世界最高峰のオペラとバレエを映画館で楽しめる「英国ロイヤル・バレエ&オペラ in シネマ 2024/25」の一環として、ロイヤル・オペラ『ホフマン物語』が3月28日から1週間限定で公開される。指揮はアントネッロ・マナコルダ、演出は常に話題を呼ぶ鬼才ダミアーノ・ミキエレットが務める。主人公ホフマン役には、世界的テノールのファン・ディエゴ・フローレスを迎え、国際色豊かなキャスト陣とともに圧巻のパフォーマンスを披露する。

幻想的なオペラ『ホフマン物語』とは
『ホフマン物語』は、“オペレッタの王様”と称されるフランスの作曲家ジャック・オッフェンバックが、オペラ作曲家としての評価を得るために手がけた最後の作品である。1881年にパリのオペラ・コミック座で初演されたが、その後、劇場の火災により初演の楽譜や資料の多くが失われ、現在まで決定版が存在しない。さまざまなバージョンが上演されてきたが、いずれも詩人ホフマンが過去の恋愛を回想するという物語の基本構造は変わらない。
ミキエレットの演出では、人生と詩作に幻滅したホフマンが、ミューズの導きで自らの恋愛を振り返る旅に出る。パリの少年時代(オランピアへの恋)、ミュンヘンの青年時代(アントニアとの恋)、ヴェネツィアでの大人の恋(ジュリエッタとの恋)を経て、新たな創作の希望を見出すという展開だ。

音楽・映画・舞踊ナビゲーターの石川了氏は、ミキエレットの演出について「ポップで奇抜、かつダークな幻想的ステージが見どころ。人間賛歌を謳うフェリーニ的な要素も感じられる」と評価している。また、「古典的なオペラの物語を現代的な視点で新たに解釈することで、違和感なく楽しめる演出となっている」とミキエレットの手腕を称賛する。
国際的キャストが豪華共演
今回の公演では、世界的スーパーテノール、ファン・ディエゴ・フローレスがホフマン役を務め、少年から老人までの変遷を見事に演じ分ける。ホフマンの宿敵であるリンドルフ、コッペリウス、ミラクル博士、ダペルトゥットの4役には、イタリアのバスバリトン、アレックス・エスポージトが扮する。

さらに、ロシア出身のソプラノ、オルガ・プドヴァがオランピア役でロイヤル・オペラ・ハウスデビューを果たし、エルモネラ・ヤオ(アントニア役)、マリーナ・コスタ=ジャクソン(ジュリエッタ役)ら実力派歌手たちが脇を固める。石川氏は「国際色豊かな旬の歌手のパフォーマンスを、映画館の迫力あるスクリーンと音響で堪能できるのも、本企画ならではの醍醐味だ」と述べている。
3月28日より全国の劇場で限定公開
『ホフマン物語』は、3月28日から4月3日まで、TOHOシネマズ日本橋ほか全国の劇場で1週間限定公開される。映画館ならではの大スクリーンと臨場感あふれる音響で、ロイヤル・オペラの華麗な世界に浸る絶好の機会だ。
公式サイト:http://tohotowa.co.jp/roh/
配給:東宝東和