制限が解除されるという公式発表はない」としながらも、CJ ENMは水面下で関係構築を進めているという。また、中国および中東市場に向けた音楽事業の拡大も進めており、韓国の音楽制作・マネジメント手法「MCS(Music Creative Ecosystem)」を導入し、グローバルな成功モデルを構築しようとしている。

韓国映画産業は依然として厳しい状況にあるという。ここからいかなる巻き返しを図るのか注目されるが、一方で配信プラットフォーム事業でもNetflix依存が課題となっていることが感じられる。また、スポーツ中継への言及もあり、今後の映像業界の競争の中心はスポーツになる予感を感じさせる。スポーツ配信は各ストリーミング事業が本腰になってきており、ユーザー獲得競争の中心になるだろう。

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