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【クジャクのダンス、誰が見た?】最終回ネタバレ:京子の証言、春生の死の真相、東賀山事件の全貌、心麦の「生きていてよかった」という答え


TBS金曜ドラマ『クジャクのダンス、誰が見た?』が最終回を迎えた。謎が謎を呼び、複雑に入り込んだ人間関係を紐解くように展開される、スリリングなミステリードラマだった。

果たして、山下心麦(広瀬すず)は、父・春生(リリー・フランキー)の真実にたどり着けるのか。

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これまでの謎をおさらい

本作で示された謎を整理しておこう。第一話で主にこの4つの謎が提示された。

1.春生を殺したのは誰なのか、その動機は?・・・智哉が逮捕されたのは、父の力郎の逮捕による逆恨みが表向きな理由だが、彼が冤罪となると、誰が何の目的で春生を殺害したのだろうか。

2.心麦と春生の関係は?・・・東賀山事件を追う週刊誌記者の神井(磯村勇斗)から、心麦は春生と血がつながっていないことを示唆される。だとすると、心麦と春生の本当の関係は何なのか、それが事件の真相にもつながるカギとなる。

3.東賀山事件の真相・・・春生が担当した東賀山事件。力郎が逮捕されて事件自体は決着したかに見えるが、この事件もまた冤罪だったとしたら?

4.春生の残した手紙の真相・・・娘の心麦に直接渡さずに、わざわざラーメン屋の染田に預けていた理由は、なんなのか。その手紙の内容の信憑性は?

 
このうち、2については真相が明かされた。心麦と春生は血のつながった父娘ではなかった。心麦は東賀事件の唯一の生き残り、当時赤ん坊だった林川歌だったことが判明している。春生は、身寄りのなくなってしまった歌を引き取り、実の娘として育てていた、そのことを隠していたが、父としての愛に嘘はないことがわかった。

4についても、信頼できる相手が染田(酒井敏也)だったということだろう。染田が黒幕の鳴川(間宮啓行)に脅しをかけられ、手紙が捏造だという偽証をさせられていたこともわかっている。あの手紙を書いたのはまぎれもなく春生だ。

1と3が最後まで残った謎となる。東賀山事件についても、かなり詳細は判明してきている。事件の日、遠藤力郎は金目のもの目当てで盗みに入っていたこと、その時、林川家の夫が妻ではない女性と赤ん坊を連れてきていたことが明かされた。しかし、実際に誰が林川一家を殺害したのかはわかっていない。また、歌が林川の妻が生んだ子どもではない説が濃厚になっている。

そして、その事件を再度洗い直していた春生が殺されたということは、一家殺害と春生の犯人は同一と見るべきだろう。1と3は同時に真相が明かされるものと言える。
 

父と子の物語から母と子の物語へ?

本作は、心麦と春生以外にも「父と子」の関係が数多く描かれる。東賀山事件の濡れ衣を着せられた遠藤力郎(酒向芳)とその息子・友哉(成田凌)、松風(松山ケンイチ)と久世(篠井英介)、阿南(瀧内公美)と鳴川などだ。この父と子の確執と愛情が物語を盛り上げ、ミステリーと一緒に大きな柱を形成している。そして、父としての愛情ゆえに事件を起こしてしまった鳴川という存在など、ミステリー要素にも大きく関わってくる。

しかし、前週の9話で、赤沢京子(西田尚美)が、歌(心麦)の母親かもしれないという話が浮上。京子は心麦のことをなにかと気にかけてくれ、生活のサポートもしていた。それらの行動が母としての行動だとしたら、いろいろな事情が変わってきそうだ。

つまり、父と子の物語として始まったこの物語が、「母と子」の物語として決着するかもしれないのだ。ここまでが9話の展開だ。
 

最終話「時を超えた信念の果て〜父娘の愛が起こした奇跡」

そして、最終話「時を超えた信念の果て〜父娘の愛が起こした奇跡」は、過去と現在が交錯しながら、長きにわたる真相究明の旅路に終止符を打つ感動的な物語となった。

森の中をさまよう山下心麦(広瀬すず)は、亡き父・山下春生(リリー・フランキー)の言葉を胸に秘め、強い意志で前へ進み続ける。そのイメージ映像通り、現実では、拘置所で産みの母・赤沢京子(西田尚美)と対面し、22年前の東賀山事件の真相を聞き出す決意を固める。
 

京子の口から語られるすべての真相

京子は、自らの壮絶な過去を語る。幼い弟を餓死で失い、その悲劇を繰り返さないために赤沢(藤本隆宏)と結婚。守を産み、この子を幸せにようと決意する。貧困で弟を亡くした過去のトラウマから、お金が大事だとことさら考える京子は、保育所に守るを預けて働きに出ることを提案するが、赤沢はそれを却下してしまう。赤沢は亭主関白というか古い考えの持ち主なのだろう。そのため、京子は密かに廣島育美と事業を起こし、新たな人生を切り開こうとする。その会社に林川に出資してもらうことで、事業は成功を収め、京子と林川は互いをなくてはならない存在だと思い、愛し合うようになっていく。しかし、林川との間に子をもうけたことが、東賀山事件の引き金となった。京子は赤沢と別居を始めいずれ離婚するつもりでいた。しかし、林川はすぐには離婚せず、いちど、赤ん坊を林川家の子どもとして引き取らせてほしい、体裁を保たなくてはならないからという。しかし、林川の妻は納得していないようだ。そして、事件当日、林川の妻は狂気に駆られ子どもたちを殺害、林川が妻を殺してしまい、自分も死んで林川家のメンツを保つと言い出す。それを隠蔽しようとした京子の選択が、多くの人の運命を狂わせたことが明らかになる。

この証言によって遠藤力郎が濡れ衣を着せられたことが明らかになった。心麦は父の最期を訪ねるが京子は無言で頭を下げたところで面会時間が終わってしまった。春生の事件の真相は裁判にもちこされることになった。

裁判の場で、京子は事件の詳細を語る。赤沢を刺したのは事故だったこと、本当は自分が死のうとしたところ、止めに入った赤沢に刺さってしまったようだ。

そして、京子はクリスマスイブの日、春生になにがあったのかを語りだす。あの日、春生から電話を受け取った京子は、春生に東賀山事件の力郎は冤罪だと告げられる、そして、「あなたの口から真実が知りたい」と言われる。実は、冤罪に関しては、春生にも責任があった。力郎は一階に赤ん坊がいたと証言したが、偶然事件現場の近くで聞き込みしていて、いち早く現場入りした春生が赤ん坊を二階に移していたのだ。そのことを黙っていたために、力郎の証言の信憑性が崩れたことが死刑判決の原因の一つとなっていた。その罪悪感を抱え続けた春生は、最後に京子に真実を話すよう迫ったが、彼女の抵抗により命を落とすことになる。
 

「生まれてきてくれて、ありがとう」

京子の告白により、長年の誤解が解け、冤罪の晴れた遠藤友哉(成田凌)と父・力郎は再会を果たす。野球のグローブを手渡しながら、親子は静かに過去を振り返り、やっと取り戻した時間を噛みしめる。

一方、心麦のもとには、赤沢から送られた春生のスマートフォンが届く。その中には、春生が残した最後のメッセージ動画が保存されていた。「ありがとう」と繰り返し、日々の些細な思い出を語る春生の姿。その最後に、「お父さんにしてくれてありがとう」「生まれてきてくれて、ありがとう」と語る春生の言葉は、心麦にとって最大の救いとなる。

心麦は涙を流しながら、松風義輝(松山ケンイチ)と共に歩き出す。「生まれてよかった、生きていてよかった」—— それが彼女のたどり着いた真実だった。

事件の背後に潜む家族の愛憎、社会の歪み、そして贖罪の重さを描きながらも、最後には希望を示した本作。松風との軽妙なやりとりが、心麦の新たな未来への一歩を象徴し、視聴者に深い余韻を残した。

そしてAdoが歌うエンディングテーマ『エルフ』がその余韻をとても大きくしてくれた。最近のテレビドラマは、作品と合ってない楽曲が選択されることもあるのだが、これはすごく作品にマッチしていた。「心から叫びなさい」という歌詞は心麦の心情にぴったりだし、「帰るべき家を探す、長い長い旅路を行くなら」というのは物語全体を示しているように思える。そして「怪物のような世界」というのは、まさにこの作品全体を象徴していると思う。

クジャクのダンス、誰が見た?(7) (Kissコミックス)

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登場人物
山下心麦(広瀬すず)
松風義輝(松山ケンイチ)
波佐見幸信(森崎ウィン)
阿南由紀(瀧内公美)
秋貞隆雄(絃瀬聡一)
赤沢守(野村康太)
ありさ(清乃あさ姫)
西陣誠 (斉藤優)
染田進(酒井敏也)
遠藤友哉 (成田凌)
遠藤力郎(酒向芳)
赤沢 正(藤本隆宏)
赤沢京子(西田尚美)
山下静香(仙道敦子)
木村夏美(原日出子)
山下春生(リリー・フランキー)
神井孝(磯村勇斗)
三木田辰雄(石丸謙二郎)
久世正勝(篠井英介)
鳴川 徹(間宮啓行)
山下静香(仙道敦子)
松風美希(宮崎美子)
阿波山京一郎(井上肇)
高畑まのか(大島 蓉子)