日本映画が世界で評価される時代に、映画産業の現状と未来を徹底解説する書籍『映画ビジネス』が、2025年5月23日に刊行される。発行元は、ビジネス書や実用書を中心に出版する株式会社クロスメディア・パブリッシングで、著者は映画ジャーナリストの和田隆氏。
2024年、日本映画界は大きな転換点を迎えた。第96回アカデミー賞では、山崎貴監督の『ゴジラ-1.0』が視覚効果賞を受賞し、邦画およびアジア映画として初の快挙を成し遂げた。また、宮崎駿監督の『君たちはどう生きるか』は、『千と千尋の神隠し』(2001年)以来となる長編アニメーション賞を獲得した。さらに、真田広之が主演・プロデュースした『SHOGUN 将軍』が第76回エミー賞のドラマ部門で、作品賞、主演男優賞、主演女優賞、監督賞を含む18部門で受賞するなど、日本の映像コンテンツが世界的な評価を受けた。
これらの成功は、日本映画が国際市場で大きな可能性を秘めていることを示している。経済産業省も、2033年までにエンタメ産業を20兆円規模に成長させる目標を掲げており、映画産業の成長は今後ますます注目されるだろう。
『映画ビジネス』では、映画の製作、配給、興行の各プロセスを詳細に解説し、業界が抱える課題や未来への展望を示している。著者の和田氏は映画業界紙の記者として17年間取材を重ね、その後も映画情報サイトの記者として活動を続ける映画ビジネスの専門家である。その豊富な知見を活かし、映画の歴史的変遷やビジネスモデルの変化を多くの事例とともに解説する。
例えば、サイレント映画からトーキー映画への移行、フィルムからデジタルへの転換、ブロック・ブッキングの終焉が映画人のキャリアに与えた影響、レンタルビデオ店の盛衰など、映画ビジネスの転換点を詳細に分析。また、Netflixの登場による二次利用市場の変化や、アニメ映画の海外展開の可能性についても考察している。
本書は、映画業界への就職・転職を考えている人はもちろん、映画ファンや投資家、マーケティング関係者にとっても貴重な情報源となる。経済産業省が推進する映画産業の成長戦略や、是枝裕和監督らが提言する「日本版CNC(国立映画映像センター)」の設立構想、映画制作現場の労働環境改善など、業界の持続的発展に向けた取り組みも詳しく紹介している。
映画の裏側を知りたい人、映画ビジネスの全体像を学びたい人にとって、本書はまさに決定版といえる一冊だ。
書籍情報
『映画ビジネス』
著者:和田 隆
定価:1,848円(本体1,680円+税)
体裁:四六判 / 224ページ / 1色刷I
SBN:9784295410591
発行:株式会社クロスメディア・パブリッシング
発売日:2025年5月23日