フジ・メディア・ホールディングスは3月27日、大規模な役員体制の変更を発表した。今回の刷新は、同社子会社であるフジテレビでの不祥事を受け、ステークホルダーからの信頼回復を目指すためだ。
注目すべきは、長年メディア界に大きな影響力を持った取締役相談役の日枝久氏が退任することだ。同氏は今回の役員体制見直しで退任予定となっている。
フジHDの代表取締役社長だった金光修氏が取締役会長に就任、フジテレビ代表取締役でHDの専務取締役だった清水賢治氏がHDの代表取締役社長も務めることとなった。
清水賢治氏は1961年生まれ、慶應義塾大学卒業後、1983年に同社に入社した。フジテレビの総合開発局長、執行役員を経て、2022年に専務取締役に就任。2025年1月にフジテレビ代表取締役社長に就任し、今回のグループ経営トップへと抜擢された。
女性の登用が増加
新たな経営体制として同社は以下のポイントを掲げた。
- 取締役会の実効性を強化するとともに意思決定の迅速化を図るため、取締役数を減員する
- 取締役会の透明性・客観性を高め、ガバナンスを強化するため、当社の独立社外取締役を過半数とする
- 取締役会の多様性を図る観点から、女性取締役比率を3割以上とする
- 取締役会の年齢面での多様性も考慮し、50歳代以下の人材の新たな起用を進め、取締役の平均年齢を大幅に引き下げる
- 新たな事業領域の開拓や業務プロセスの改革を促進するため、未来のメディアのあり方への知見やインターネット・配信関連ビジネス、投資事業、AI・データサイエンス、グローバルビジネスや国際的な会計実務、人的資本経営・HR等の経験・知見を持つ人材を新たに起用する
- 取締役会における監督機能と業務執行機能の分離を明確にするため、本格的な執行役員制度を導入する。
- フジテレビも大幅な役員体制の見直しを行う。フジテレビは、1月27日時点の社内出身の取締役(同日に選任された清水賢治取締役を除く)・監査役の全員が6月の定時までに退任する
フジテレビの新任の常務取締役にはTver社長の若生伸子氏が選ばれている。取締役には経営企画局グループ経営推進担当局長兼開発企画統括の安田美智代氏や人事局上席HRアドバイザー柳沢恵子氏など、新任の女性の就任が目立つ。また社外取締役として、東宝の島谷能成氏や慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授の石戸奈々子氏などの名前がある。
またフジテレビ執行役員でも女性の増加が目立つ。松崎容子氏(アニメ事業局長)、樋口薫子氏(ネットワーク担当)、飯島晶子氏(国際・新規事業開発担当)らが新たに執行役員に名を連ねている。
清水賢治新社長は、グループの信頼回復と持続的成長に向けて、抜本的な改革を進める考えだ。3月末に提出予定の第三者委員会の調査報告も踏まえ、さらなる体制強化を検討するとしている。