サンダンス・インスティテュートは27日、2027年よりサンダンス映画祭の開催地をユタ州パークシティからコロラド州ボルダーへ移転することを発表した。1985年以来、40年以上にわたりパークシティで開催されてきた同映画祭は、近年の宿泊費の高騰などにより、映画関係者や観客にとって負担が大きくなっていた。
サンダンス映画祭の創設者であるロバート・レッドフォードの「場所と空間の重要性」という理念を受け継ぎ、選考委員会は開催地の選定にあたった。ボルダーは、美しい山岳風景、活気ある芸術コミュニティ、国際空港(デンバー国際空港)へのアクセスの良さ、歩きやすい街並みなどが評価され、最終的に選ばれた。
映画祭の中心地は、ボルダーのダウンタウンに位置するパールストリートモール周辺と、コロラド大学ボルダー校のキャンパス内に設定される予定だ。パールストリートモールは歩行者専用の屋外ショッピングエリアで、レストランやカフェ、劇場などが集まる賑やかなエリアである。
今回の決定は、昨年4月に開始された開催地選定プロセスの結果である。100以上の都市が候補に名乗りを上げ、その後67都市が正式な情報提供依頼(RFI)を受けた。さらに13都市が提案依頼(RFP)段階へと進み、最終的に6都市が準決勝候補として選ばれた。最終的には、ボルダー、シンシナティ、ソルトレイクシティの3都市に絞られたが、ボルダーが映画祭の理念や運営面で最も適した開催地として決定した。
映画祭の開催にあたり、選考委員会は「映画祭の理念」「イベント開催能力」「交通インフラ」「宿泊施設」「多様性とアクセシビリティ」「財政的持続可能性」「開催都市のサポート体制」の7つの基準を重視した。これらの基準を総合的に検討し、映画祭が新しいコミュニティとともに成長できる場所として、ボルダーが最適であると判断された。
ボルダーには、2000席を超える「マッキー・オーディトリアム」、500席の「デイリー・アーツセンター」、850席の「ボルダー・シアター」など、映画上映に適した会場が揃っている。また、映画祭の規模を考慮し、少なくとも6つの上映会場が近接していることが求められたが、ボルダーはこの要件もクリアした。
さらに、デンバー国際空港からのアクセスの良さも大きな決め手となった。同空港はロサンゼルスやニューヨークなど主要都市との直行便が充実しており、海外からの映画制作者や観客にとって利便性が高い。また、ボルダー市内の宿泊施設についても、地元のホテルと協力し、今後10年間の料金を抑える契約を結んでいる。
サンダンス映画祭の運営陣は、新しい開催地が「若い観客層との接点を増やす」機会になると期待している。コロラド大学ボルダー校の映画学科は、実験映画の巨匠スタン・ブラッケージの影響を受けたプログラムを持つなど、映画文化の発展にも寄与している。このような環境の中で、映画祭の新たな展開が期待される。
今回の移転に際し、コロラド州知事のジャレッド・ポリスは「サンダンス映画祭がボルダーを新たな本拠地とすることを大いに歓迎する。芸術と映画産業は、経済や雇用にとって重要な役割を果たしており、サンダンスの移転によって地域経済のさらなる活性化が期待できる」とコメントした。
また、ボルダー観光局のCEOであるシャーレン・ホフマンは「ボルダーが2027年からのサンダンス映画祭の開催地に選ばれたことを光栄に思う。創造性と革新、表現の自由こそがボルダーの魅力であり、世界中の映画ファンやアーティストを迎える準備は万全だ」と述べた。
ソース:Sundance Selects Boulder as New Host City Beginning in 2027
By Lee Coursey – https://www.flickr.com/photos/leeco/3571409847/, CC BY 2.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=113178932