2024年サン・セバスティアン映画祭にて脚本賞と助演俳優賞を受賞した、フランス映画界の巨匠フランソワ・オゾン監督の最新作『秋が来るとき』が、5月30日(金)から公開されることが決定した。本作は、『焼け石に水』『8人の女たち』『スイミング・プール』などで国際的に高い評価を得てきたオゾン監督が、自身の幼少期の思い出をもとに制作した本作は、フランス・ブルゴーニュ地方の美しい秋を舞台にした人生ドラマだ。
80歳の主人公が抱える「秘密」とは
本作の主人公は、80歳の女性ミシェル。彼女は都会の生活を離れ、自然豊かなブルゴーニュの田舎で一人暮らしをしている。秋の休暇に訪れた娘と孫に振る舞ったキノコ料理をきっかけに、それぞれの過去が明らかになり、ミシェルは人生の最後にある「秘密」を守り抜く決意をする。
主人公ミシェルを演じるのは、フランスの名女優エレーヌ・ヴァンサン。親友マリー=クロード役にはジョジアーヌ・バラスコ、息子ヴァンサン役には本作でサン・セバスティアン映画祭助演俳優賞を受賞したピエール・ロタンが名を連ねる。さらに、オゾン作品『スイミング・プール』(2003年)以来、約22年ぶりにリュディヴィーヌ・サニエが出演する。
フランソワ・オゾン監督の思い
オゾン監督は本作について、「高齢者がスクリーンから姿を消していく現状を危惧している」と語る。「彼女たちの皺には人生の経験と時間の流れが刻まれており、その美しさを映し出したかった」とし、70代、80代の女優たちを積極的に起用した。また、劇中に描かれる「キノコ料理のエピソード」は監督自身の幼少期の経験に基づいており、過去の記憶と創作が融合した作品となっている。
本作は、オゾン監督の初期作品を思わせる濃厚な人生ドラマであり、緊張感とサスペンスを内包しながらも、親友との絆や世代を超えた愛情を繊細に描く。美しいブルゴーニュの風景とともに、人生の秋を迎えた女性の生き抜く力を映し出した作品として、多くの映画ファンの心を打つことだろう。
『秋が来るとき』は、2024年5月30日(金)より新宿ピカデリー、TOHOシネマズ シャンテほか全国公開予定。
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